リベンジ(2)
「アカサ立てる?」
「ああ」
差し伸べてくれたレナの手を掴み、立ち上がる。
─危なかった・・・レナの声が聞こえた瞬間、地面を蹴って前に行くのをやめたおかげで、少しのダメージですんだ・・・前の俺なら、あのまま前に行って大ダメージを負ってたな。
アカサは斬られて削られた分のオーラを再度体に纏い直しながら、仲間の声を聞く大事さを実感する。
─ さて、どう戦うか・・・オーラを正しく纏えるようになって強くなったとはいえ、まだ僅かにC級の虚獣の方が力、速さは上・・・倒すには4人で一気に攻めて、武器を変化させる暇を与えさせない!
「みんなで攻めよう」
「そうだね」
「やるか!」
「わかりました・・・!」
一斉に攻撃を仕掛けようとジンの方へ武器を構える。
ジンはそれを悟ったのか、両手で持っている長い槍をぐにょん、と変化させる。
変化させたの身軽でコンパクトに振れる双剣。
そして、その場で軽くジャンプをし着地した瞬間、こちらへものすごい速さで突進してくる。
「アーッ!」
「俺がはじめに行く!」
怒りの声を発しながら突進してくるジンに、いつも通りゴウがタンクとなって前に出る。
「アーッ!」
「ぐっ!」
初めに対峙した時は平気そうな顔でガードをしていたゴウだったが、今は思わず声を出してしまうほど苦しそうな表情でガードをしている。
(さっきとは力も速さも全然違う!それに、的確にガードの隙間を攻撃してきやがる!)
ジンは着実にゴウの体に纏っているオーラを削っていく。
ゴウは猛攻に耐えきれず、つい後ろへ下がってしまう。
ジンは直ぐに槍へと変化させ、後退したゴウ目掛けて槍を突く。
「しまっ!」
ガキンッ!
「大丈夫だゴウ!」
突いてきた槍をアカサが剣で横に弾く。
弾かれた槍に体がもっていかれ、横に体勢を崩したジンへレナとサラがすかさず攻撃を仕掛ける。
ジンは弾かれた槍に体を預け、一回転して槍を薙ぎ払うが、2人はそれをしゃがんで避ける。
そしてレナが懐に潜り込むと、ジンは再び槍を双剣へと変化させ、潜り込んできたレナに両手を上げ一気に双剣を振り下ろした。
それをレナはガードしようと構える。
その瞬間、両手に持っていた剣は鈍器へと変わり、双剣を振る速度で振り下ろされた鈍器は凄まじい勢いでレナの頭目掛けて振り下ろされる。
(予想、通り!)
レナは待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべ、振り下ろされた鈍器を剣で受け流す。
(っ、手が痺れてる・・・!すごい力。でも、何とか受け流せた!)
受け流された鈍器は地面を思いっきり叩き埋まるような形になる。
レナは力のない私がガードしようとしたら、高い確率で鈍器に変化させるとよんでいた。
だから、最初から攻撃のために懐に潜り込んだわけではなく、攻撃を受け流し隙を作る為に潜り込んだ。
レナの思惑に引っかかったジンは直ぐに鈍器を双剣へと変化させ、地面から武器を抜き取る。
しかしその一瞬の隙をサラは見逃さない。
槍で猛攻を仕掛け、変化させる隙を与えない。
双剣から他の武器へ変化させる暇を一切与えず、遠い間合いから一方的に攻撃をくらわす。
痺れを切らしたジンは堪らず槍へ変化させた。
その瞬間、ほんの少し防御が緩み、サラの槍はジンの片手を斬り落とす。
「アーっ!!」
怒りの声を上げると、ジンは背を向け逃げようとする。
サラは追撃しようとするが、先程の猛攻で体力を使い切ってしまい、足が思うように動かない。
膝を着き、息を切らしているとサラの横をアカサが通り過ぎてく。
─ 逃げられる!人型は唯一成長する虚獣、ここで倒さないと!
アカサは剣を鞘にしまい居合の構えでフラフラと逃げるジンに突撃する。
「アーーッ!!」
ジンはそれに気付くと怒号をあげながら最後の力を振り絞り、残っている片手で突っ込んでくるアカサへ槍を投げた。
─ っ!?まだ、そんな力が!
予想外の攻撃。
避ける事は出来ない。
鞘でガードする事はできるが、ガードをしたら逃げられる。
自分の身を守って虚獣を逃すか、自分の身を傷つけて虚獣を倒すか。
アカサは迷わず後者を選んだ。
ここで逃したら成長してまた現れて誰かが被害に遭うかもしれない、そう思ったから。
それに、ジンの投げた槍が自分の体に届かないと気づいたから。
槍は真っ直ぐアカサに向かう。
すると、大きな体がアカサの目の前に現れる。
「おらぁ!これで貸し借り無しだ!」
そう言いながら、ゴウはジンの投げた槍を両手剣で弾いた。
「行けぇ、アカサ!」
アカサは振り返らなくても感じていた。
ゴウが後ろにいることを。
走る勢いを落とさず居合の構えのまま、背を向けて逃げるジンヘ迫る。
─ レナが隙を作り、サラが追い詰め、ゴウが守ってくれた。3人がつくってくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしない!一撃で仕留める!!
鞘に勢いよくオーラが纏われていく。
─ 纏え!まだだ、もっとはやく、速く纏え!腕からじゃ遅い、もっと身体の内側から、魂から!!
すると鞘が純白に染まる。
「逃すかぁー!」
ジンに迫ったアカサは一気に鞘から剣を抜き、純白に光っている刃がジンの胴体を真っ二つにした。
「アー・・・ッ」
ジンは感情の無い声で鳴くと煙のように消えた。
魂石が地面に落ち、アカサの剣は鉄色に戻っていた。
続く




