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オライオンの棺

作者: 暇庭宅男

我が落命の後に遂に棺なし

我が悲劇(トラゴイディア)の後に遂に棺なし


愚衆(ぐしゅう) 我が生を(もてあそ)

夜空に我が(むくろ)を投じて(ぎん)ずるに(いわ)


おお 狩人の中の狩人よ と

おお 人の身にて神の御業(みわざ)なすものよ と


その(うた)に何の(まこと)あるや

ただ 祭日(さいじつ)の宴に(きょう)せらる(にえ)一つに()かず


天に獲物求むることあたわず

ゆえに天に我が生なし


もはや(ただ) 我が棺のあらんことを願うのみ

棺に眠りて再び覚めざることを願うのみ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オライオンの光よ 冬の空のあるじよ


囚われたるか天に 我らヒトの物語に


我らまたも同胞(はらから)を天に縛りて


地上に(うごめ)きて歌に酔い 自らを顧みることなし


願わくば棺たらん 我らこそ地上の棺に


その愚かしさの証を鉄の棺とし 囚われの狩人を遂に眠らせん


願わくば棺たらん 我らこそ彼の者の棺に

オリオン座は名のある冬の星座だが、勝手に祭り上げられた当人はとんだ迷惑だろうね。死んだ後に狩りもできないで空に縛られているんだから……。


そういうふうに、昔言った知人がいた。その知人の厭世的な宇宙観というか、ひねくれた星座への視点が妙に好きで、半ばその視点を盗むような形で星に関する作品の下敷きにしている。


言うまでもなく「宇宙の天秤」や「星は僕らを憎んでる。」の姉妹作品ということになる。数が増えたらシリーズ化してもいいかもしれない。

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