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バカはしんでも治らない  作者: すし河原たまご
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レナとゴウの理由

一方レナは、みんなと別れた後アカサを心配していた。


(大丈夫かなアカサ・・・3年前のことがあるし、もし虚獣に対してトラウマがあったら・・・いや、大丈夫よね!いまのアカサはシークと出会って、前を向けてる。

今は自分のことを心配しなきゃ!)


レナは自分の頬を軽く叩き気合をいれる。


(・・・アカサもシークもゴウも、みんな何か目標があって学校に入った。でも私は・・・)


「ギャー、ギャー」


そんなことを考えながら歩いていると、木の枝にとまっていた飛行型の虚獣が飛びながら襲いかかってきた。


「っ!バット!」


[虚獣 バット]


飛行型の中でもE級と1番弱い。姿はコウモリのような形をしていて、不規則に飛んでいるので、攻撃が当てづらくE級の中では苦戦しやすい。


「くっ!」


レナは一直線に飛んできたバットを、横に転がりながら避けて、すぐさま攻撃に転じる。


「はっ!」


レナの斬撃は、ヒラヒラと避けられ当たらない。


(動きが不規則すぎて、全然剣があたらない・・・!)


「ギャー」


バットは攻撃をかわしながらレナの背後に回り、背中に向かって一直線に飛び鋭い爪で裂いてくる。


「きゃ!」


体に纏ってたオーラが削れる。


(このままじゃ防戦一方・・・)


レナは少し息を切らしながら、削られた分を再び纏いなおす。


(そもそも私は戦うのは好きじゃないし、この学校に入るつもりはなかった。でも・・・アカサが心配だったから・・・)


3年前、目の前で母親が虚獣に殺され、そこから父親と喧嘩して、あの時のアカサは心が壊れかけていた。

そんな時、この学校に通うと聞き、また虚獣と戦う事を心配したレナは一緒に入学する事を決めた。


(そんな理由で冒険者を目指す人が通う学校に入るなんて、普通に考えたらただのお節介だよね・・・でも、しょうがないじゃん・・・アカサのこと、好きになっちゃたんだから)


レナは再び剣を構え、バットに斬りかかる。

しかしまたしても、ヒラヒラと避けられ背後に回られる。


(学校に入ってアカサはシーク、ゴウ、サラ、みんなと会ってから、子供の頃の明るいアカサに戻って行った。それが、すごく嬉しかった)


「ギャー」


バットは再び鋭い爪で背中を攻撃してくる。


「やっぱり・・・攻撃の時だけは一直線に飛んできてくれるから、攻撃が当てやすいね!」


ザシュ


「ギャー・・・」


見事にカウンターが入り、バットは煙のように消えて、地面に魂石(こんせき)が落ちる。


「ふぅー・・・」


(みんなみたいに立派な目標はないけど、好きな人を追いかける。年頃の女の子が掲げる目標としては正解だよね。だから、これからも強くなっていかなきゃ!)


レナは強く決意し、再び虚獣を探して歩き出した。



♢♢♢



一方ゴウはというと、ようやく酔いが良くなってきた。


(ああー、ようやく落ち着いてきた。アカサには悪いことしてしまったな)


少しフラフラした足取りで虚獣(きょじゅう)を探す。


(それにしても、シークがもう魂創器(ソウル)を出せるようになっていたとはな。俺もはやく親父みたいに、魂創器を使って武器を作りたいな)


ゴウの家は王都では有名な鍛冶屋。

そしてゴウの父親、祖父と代々、魂創器はハンマーの形で具現化し、それを使い武器を作ってきてる。

学校に支給されてる武器も全部がゴウの家からだった。


(それにしても、親父が打った剣があんなに粉々になるとは、それほどシークとアカサがすごかったんだな。でも・・・やっぱ武器が壊れるのはあんま好きじゃないな)


そんなことを思いながら森の中を歩く。

すると・・・


「グラァ!」


獣型の虚獣が木を倒しながら、こちらへ向かってくる。


「ベアか!」


[虚獣 ベア]


姿は熊の形をしており、大きさは2〜3mとでかい。獣型は力が強く、一撃が致命傷になりかねない。


「がっはっはっ!でかいなー!力比べといこうか!」


ゴウはみんなが装備してるより、一回りでかい両手剣を思いっきり振り下ろす。


「おらぁー!」


ベアはそれを片手で止める。

しかしゴウの力が勝っているのか、どんどんベアは後ろに下がっていく。


「どうした!おらぁー!」


ベアはたまらず空いてる片手で反撃してくる。


「グルァ!」


「むっ!」


ドカッ!


ゴウは近くにあった木に、叩きつけられた。

しかし、咄嗟に剣でガードし致命傷は免れる。


「いやーやるなー!さすが獣型、力が凄いな!」


ベアの力に驚きつつも、楽しそうに笑う。

すると、ゴウは自分の持っている両手剣を慌てるように確認する。


(はっ!・・さすが親父の打った武器、E級のベアくらいじゃ簡単に壊れたりはしないな・・・これが子供の頃、親父が言ってた人を守る武器!)


ゴウは子供の頃から鍛冶場が好きで、よく父親が打ってるところを見学していた。

カン、カンと鳴るハンマーで硬いものを叩く音、焼けるくらい熱い空気それが好きだった。

しかし、鍛冶場にいると嫌いな光景も見ることがあった。



♢♢♢



『すいませーん』


『・・・おお、いつもの冒険者さん!どうしたんですか?』


剣を打ってる手を止め、冒険者に近寄る父親。、


『いやーまた壊れちゃいましてね。修理とかってお願いしてもいいですかね』


冒険者の手には、刃が半分に折れた剣が見えた。


『こりゃ見事に真っ二つに折れてますな。・・・それより怪我とか大丈夫で?』


『怪我は全然!この剣が守ってくれましたから』


冒険者の話を聞くと仕事を終えて帰る道中、虚獣に襲われてた村の人を助けた時に折れたらしい。

それを聞いた父親は嬉しそうに頷く。


『うん、うん!そうか、この剣は人を守って役目を終えられたんだな。良かった!』


ゴウは今でもその顔を鮮明に覚えている。

ただ、この頃から武器が壊れるのが嫌だったゴウは冒険者が帰った後、父親に文句を言った。


『なんで笑ってられるんだよ!一生懸命打った武器が壊れちゃったんだよ!』


『ゴウ・・・』


『父さんが打った武器は凄いんだ!そんな簡単に壊れないんだ!・・・きっと、さっきの冒険者が弱いから壊れたんだ!』


『ゴウ!!』


『っ!』


いつもニコニコしている優しい父親に初めて怒鳴られた。

こちらに歩いてきて、ゴウと目が合うようにしゃがみ、笑顔でこう言った。


『いいかゴウ、武器なんて物はいつか壊れる。俺たち鍛治氏は神様なんかじゃないんだ』


『父さん・・・』


『それに、俺はこの剣が壊れた理由を聞いて嬉しかった。だって人を守ったんだ、俺の打った武器が!』


父親はゴウを抱えて鍛冶場を出る。

大通りは依頼を終えて帰ってくる冒険者達が歩いている。


『冒険者達が、虚獣を倒してきてくれるから俺たちは平和に暮らしてられる。でも、人間の命はひとつしかない。それでも勇気を持って頑張ってくれてる。・・・だから武器が壊れるのは、その人がたくさんの人を守ってきた証拠なんだ。鍛治氏としてこんなに嬉しいことはない。そうだろう、ゴウ』


『うーん・・・でも、やっぱ壊れるのはいやだ!』


『がっはっはっはっ!まぁ、そのうちわかるだろう』


父親は豪快に笑い、ある伝説の鉱石の話をする。


『知ってるかゴウ、この世界には伝説の鉱石というものがあるらしいぞ!それを素材にして打てば絶対に壊れない武器が作れるそうだ』


『なに、それ!どこにあんの?』


『がっはっはっ、わからん!・・・ゴウ、冒険をするんだ。そしたら、いつか見つけられるかもな!』


もし、そんな鉱石があるなら欲しい。

それで絶対に壊れない武器を打つんだ。


そう決意し、冒険者になる為にゴウはこの学校に入った。



♢♢♢



「グルァ!」


ガキン!


(おっと、思い出に浸ってる場合じゃないな!)


ベアの猛攻を両手剣で、しっかりガードする。


(それにしても、これが虚獣か!いくら親父の武器が凄くても、こんなやつと戦い続けてたらそりゃ壊れるはずだ・・・こうやって昔から親父は冒険者達を武器を作るという形で守ってきたんだな!)


「おらぁー!」


ゴウはガードしたまま前に出て、ベアとの距離を縮ませる。

そして、次の攻撃を弾くとベアは後ろに倒れる。


「なかなか良い攻撃だった!今度はこっちの番だ!」


ザシュ!


「グルァ・・・」


力任せに振り下ろした斬撃は、ベアを縦に一刀両断した。

ベアは煙のように消え、地面に魂石が落ちる。


「お!初めて自分で獲った魂石。これは大事に持って帰って武器を打つ時に使わしてもらおう!」


ゴウは嬉しそうに拾う。


(・・・あれ?でもこれって先生に見せたら、回収されるのか?・・・まぁ、1体多く倒せばいいか!)


「がっはっはっはっ!」


ゴウは初めて虚獣と戦い、改めて父親の凄さが分かると、ウキウキで次の虚獣を探すべく歩き始めた。


続く

 































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