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サチコとマリコの時事ネタ漫才  作者: 藍埜佑


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第168話「トランプさんはなぜ怒鳴るのか~支持率36%でも諦めない男の哲学と、アメリカと日本の「品格」のあいだで迷子になる私たち~」

マリコ「どうもー!サチコ・マリコでーす!」


サチコ「よろしくお願いしますー」


サチコ「あのな、マリコ」


マリコ「何や?」


サチコ「私、最近ずっと気になってることがあってな」


マリコ「珍しいな、サチコの方から話しかけてくる」


サチコ「たまにはあるやろ」


マリコ「何が気になるん?」


サチコ「トランプさんやねん」


マリコ「またトランプさん。最近、毎回出てくるな」


サチコ「出てくるやろ。何をやっても話題になるから」


マリコ「関税も最高裁も宇宙人も。で、今日は何?」


サチコ「「なぜあんな言い方をするのか」っていうことや」


マリコ「言い方?」


サチコ「最高裁判事を「国の恥」「腰巾着」って言うたり、「飼いならされた犬」って言うたり。なんでああいう言い方をするんか、ということが気になって気になって」


マリコ「気になってるんか」


サチコ「気になってる。日本の政治家でああいう言い方する人、おらへんやろ」


マリコ「おらへんな。最近でも、あそこまでの人はおらへんと思う」


サチコ「やろ。なんやろ、と思って」


マリコ「...サチコ、私に聞いてるんか?」


サチコ「聞いてる」


マリコ「ええやろ、答えたる。でもサチコ、そのまえに一つ聞いてええか?」


サチコ「何や?」


マリコ「今日の漫才、サチコが先に話題を出して、私が答えるっていう形やな」


サチコ「そうやな。たまには役割変えてもええかなと思って」


マリコ「ええけど、サチコが質問して私が答えると、ツッコミが少なくなるな」


サチコ「それは分かっとる。でも、私がどうしても知りたいからや」


マリコ「知りたい、か。よし、話してみい」


サチコ「あんな、そもそもなんであの言い方が成り立つんやろ。日本でああいう言い方をしたら、即終わりやろ」


マリコ「即終わりやな。政治家としては終わり」


サチコ「やろ。でもアメリカでは支持される。なんで?」


マリコ「まず確認しておきたいんやけど、アメリカ人が全員「平気」やと思ってるか?」


サチコ「...全員は思ってへんけど、なんか許容されてる感じがするんや」


マリコ「許容されてるかどうかは別として。最近の支持率、ギャラップっていう調査会社の最後の調査では36パーセントやったんやって」


サチコ「36パーセント!」


マリコ「就任直後は47パーセントあったのに、2025年12月には36パーセントまで落ちた」


サチコ「落ちてるんか」


マリコ「落ちてる。しかも、ギャラップって会社、80年以上続けてた大統領支持率調査を2026年からやめてん」


サチコ「えっ、やめたん!?なんで?」


マリコ「表向きは「使命の転換」って言うてるけど」


サチコ「表向きは?裏向きは?」


マリコ「トランプさんが「世論調査は詐欺だ」って言い続けてたからやって言われてる」


サチコ「詐欺!?世論調査が詐欺!?」


マリコ「自分に不利な結果が出るたびに「あの調査は嘘だ、不正だ」って言うてきたから」


サチコ「80年以上続いた調査が終わってもうた...」


マリコ「その代わり、「私の支持率は過去最高!ありがとう!」ってSNSに投稿してた」


サチコ「36パーセントなのに「過去最高」!?」


マリコ「どのデータを見て言うてるのか分からんけど、そう投稿してた」


サチコ「...それは、どういう感覚やねん」


マリコ「「事実と言いたいことが違ったら、言いたいことを言う」っていう人や」


サチコ「それが許されるのはなんで?」


マリコ「支持者が「信じたいものを信じる」からや。これがエコーチェンバーっていうやつで」


サチコ「エコーチェンバー?」


マリコ「自分と同じ意見の人ばかりの情報空間に閉じこもって、違う意見の情報が入ってこなくなる現象や」


サチコ「洞窟の中で自分の声だけ聞いてるみたいな」


マリコ「そう。「トランプさんの支持率は過去最高だ」という情報だけを見続けてたら、本当にそう思える」


サチコ「でもそれって、怖くないか」


マリコ「怖い話やな。でもこれは今のアメリカに限った話やなくて、SNSが普及した世界全体の問題や」


サチコ「ほな、トランプさんの罵倒スタイルの話に戻るけど、なんで成り立つねん?」


マリコ「複合的な話やから、整理して話すわ。まず「個人の気質」と「社会の構造」の2つに分けて考えると分かりやすい」


サチコ「ほな分けて」


マリコ「まず個人の気質から。トランプさんって、政治家になる前に何しとったか知ってるか?」


サチコ「不動産王やな」


マリコ「そうや。1980年代のニューヨークの不動産業界で鍛えられた人で、当時のゴシップ紙をうまく使ってライバルを攻撃したり、自分の知名度を上げたりしてきた」


サチコ「ゴシップ紙を使って?」


マリコ「自分でゴシップ紙に電話して、偽名で「トランプはすごい」という情報を流したって話もある」


サチコ「自作自演!!」


マリコ「自作自演。それくらい、「イメージを作る」ことに長けとった人や」


サチコ「で、リアリティ番組もやってたんやろ」


マリコ「「アプレンティス」っていう番組で、「お前はクビだ!」という決め台詞で人気になった」


サチコ「テレビで「お前はクビだ!」と言い続けた人が大統領になったわけか」


マリコ「その番組のイメージが「強いリーダー」「ズバッと決断する人」として定着した」


サチコ「テレビのキャラが本物と思われるようになったんか」


マリコ「そうや。しかも、彼の師匠みたいな人がおってな」


サチコ「師匠!?」


マリコ「ロイ・コーンっていう弁護士で、彼の教えが「攻撃されたら10倍返しにしろ」「絶対に非を認めるな」「勝利を宣言しろ」っていうものやった」


サチコ「10倍返し!水戸黄門じゃなくて10倍返し!」


マリコ「あのドラマと真逆やな。弱い者を助けるんじゃなくて、「攻撃されたらより強く攻撃する」が哲学や」


サチコ「謝らない哲学か」


マリコ「謝ったら負けという感覚や。ゼロサムゲームって言うて、「誰かが勝てば誰かが負ける」という世界観や」


サチコ「「俺が正しいためには、相手が間違っていなあかん」ということか」


マリコ「そうや。だから、反論に対しては倍返しで攻撃することが「正しい行動」になる」


サチコ「...しんどい生き方やな」


マリコ「しんどいけど、一貫してる。それが「個人の気質」の部分や」


サチコ「じゃあ、社会の構造の部分は?」


マリコ「アテンション・エコノミー、関心経済っていう概念があってな」


サチコ「関心経済? マリコ、あんたほんま今日は勉強しとんな」


マリコ「人々の「注目」が価値を持つ経済のことや。SNSのアルゴリズムは、「怒り」「驚き」「恐怖」という強い感情を呼ぶコンテンツほど拡散させる設計になってる」


サチコ「怒りが拡散しやすいんか」


マリコ「そうや。穏やかな発言は拡散しにくい。過激な発言は無限に拡散する」


サチコ「つまり、トランプさんが過激な発言をするたびに」


マリコ「SNSで爆発的に広まって、メディアが取り上げて、何億円もかけなくても全世界に名前が広まる」


サチコ「炎上させることが、広告費を払わずに宣伝する方法やと」


マリコ「「アーンドメディア」って言うて、お金を払わずに得るメディア露出や。トランプさんは誰よりもそれを理解してた」


サチコ「それって...炎上ビジネスと構造が同じやな」


マリコ「同じや。炎上ユーチューバーがビジネスとして成立するのと同じ仕組みで、政治をやってる」


サチコ「...それは怖いな。でも理にかなってる」


マリコ「理にかなってる。あと、ネガティブパーティザンシップっていう概念も重要やで」


サチコ「ネガティブパーティザンシップ?」


マリコ「「自分の党が好きだから支持する」じゃなくて、「相手の党が国を滅ぼすから絶対に阻止しなければならない」という恐怖ベースの政治行動のことや」


サチコ「相手への憎しみが原動力になるんか」


マリコ「そうや。「民主党が勝ったらアメリカが終わる」という感覚の人が、トランプさんに「相手をどれだけ攻撃できるか」という「戦闘力」を求める」


サチコ「だから、攻撃的な言い方をすればするほど「頼もしい」と見える」


マリコ「そういうこっちゃ。「腰巾着」「国の恥」は、攻撃力の証明や」


サチコ「...なるほど。でもそれって、アメリカ人全員がそう感じてるわけやないんやろ」


マリコ「全然違う。Pew Researchという調査によると、2019年のデータでは65パーセントのアメリカ人がトランプさんの発言に侮辱を感じると答えとった」


サチコ「6割以上!多数派やん」


マリコ「多数派が「嫌だ」と思ってる。でも、「嫌だ」と思っていても別の候補がいなかったり、「民主党よりはまし」という消極的支持があったり」


サチコ「あと「怒り疲れ」っていうのも聞いたことあるな」


マリコ「アウトレイジファティーグやな。毎日毎日衝撃的なことが起きすぎて、感覚が麻痺してくる現象や」


サチコ「「また何か言った。もう知らん」ってなるんか」


マリコ「そうや。最初は「えっ!」ってなるけど、毎日やられたら「またか」になる」


サチコ「それって、怖いな。「またか」が「まあええか」になっていく」


マリコ「「まあええか」が積み重なると、民主主義の「当たり前」が少しずつ変わっていく」


サチコ「じわじわと」


マリコ「じわじわとな」


サチコ「...マリコ、今日めっちゃ怖い話してるな」


マリコ「怖い話やで。でもそれが現実や」


サチコ「ところで、日本人として「恥ずかしい」と感じるのは、そんなにおかしいことやないやんな」


マリコ「全然おかしないで。Pew Researchの調査では、69パーセントのアメリカ人も「恥ずかしさ」を感じてるって答えとる」


サチコ「アメリカ人の7割も恥ずかしいと思ってるんか!」


マリコ「思ってる。だから「アメリカ人は平気やと思ってる」という前提が、そもそも間違えてる」


サチコ「間違えてたんか、うち」


マリコ「分断されてるっていうことや。7割が「恥ずかしい」と思いながら、でも強固な支持層は「痛快」と思ってる」


サチコ「その「痛快」と思う層はどんな人たちやねん」


マリコ「経済的に取り残された白人労働者層が多い、と言われてる。グローバル化で工場が海外に移転して、仕事がなくなったり収入が下がったりした人たち」


サチコ「苦しい思いをしてる人たちか」


マリコ「そういう人たちにとって、「エリート政治家が礼儀正しい言葉で自分らを無視してきた」という怒りがある。そこにトランプさんが来て「お前らの怒りは正しい、敵はこいつだ」って断言する」


サチコ「代弁者になるんか」


マリコ「代弁者。しかも、ポリティカルコレクトネスを無視した乱暴な言い方が、「本音を言ってる」証拠として受け取られる」


サチコ「丁寧な言葉は嘘くさくて、乱暴な言葉が本音に聞こえると」


マリコ「逆説的やな。「礼儀正しさ」が「嘘」と結びついてしまってる社会や」


サチコ「...日本はどうやろ。礼儀正しさと本音の関係は」


マリコ「日本やったら、礼儀正しいことが最低限の条件やから」


サチコ「礼儀ないと「公の場に出る資格がない」になるもんな」


マリコ「「和をもって貴しとなす」っていう感覚が染みついてるから、直接的な人格攻撃は強いタブーや」


サチコ「ほな、もし日本でトランプスタイルの政治家が出てきたら、どうなるやろ」


マリコ「試しに考えてみよか。日本版トランプ」


サチコ「日本版トランプ...どんな人やろ」


マリコ「演説で「あの大臣は愚か者の腰巾着だ!日本の恥だ!」ってマイクに向かって叫ぶ人か」


サチコ「即炎上して即終わるやろ」


マリコ「「品位のない人は信頼できない」ってなるんやろな。でも、なぜ日本ではそうなって、アメリカではそうならないのかっていうと」


サチコ「文化の差やろ」


マリコ「文化の差と、「何に対して怒っているか」の差や」


サチコ「どういうこと?」


マリコ「アメリカの白人労働者層の怒りは「自分たちが無視されてきた」という怒りや。その怒りを代弁してくれる人が、たとえ乱暴でも「本物」に見える」


サチコ「日本にも「無視されてきた」という怒りはあるやろけど」


マリコ「あるけど、日本の場合「声を上げること」自体が難しい文化や。「空気を読む」「出る杭は打たれる」」


サチコ「怒りを表に出すことがタブーやから、代弁者にも「品格のある怒り」を求める、と」


マリコ「品格のある怒り...それ、矛盾してるようやけど、日本の政治がそういうもんやな」


サチコ「矛盾してるな。「怒ってるけど礼儀正しくしろ」って」


マリコ「難しい要求やと思うわ、正直言うと」


サチコ「マリコ、正直やな」


マリコ「正直に言うと、「礼儀正しいから信用できる」って必ずしも正しくないと思うんや」


サチコ「どういうこと?」


マリコ「礼儀正しい政治家が、礼儀正しい言葉で国民をずっと騙し続けることもあるやろ」


サチコ「...あるな」


マリコ「「誠実に感じる」と「実際に誠実」は別の話や」


サチコ「じゃあ、乱暴な言い方が「本音」かというと、それも違うやろ」


マリコ「全然違う。「乱暴に言う」と「本当のことを言う」も別や。トランプさん、支持率が36パーセントなのに「過去最高」って言うてるわけやから」


サチコ「礼儀もないし、事実でもないわけか」


マリコ「そう。じゃあ何が残るかっていうと、「感情を煽る能力」だけが突出してる、というのが正直なところや」


サチコ「感情を煽る能力...」


マリコ「支持者の「怒り」「恐怖」「誇り」という感情をうまく刺激して、「お前らの敵はこいつだ」という物語を作るのが抜群にうまい」


サチコ「物語を作る能力か」


マリコ「物語師としてのトランプ、やな。政治家というより、物語を語るパフォーマーや」


サチコ「でもさ、マリコ。その物語に乗っかることのリスクは?」


マリコ「それが一番大事なとこや。「敵」を作る政治は、分断を深める」


サチコ「分断が深まると」


マリコ「「相手とは話し合えない」「相手の言うことは信じない」「基本的な事実でさえ意見が合わない」という状況になる」


サチコ「事実が合わないって、怖いな」


マリコ「Pew Researchの調査では、アメリカ人の80パーセントが「支持政党が違うと、基本的な事実についても意見が一致しない」と答えてる」


サチコ「事実が二つある社会か」


マリコ「「支持者の現実」と「批判者の現実」が別々に存在する。同じ出来事を見ても、全然違うストーリーが見える」


サチコ「...それって、民主主義が機能するための前提が崩れてるな」


マリコ「前回の漫才でやったチェックアンドバランスが、「共通の事実」があることを前提にしてるやろ」


サチコ「そうや。「この判決は違法」「この法律に関税の権限はない」という事実の認識を共有して、初めて議論ができる」


マリコ「でも、事実が二つある社会では、「その判決は不正だ」「最高裁は外国の工作員だ」ってなる」


サチコ「最高裁を「国の恥」と呼んだことと、「事実が二つある社会」はつながってるんやな」


マリコ「つながってる。「自分に不利な判決は不正」という物語を作ることで、支持者には判決を受け入れなくていい感覚を与える」


サチコ「...深い話やな」


マリコ「深いし、怖い話や」


サチコ「でも、ここで一個聞いていいか」


マリコ「何や?」


サチコ「これって、アメリカだけの話か?」


マリコ「あー、そこに行くんか」


サチコ「世界中で同じような人が増えてるって言うてたやろ。ボルソナロとかドゥテルテとか」


マリコ「ブラジルのボルソナロ、フィリピンのドゥテルテ、インドのモディ、イギリスのボリス・ジョンソン...スタイルは違うけど「敵を作る」「過激な言葉を使う」という共通点がある」


サチコ「これって、「個人」じゃなくて「時代」が生んでるんやな」


マリコ「そうや、SNSが普及した時代、グローバル化で傷ついた人が増えた時代、既存のエリートへの信頼が崩れた時代、というのが重なって起きてる現象や」


サチコ「じゃあ、アメリカだけを「おかしい国だ」と言っても仕方ないか」


マリコ「仕方ない。その同じ条件が整ったら、どの国でも似たような現象が起きうる」


サチコ「日本は...今のところ出てきてないけど」


マリコ「「和をもって貴しとなす」文化が一定のブレーキになってるかもしれん。でも、経済的な不満が蓄積し続けて、既存政治への信頼が崩れたら、条件はそろうかもしれん」


サチコ「...高市政権の大勝も、既存政治への不満のあらわれかもしれんな」


マリコ「あの選挙も分析したけど、「既存勢力への対抗」という文脈は確かにあった」


サチコ「チームみらいの話でも出てきたな、「既存のルールを変えたい」という感覚」


マリコ「似てるようで違うけど、「変化を求める」というエネルギーは同じかもしれん」


サチコ「ところで、マリコ」


マリコ「何や?」


サチコ「トランプさんのあのスタイル、「民主主義を壊してるのか、強めてるのか」って考えたことあるか?」


マリコ「ある。難しい問いやな」


サチコ「難しいよな」


マリコ「「壊してる」という面は明確にある。嘘をつく、事実を歪める、司法を「国の恥」と呼ぶ、「敵」を作って分断を煽る。これは民主主義の基盤を傷つける」


サチコ「傷つけてるけど」


マリコ「「強めた」という側面も一応ある。これまで無視されてきた人たちが政治に参加するようになった。投票率が上がった」


サチコ「眠ってた怒りを政治に接続した」


マリコ「そう。でも、怒りが政治参加につながることと、その怒りが正しい方向に向かうことは別の話や」


サチコ「怒って参加したけど、向かう方向が「敵を攻撃すること」になったら」


マリコ「民主主義は「相手を叩き潰すゲーム」じゃなくて、「違う意見を持つ人同士が話し合って決める仕組み」やから、「怒りで参加」が「相手を敵として攻撃」になったら、民主主義の本質が変わる」


サチコ「怒りが参加エネルギーになるのはいいけど、怒りが目的になったらあかんと」


マリコ「そうや。道具と目的を混乱させたらあかん」


サチコ「...マリコ、今日ずっと核心をついてるな」


マリコ「うち、ほんまはこういう話、好きなんや」


サチコ「普段はたこ焼き焼いてるのに」


マリコ「たこ焼きとトランプは私の中で同じ棚にある」


サチコ「棚の整理が乱れてるな」


マリコ「整理されてへんけど、情報量は多いんや」


サチコ「...まあ、それが強みやな、マリコの」


マリコ「ところで、一個試してみていいか」


サチコ「何を試す?」


マリコ「「日本語に訳すとどうなるか」遊びをしたいねん」


サチコ「日本語に訳す?」


マリコ「トランプさんの発言を、日本の政治家がしたらどうなるかっていうシミュレーションや」


サチコ「面白そうやな。ほなやってみよ」


マリコ「トランプさんが最高裁について言うた「国の恥だ、非愛国的だ」を、日本版に翻訳すると」


サチコ「どうなるんやろ」


マリコ「「裁判長、今回の判決については非常に遺憾に思っております。国民の理解をいただけないような判断は、再考の余地があるのではないかと拝察いたします」」


サチコ「なんか...全然ちがうな」


マリコ「日本語に翻訳すると「遺憾に思う」になる。怒りが「遺憾」に変換される」


サチコ「「国の恥」が「遺憾に思う」」


マリコ「「腰巾着」は「一部の方々のご判断については疑問を呈さざるを得ない状況にある」くらいか」


サチコ「ぜんぜん伝わらへん!!」


マリコ「伝わらへんやろ。怒りのエネルギーが「丁寧語」に吸収されて消えてしまう」


サチコ「でもさ、「遺憾に思う」と「国の恥」、どっちが正確に怒りを伝えてるかは」


マリコ「トランプさんの方が正確に伝えてる」


サチコ「そうやな。「遺憾に思う」は「怒ってます」って分かりにくいもんな」


マリコ「曖昧な言葉で怒りを表現するから、日本の政治では何が本音か分かりにくい」


サチコ「分かりにくさも問題かもな」


マリコ「「本音が見えない」から政治家への信頼が下がる、という逆説もある」


サチコ「うーん...難しいな。乱暴でも分かりやすい方がいいのか、礼儀正しくても分かりにくい方がいいのか」


マリコ「どっちも「いい」わけやない。理想は「礼儀正しくて、かつ分かりやすい」やろ」


サチコ「でも、礼儀正しくて分かりやすい政治家ってあんまりおらへんな」


マリコ「おらへんな。「礼儀正しさ」と「分かりやすさ」が日本では両立しにくい文化的な理由があるのかも」


サチコ「「空気を読む」って「はっきり言わない」ことやからな」


マリコ「そう。「はっきり言わないこと」が「礼儀正しさ」と結びついてる社会では、分かりやすくしようとすると礼儀から外れる」


サチコ「...複雑やな」


マリコ「複雑や。そこに答えはないかもしれん。でも、考え続けることは大事やな」


サチコ「ところで、支持率の話に戻るけど」


マリコ「何?」


サチコ「MAGAの中でも離反が起きてるって聞いた」


マリコ「あー、そうやな。2025年後半から、ずっとトランプ支持やった議員が離れ始めてる」


サチコ「まずマージョリー・テイラー・グリーン議員が離れたんやろ」


マリコ「彼女はMAGAの代表格やったのに、トランプさんとたもとを分かった。エプスタイン問題とかいろいろあって」


サチコ「支持者が離れ始めてる」


マリコ「2026年の中間選挙が今年の11月に迫ってるから、その動向が注目や」


サチコ「中間選挙を意識してるから、支持率を上げなあかんプレッシャーがある」


マリコ「そのプレッシャーが、「UFOの話題」とか「宇宙人の情報公開」とかいうセンセーショナルな話題を次々と出す動機になってる」


サチコ「「新聞一面を取れる話題を毎日作れ」という政権の合言葉があるって読んだわ」


マリコ「あったな。「ヘッドラインを取れ」が政権内の合言葉で、毎日新しい話題を提供し続ける」


サチコ「宇宙人も最高裁批判もUFOも関税も、全部「ヘッドラインを取る」ための話題や」


マリコ「そして私らは毎回その話題で漫才をしてる」


サチコ「...つまり私らも巻き込まれてるわけか」


マリコ「巻き込まれてる!?」


サチコ「それは...まずいな?」


マリコ「まずくはないと思う。批判的に分析することと、ただ乗っかることは違うから」


サチコ「そうか。考えることが大事やな」


マリコ「そや。「怒り疲れ」にならんように、でも「どうせ変わらん」とも思わんように」


サチコ「難しいバランスやな」


マリコ「難しいけど、それが民主主義を生きるということやと思う」


サチコ「民主主義を生きる...大げさなようやけど、そうやな」


マリコ「選挙があって、報道があって、議論ができて、漫才でネタにできて」


サチコ「漫才でネタにできることが民主主義の証拠か」


マリコ「権力者を笑えることが、自由の証拠やと思うんや」


サチコ「権力者を笑えない社会は怖いよな」


マリコ「そやねん。だから漫才師は大事な仕事や」


サチコ「...今日のマリコ、ほんまにすごいこと言い続けてるな」


マリコ「ほんまにそう思ってるんやで。笑いは権力への抵抗やもん」


サチコ「今日の漫才でそれを言うために、最高裁からUFOからトランプの気質から文化論から民主主義まで全部やったんか」


マリコ「全部つながってるんや」


サチコ「すごい伏線の回収やな」


マリコ「私の漫才には壮大な伏線がある!」


サチコ「初耳やわ!!」


マリコ「ずっとそう思ってた」


サチコ「思ってたんかい!言えよ!」


マリコ「言ったら伏線やなくなるやろ」


サチコ「伏線の回収、成立しとらん!」


マリコ「成立してる!今回ちゃんと回収した!」


サチコ「してへん!たこ焼きはどこで回収するんや!」


マリコ「あ、そうやった。言い忘れてた」


サチコ「忘れてたんかい!!」


マリコ「ちゃんとオチを用意してある」


サチコ「早く言え」


マリコ「トランプさんのスタイルを一言で言うと何か?」


サチコ「...「攻撃することを絶対やめない」やろな」


マリコ「私の結論はな」


サチコ「何?」


マリコ「「たこ焼き屋がお客さんに怒鳴り続けても、たこ焼きが美味しければ来る人は来る」」


サチコ「...!」


マリコ「でも、怒鳴り続けてたこ焼きが美味しくなくなったら、もう誰もえへん」


サチコ「支持率36パーセントで、しかも経済政策の支持率が全部落ちてるのは」


マリコ「「たこ焼きが美味しくなくなってきた」と有権者が気づき始めてるってことかもしれん」


サチコ「...おお、完璧にまとめてもうたな」


マリコ「どんな複雑な政治の話も、たこ焼きで説明できる」


サチコ「それがマリコの強みやな」


マリコ「それが私の売りや」


サチコ「今日は最初から最後まで鋭かったな、マリコ」


マリコ「たまにはこういう日もある」


サチコ「「たまには」って言うな!今日みたいな日をもっと増やせ!」


マリコ「そしたら私の希少価値がなくなるやん」


サチコ「希少価値で売っとるんかい! もうええわ!」


マリコ「どうもありがとうございましたー!」


サチコ「ありがとうございましたー!」


二人「サチコ・マリコでしたー!」


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