クマノミゆらゆら
ころぷくとヒトデは、
砂の海をゆっくり進んでいました。
ころころ。
すいー。
三本の足で、
ゆっくり進むヒトデ。
ころころ転がる、ころぷく。
ふたりのペースは、
ちょうどよく合っていました。
そのとき。
ゆら、ゆら、ゆら。
サンゴのそばで、
ふしぎなものが揺れていました。
細い手のようなものが、
水の中でゆらゆら揺れています。
「……あれ、なんだろう?」
ころぷくが近づこうとすると――
ぴゅん!
オレンジ色の小さな魚が、
その中から飛び出してきました。
「ストップー!!」
ころぷくはびっくりして
ぷくーっとふくらみます。
「ご、ごめんなさいっ!」
魚は、
ころぷくを見て目を丸くしました。
「うわっ、ふくらんだ!」
ヒトデが、そっと言います。
「あの……ここ、なに?」
すると魚は、
胸をはって言いました。
「ここはね、ぼくのおうち!」
「ぼくは クマノミ!」
そして後ろのゆらゆらを指さします。
「これは イソギンチャク。
ぼくの大事なおうちなんだ!」
ころぷくは、
おそるおそる聞きました。
「でも……それ、
ちょっと……こわそう」
イソギンチャクは、
毒を持っている生きもの。
触ったら
ピリッとしてしまうのです。
クマノミは、
ちょっと得意げに言いました。
「へへーん」
「ぼくは平気なんだよ!」
そう言うと、
ゆらゆらの中へ、
すいっと泳いで入りました。
「ほらね!」
ころぷくは目をまるくしました。
「すごい……」
ヒトデも言いました。
「ぼくは砂の上が好き。
ころぷくは転がるのが得意」
クマノミは言いました。
「ぼくはこのゆらゆらが好き!」
しばらくして、
クマノミはころぷくを見ました。
「ねえ、きみたち
どこ行くの?」
ころぷくは、
ちょっとドキドキしながら言いました。
「サンゴの祝福を……
見に行こうと思って」
クマノミの目が
きらっと光りました。
「それ、聞いたことある!」
「友だち100匹で見られるってやつ!」
ころぷくは、
少し恥ずかしそうに言いました。
「いま……まだ
二匹だけど」
クマノミは
にこっと笑いました。
「じゃあさ!」
「三匹目、ぼくでいい?」
ころぷくの体が、
ふわっと軽くなりました。
そして、ころぷくは
いつもの言葉を言います。
「ぷくっと……」
ころぷく、ヒトデ、クマノミ。
三匹は顔を見合わせました。
「よくできました!」
ゆらゆら揺れる
イソギンチャクのそばで、
またひとつ
小さな友だちが増えました。




