オライオンの棺
我が落命の後に遂に棺なし
我が悲劇の後に遂に棺なし
愚衆 我が生を弄び
夜空に我が骸を投じて吟ずるに曰く
おお 狩人の中の狩人よ と
おお 人の身にて神の御業なすものよ と
その詩に何の真あるや
ただ 祭日の宴に供せらる贄一つに如かず
天に獲物求むることあたわず
ゆえに天に我が生なし
もはや唯 我が棺のあらんことを願うのみ
棺に眠りて再び覚めざることを願うのみ
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オライオンの光よ 冬の空のあるじよ
囚われたるか天に 我らヒトの物語に
我らまたも同胞を天に縛りて
地上に蠢きて歌に酔い 自らを顧みることなし
願わくば棺たらん 我らこそ地上の棺に
その愚かしさの証を鉄の棺とし 囚われの狩人を遂に眠らせん
願わくば棺たらん 我らこそ彼の者の棺に
オリオン座は名のある冬の星座だが、勝手に祭り上げられた当人はとんだ迷惑だろうね。死んだ後に狩りもできないで空に縛られているんだから……。
そういうふうに、昔言った知人がいた。その知人の厭世的な宇宙観というか、ひねくれた星座への視点が妙に好きで、半ばその視点を盗むような形で星に関する作品の下敷きにしている。
言うまでもなく「宇宙の天秤」や「星は僕らを憎んでる。」の姉妹作品ということになる。数が増えたらシリーズ化してもいいかもしれない。




