第一、隊長
編集してきます。不定期
彼女は宝石そのものだった。髪、瞳、爪、全て宝石で出来ていた。
そして彼女は宝石を作る事が出来た。
とても慈悲深かった。
彼女は願った。宝石の雨を降らせて欲しいと。
その日、東京中に石の雨が降った。
死者数十万、多くの血が流れた。
力、愛、情熱、それらを象徴する革命の色、それが赤である。しかし、赤は危険を表す色でもある。
目の前にいる少女の髪の色は赤だった。昨今の世では不吉の象徴、そう言われていた。
半年前、件の少女が見つかったという連絡が、現在、裏社会を震撼させていた。
ーー
2世紀前から世界を変えた力、異能力、時にそれは暴走する。
「あれは…」
交差点に突如現れた。人々はその怪物を見上げる。
怪物は腕を回し、建物を破壊し始める。
急速に興味が恐怖へと変わる。人々は逃げ惑う。
5月18日、午後2時24分、東京都渋谷区、暴走を確認。
「作戦行動を開始する」
「1班、目を狙え、2班、3班は足止め用の銃弾を用意、4班は本体の解析を頼む、後は俺の援護だ」
十字路には異形の怪物、そしてそれを見下ろすビルの上の男。その周りには伏兵。
「でかいな~こりゃ、解析に時間がかかりますわ。隊長、10分はかかりそうです」
路上に停めてあるトラックの中には数台のモニターとタッチパネル、そして椅子に座っている少女が1人。
「作戦に変更はなし、核は多分左下にある。そこを探れ」
「了解でーす」
「1班、発射準備完了」
「2班、発射準備完了」
「3班、発射準備完了」
ビルの上の男は手を挙げる。
「放て」
銃弾は怪物に命中する。目を貫通。怪物は痺れる。
「グぁぁああああ」
怪物は悲鳴を上げる。
「隊長、核を特定しました。位置座標を送ります」
「よし、後は俺に続け」
男はビルから飛び降りる。壁を走る。跳ぶ。
怪獣の左足に一太刀、もう一太刀、左足は宙に放り出され、さらに半分に切られる。
そこには人間の姿があった。
男はキスをする。それはそれは情熱的に。
「5班、核を確保します」
「6班、処理を行います」
「よし、全班に告ぐ、5分後に撤退を完了する。速やかに離脱せよ」
「さすがたいちょうー、どうして核が左下だって分かったんですか?」
「空気の流れだよ、左側に流れていた」
「どうやって分かるの?」
「そこは感覚さ」
ーーー
とある高層ビルの最上階、そこで隊長と彼らはテーブルを囲い話し合っていた。
「ご苦労だった。諸君。後始末はいつも通り警察がやる。俺たちの仕事はここまでだ。皆、何か報告があればしてくれ。なければ各自解散とする」
その言葉を聞いてその場にいた8人のうち6人は皆立ち上がった。
「あ、ちょっと待って、みんなでお話してこうよ」
座ったままの1人の少女がそう提案する。
「駄目だ、晴華。隊長はそのような事を望んでいない」
そう言った彼女は副隊長だ。
「それは隊長に聞かないと分からないでしょ。どうですか?隊長」
「話したいことがあるなら話せばいい、世間話を聞くつもりはないぞ」