ふわふわクラゲのゆくえ
ころぷくたちは、
岩の場所をぬけて、
ひらけた海へ出ました。
光がゆらゆら。
水がきらきら。
とてもきれいな場所です。
そのとき――
ふわぁ……
なにかが、
上からゆっくり降りてきました。
「……あれ?」
ころぷくは見上げます。
ふわ、ふわ、ふわ。
やわらかくて、
透きとおった体。
それは――
クラゲでした。
でも。
そのクラゲは、
どこか、ぼんやりしています。
クマノミが声をかけました。
「ねえねえ!どこ行くの?」
クラゲは、
ゆっくり答えます。
「……わからない」
みんなは、きょとん。
「え?」
クラゲは、
ふわふわ揺れながら言いました。
「流れにのってるだけだから……」
ヒトデが言います。
「自分で行きたい場所はないの?」
クラゲは、
少し考えて――
「……たぶん、ない」
ころぷくは、
胸がきゅっとしました。
(それって……さみしくないのかな)
ころぷくは、
そっと聞きます。
「こわく……ないの?」
クラゲは、
すこしだけ笑いました。
「こわいときもあるよ」
「でも……
決めなくていいのは、らく」
その言葉に、
ころぷくは、はっとします。
自分も、
こわくて動けないことがあるから。
しばらくして、
少し強い流れが来ました。
ざあっ――
クラゲの体が、
ふわっと流されていきます。
「あっ……」
ころぷくは思わず声を出しました。
「そっち、行っちゃうの?」
クラゲは、
流されながら答えます。
「うん……たぶん」
そのとき。
チンアナゴが、
ひょこっと言いました。
「……あっち、くらいよ」
クマノミも言います。
「岩が多くて、ぶつかるかも!」
クラゲは、
少しだけ目を見開きました。
「……そうなんだ」
流れは、まだ続いています。
ころぷくは、
ぷくーっとふくらみながら、
必死に考えました。
(どうしよう)
(止めたい……でも……)
ころぷくは、
勇気を出して言います。
「もし……」
「もし、よかったら……」
クラゲは、ゆらりと揺れます。
ころぷくは続けました。
「いっしょに……
こっちに来る?」
クラゲは、
少しだけ戸惑います。
「……いいの?」
ころぷくは、うなずきます。
「うん」
「流されてもいいけど……
ときどき、選んでもいいと思う」
クラゲは、
しばらく考えてから――
ふわっ、と、
少しだけ動きました。
ほんの少しだけ、
流れにさからって。
「……こっち、いく」
その動きは、
とても小さくて、
でも、とても大きな一歩でした。
クマノミが笑います。
「おおー!」
ヒトデもうなずきます。
「ちゃんと、進んでる」
クラゲは、
ちょっとだけ照れながら言いました。
「……むずかしいけど」
ころぷくは、
やさしく言います。
「だいじょうぶ」
「すこしずつでいいよ」
そして、いつものように――
「ぷくっと……」
みんなで声をそろえます。
「よくできました!」
ふわふわでもいい。
流されてもいい。
でも、
ちょっとだけでも、自分で選べたら。
それも、ちゃんと、まるでした。




