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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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サラVSヨウ(15)

『ほんとに、荷物こんなに少なくて大丈夫なんですか?』


集落を出て直ぐ、サラは荷物の入ったカバンを見ながら聞く。

カバンの中にはディアロが持ってきた学校指定の白い制服の替え2着と、何かあった時ようのお金くらいだった。


『生活に必要な物は学校の寮に準備してあります。安心してください』


ディアロは微笑みながら問題ないと言う。

それでも、初めて1人で王都に行くと言うのにこんな少ない荷物でいいのかと不安が拭えないサラだったが、父親達が信頼しているディアロを信じ、そっとカバンを閉じた。


ウツロの森と王都を繋ぐ大きな道に出る為、集落専用の雑に整備された道を進む中、再びサラは口を開く。


『ディアロ様って英雄だったんですよね?』


『ええ』


『・・・英雄ってどうやったらなれるんですか?』


『おや、英雄に興味がありますか?』


『す、少しだけ・・・』


学校に通うまでの数年間、あまりにも暇だったサラはあまり好きでは無かった読書をしようと思った時があった。

父親の部屋にある本棚を眺めて、何を読もうか悩んでいる中、1冊の少し古い本が目に入った。

本の内容は兄妹が村を襲う虚獣(きょじゅう)を倒し、英雄と呼ばれるようになったという物語だ。

あまり本を読むのが好きでは無かったサラだったが、気がついたら最後まで読んでしまうほど夢中になっていた。

その日から、サラの頭の中に英雄という言葉が強く残り続けていた。


『そうですか。・・・では、まずサラさんは英雄って何だと思いますか?』


『え、えっと・・・虚獣(きょじゅう)を倒して、沢山の人から感謝された人の事・・・?』


『そうです。本来、英雄とは大小問わず虚獣(きょじゅう)から人々を救ってきた者達を讃える為に、いつしか昔の人が言い始めた言葉だったらしいです』


虚獣(きょじゅう)が溢れていた原初の時代。

大陸各地で虚獣(きょじゅう)が村や街を襲うことが当たり前だった時代。

そんな未知の怪物、虚獣(きょじゅう)に怯える人達がいる中、自分の住む場所を守ろうと立ち上がり、虚獣(きょじょう)の脅威から村や街を守った者を讃える称号、それが英雄と言う言葉だった。


『本来って事は・・・今は違うって事ですか?』


『ええ。現在は実力は勿論、実績を評価された4人に与えられる称号です』


『実績?』


『例えばですが、絶対に無くなってはならない王都を壊滅の危機から救うなどですかね』


王都は白の大陸、シロビト達を治める王の住む場所。

そんな王都を壊滅の危機から救うくらいの実績がないと英雄にはなれない、そう言われたサラは実際に英雄となったディアロが何をして英雄になったのか、凄く気になり興味津々に聞く。


『ディアロ様は何をして英雄になったんですか?』


『私は・・・昔、1人のアクジンを捕まえました。何十年も人々に迷惑をかけ、それはそれはとても悪く、そして哀しいアクジンを1人・・・』


『ディアロ様・・・?』


『すいません。少し、昔を思い出してしまいました。・・・とにかく、英雄となるには我々大陸に住む全シロビト達にとっての脅威を消し去るくらいの事をしなければなれないと言う事です』


英雄、その言葉を知った時、それに自分がなれば誰もが認めてくれて、そんな自分を育てたムクロ(みんな)の事も見る目が変わる、そう思っていた。

ただ、ディアロの話を聞き、英雄になる事がとても困難な事と知ったサラは肩を落とす。


『サラさんが冒険者になりたい理由はお父様からの手紙で何となく知っています。・・・年々、虚獣(きょじゅう)が減り、村や街などを襲う事が減ってきていると言っても、この世界はまだ脅威に溢れています。誰かが救いを求めています』


サラの顔が自然と上がる。


『今、世界が求めているのは英雄ではありません。虚獣(きょじゅう)を1体でも倒してくれる勇気ある人です。無理に英雄なんてものを目指さなくても、色々な人から感謝される人は沢山いますよ』


『・・・!』


『それに、先ほども言ったでしょう。英雄とは本来、大小問わず虚獣(きょじゅう)から人々を救ってきた者達を讃えるただの言葉。囚われすぎるのも毒ですよ』


『はい!』


大きな光は時に人を狂わせる。


英雄と言う大きな光を纏う言葉に囚われそうになっていたサラを、ディアロは優しく解放した。


ディアロに会って数時間しか経っていなかったサラだったが、これをきっかけに完全にディアロへ心を許し始めた。

それくらい優しい雰囲気をディアロは纏っていた。


『あ、あのディアロ様・・・』


『どうしました?』


『え、えっと、その・・・おじいちゃんって、呼んでいいですか・・・?』


『ええ、もちろん構いませんよ』


それから、サラはディアロをおじいちゃんと呼び、他愛のないに会話をしながら、ウツロの森と王都を繋ぐ大きな道に向かうのだった。


続く。





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