表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

脇差の独り言

初出 : 2015/08/06 pixiv


…すっと浮上する感覚


その感覚に疑問を覚える間もなく情報が奔流のように流れてくる

意識が押し流されそうになるけれど、そうならないギリギリに調整されてるようでこうやって考える余裕がある

僕だって目が覚めたばかりで今の自分のことなど欠片も把握してないのに向こうには全て把握されてることに苛立ちを覚える


叩き込まれたものによれば、僕は歴史修正主義者とやらと戦う為に審神者なるものが政府の指示によって呼び起こした、らしい。


でも僕の記憶は兼さんと引き離された所で終わっている。あの後僕がどうなったかはわからないけれど、今まで起きることがなかったのだから希望的観測はできない。なのに何故、僕は今此処に在るのか。


当然のことながら、この答えも向こうから示された。


僕らは九十九神。人の想いが込められたモノに宿るもの。


その物本体だろうが、それに与えられた名に対する想いだろうが、モノに対する人の想いには変わりがない。


だから例え行方知れずでも、その存在が知れ渡っていれば問題はない。

実在が疑われてようが関係ないのは、半ば伝説となって神話に近しくなっているからなのか


とりあえず、真贋すらはっきりしない僕が、そこまで含めて広く知れ渡っているのはそれだけ後の世で作られた主達を題材にしたモノが人気だったということだろう。それはかなり誇らしい。


けれど…やっぱり自分の行方がわかってない、現存しない可能性が高いなど、記録として見たくはなかった。まあ、兼さんが無事で今も主の刀として大切にされてるのがわかったことがそれよりも僕には重要なことだけれども。


兼さん…和泉守兼定。僕とは違って、兼定の真作で、ただ一人の主しか知らない兼さん。主と一緒に写真に写って、今も残って主を語り継いでる兼さん。


今でも自分という存在に疑問を持ってしまうような僕が呼ばれたなら、あの華麗な刀が呼ばれているのは確実だろう。

主の脇差たる僕だけが本差たる兼さん差し置いて選ばれる訳ないんだから。


やっぱり、大小揃ってこその土方歳三の脇差だろう。


「すみませーん。こっちに兼さん…和泉守兼定は来てませんか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ