リベンジ
次の日もオーラを上手くコントロールするべく、ウツロの森へは行かず学校内での特訓となった。
この日は、体に上手く纏う方法を教えてもらう。
この世界の人間は魂を持って生まれた以上、冒険者、一般人、赤子とわず少なからず身体の中をオーラが循環していて、常に体にはオーラを纏っている。
というのも、オーラが身体の中を循環しているからか、肉眼では見えないほどの薄いオーラが自然と体全体を覆っていた。
だから、オーラのコントロールを出来ない一般人、赤子でも刃物などで身体を傷つけることはなかった。
体に上手く纏う方法とは、その常に体全体に纏っている肉眼では見えないオーラを押し上げるように、身体の中からオーラをコントロールする事だった。
前までは纏うと言うよりは、オーラを外に出して覆っている感じで、見た感じは多く纏っているように見えたが武器同様、強度はなかった。
しかし、このやり方で纏えば、強度は上がり防御力も上がる。
特訓が始まると、昨日の循環しているオーラをコントロールする感覚が残っていたのか、4人とも数時間で出来るようになった。
前までは体の周りをゆらゆらとオーラが漂っていたが、今は身体に沿うようにオーラが纏われている。
体に上手く纏う事が出来た4人はその後、とりあえず腕から纏うやり方で動けるように特訓をし、この日は終えた。
その次の日から、ウツロの森へ行き虚獣と戦ってオーラの量を増やしたり、学校内でオーラのコントロールをしたりと特訓をひたすら行った。
そして、2週間後。
4人とも腕から纏うやり方である程度動けるようにまでなり、長太い棒を斬れるようにまでになっていた。
ドルト先生は4人がC級の虚獣を倒せる実力がついたと判断したのか、今日、久しぶりにC級へ挑む為、ウツロの森へ向かっていた。
C級の出るエリアへ向かう道中、E級、D級の虚獣が出るも4人は慌てることなく、一振り、二振りで倒していった。
そして、無傷でC級のエリアへ着く。
─ C級と戦うのはレオぶりだ。あの時の俺はどうかしていた・・・1人で強くなろうと突っ走って、仲間の声を無視していた・・・。
森を進むアカサの足取りは軽い。
すると、目の前からこちらへ歩いてくる虚獣の姿が見えた。
─ 初めは重く感じていたこの空気も、今は何も感じない。強くなったから・・・いや、それもあるけどレオの時とは大きく違う事がある。俺は・・・俺の近くには、いつも支えてくれていた仲間がいる事に気付けたこと。1人で強くなろうとしなくて良い、みんなで一歩ずつ強くなればいいんだ。そして今日、みんなでC級の虚獣を倒す!
そう心の中で強く思った瞬間、虚獣はこちらへ走り出した。
「行くぞ!」
「うん!」
「おう!」
「はい!」
4人はオーラを纏い、戦闘体制に入る。
現れたのは初めてC級と戦った時と同じ、人型のジン。
身長は170センチくらいと前よりも小柄で持ってる武器が大剣ではなく双剣だった。
長さ70センチくらいある短めの剣を両手に持って襲いかかってくる。
「俺に任せろ!」
そう言って、ゴウが前へ出た。
「アー♪」
と楽しそうに鳴きながら、ジンは両手に持った剣を振り回しゴウに斬りかかる。
ゴウは両手剣の面の部分をジンに向けガードする。
時折り、ガードの隙間から体に当たる事もあったが、平気そうな顔でガードし続けた。
「がっはっはっ!どうした、全然効かんぞ!」
「アー♪」
構わずジンは楽しそうに鳴きながら斬り続ける。
「楽しそうにしてる所悪いが、俺達はC級を倒しにきたんだ!」
ガードしているゴウの横を通り、ジンの胴体にアカサは剣を振る。
ジンはそれに気付き攻撃をやめ、後ろへ跳んで回避行動をとったが、微かにアカサの斬撃はジンの胴体に傷をつけていた。
─ よし!C級の体を斬れた!
学校でC級と同じ堅さの棒を斬る事は出来たが、少しだけ不安もあったアカサだったが、実際に剣がジンの体を斬った手応えを感じ、心の中で小さくガッツポーズをした。
「アカサ、ゴウ、どうだった?」
レナとサラは2人に駆け寄る。
「この前とは全然だ!今の所、余裕で攻撃は耐えられる」
あんなに斬り続けられたゴウはほとんど無傷の状態でいた。
「アカサは?」
「斬ることは出来た」
「そっか。じゃあ、ここからが本番だね」
4人は気を引き締めてジンの方へ武器を構える。
ジンは斬られたところを押さえていた。
C級のジンには[楽]、[怒]の感情が芽生える。
痛いという感情は無い。
ただ、楽しく遊んでいただけなのに・・・何で斬るの・・・?
「アー・・・アーッ・・・アーッ!・・・アーーッッ!!」
ジンは怒った。
おもちゃをとられて癇癪を起こす子供のように。
自分の体を傷つけたアカサ達を殺す為に。
「っ!来るっ!」
先程とは全く違う速さで襲いかかってきた。
それを4人はバラバラに避ける。
ジンの攻撃は地面を叩き、叩いた地面を深さ5センチほどへこませた。
4人は避けると、直ぐに態勢を整えてジンの方に武器を構えた。
そして、驚いた表情になる。
地面をへこませたことでも、速さや力が上がっていることにではない。
ジンの持っている武器に驚いた。
─ さっきまで両手に短めの剣を持ってたよな?・・・それなのに何で今は両手に太い丸太のような鈍器をもってるんだ!?
[武器の形状変化]
前にも言ったが、C級の虚獣からは特殊な行動をしてくる。
獣型のレオは[爪牙]と呼ばれる斬撃を飛ばす攻撃をしてきた。
もちろん人型にも特殊な行動がある。
それが武器を様々な形に変化させる事だ。
変化するたびに間合いは変わり、威力も振る速さも変わってくる。
それに加えて、さらにもう一つ厄介な事があった・・・。
ジンは間髪入れずにまだ困惑しているアカサに襲いかかる。
「っ!俺かよ!」
両手に持ってる鈍器のようなものを振りかざしながら、走って近づいてくる。
「アーッ!!」
─ 何でその体格でそんな太い棒を片手で振り回せるんだよ!っていうか、どこからそんな物取り出したんだ?もしかして人型の特殊行動か?
力のまま思いっきり振り回す鈍器を、アカサは受け流しながら攻撃を耐える。
─ よし、段々慣れてきた。次、大振りが来たら避けて反撃する!
最初は困惑していたが次第に落ち着きを取り戻していく。
「アカサ、待ってろ!今行く!」
「私も・・・!」
ゴウとサラがアカサの下へ駆け寄ろうとする中、レナは人型の持つ特殊行動の1番厄介な点に気付く。
「・・・はっ!待って、アカサ!」
そう声をかけた瞬間、アカサは後ろへ跳び回避行動をとっていた。
そして次の瞬間、アカサはジンの持つ長い槍で斬られた。
「ぐっ!」
アカサは膝をつく。
「アカサ!おらぁー!」
アカサを追撃しようとしていたジンに、駆けつけたゴウは両手剣を振り下ろし阻止する。
それをジンは避け、後退する。
「アカサ、大丈夫!?」
「あ、ああ・・・何とか」
みんな、アカサの下へ集まる。
「人型の特殊行動は武器を変化させるみたいだね」
「ああ、しかも素早く・・・」
斬られたアカサも気付いたみたいだ。
人型の特殊行動で1番厄介な点に。
レナが声をかける数秒前、ジンは両手を振り上げ大振りの攻撃をしようとしてきた。
アカサはそれを後ろへ跳んで回避し、着地した瞬間に地面を蹴って反撃をしようとした。
しかし、その大振りを避けようと後ろへ跳んだ瞬間、両手に持っていた鈍器はいつの間にか槍へと変わっていた。
急に間合いが伸びた攻撃をアカサは避けきることができず、斬られてしまった。
「あいつの1番厄介な事は武器を変化させるのが速いことだ」
そう、人型の特殊行動で1番厄介なのが武器を変化させる速度だった。
斬り合う前に武器を変化してくれたら、あらかじめ対応はできるが、斬り合ってる最中に変化されたら、急に間合いなどが変わるので対応するのが一段と難しくなる。
─ さて、どう戦うか・・・。
久しぶりのC級との戦い。
4人は纏い方を正しく学び、強くなった。
しかし、C級の壁はそんな簡単に越えれるほど低くはなかった。
続く




