ひび割れた覚悟
アカサは再び暗闇に包まれた空間の中に1人ポツンと立っていた。
─ C級の虚獣を倒せなかった・・・レナに怪我を負わせてしまった・・・ゴウを怒らせてしまった・・・サラを泣かせてしまった・・・ぜんぶ・・・全部・・・。
「そうだ、アカサ・・・君のせいだ」
暗闇の中、突然目の前にクロビトのシークが現れた。
口は動いておらず、声は頭の中へ響くように聞こえてくる。
「何でこうなったと思う?」
「俺が弱いから──」
「違う」
食い気味で否定する。
「アカサは強いよ・・・いや、強かった。ナイトと会うまでは。あの時、先生達から1年後戦うと聞かされた時、どう思った?」
「・・・別に何も」
「嘘だ。アカサは『今さら同学年の奴と戦うなんて・・・』、そう思ったはずだ。何でそう思ったんだろうな」
「・・・」
「自分の力に自信を持っていたからだ。模擬戦でシークと引き分けた、だから同学年の奴には敵はいないと」
シークの発する言葉に何も言い返さないアカサ。
何故なら、口から出てくる言葉は全てアカサの本音だからだ。
「アカサは自分でも気づかない心の奥でナイトを舐めていたんだ」
─ そうだ、俺はナイトを下に見てた・・・だから、ナイト達がC級の虚獣を倒したと聞いた時、頭が真っ白になって・・・。
「自分より弱いと思ってたナイト達がC級を倒してからのアカサは見ていられなかった。仲間の声を無視して1人で突っ込む。その結果レナが怪我をし、ゴウが怒り、喧嘩をしてサラを泣かせた」
「・・・」
下を向き、何も喋らないアカサへシークはさらに問い詰める。
「アカサの覚悟は上っ面だけだ」
「そんな事っ──!」
「あるだろ。大切な人を守れるくらい強くなると覚悟したんじゃないのか?」
「したよ・・・だから、何だ。今は関係ないだろ!」
その発言にシークは首を傾げる。
「何言ってるの?関係あるよ。アカサが勝手に行動したせいでレナは死ぬかもしれない攻撃を受けたんだ。また、目の前で大切な人が死ぬかもしれなかったんだぞ」
「・・・!!」
その言葉にアカサは膝をつく。
─ そうだ・・・俺の勝手な行動のせいでレナが死んでいたかもしれない・・・それなのに俺はまだ謝ってすらいない。それどころか声を荒げた・・・俺は母さんやシークのような事が起きないように強くなろうと覚悟したんだ・・・それなのに俺は、俺はっ・・・!。
ピキッ、そんな音が聞こえた。
何かにヒビが入る音。
「・・・脆いね。少し叩けば簡単に割れる。そんなもんなんだ、アカサの覚悟は」
そう言い残すと、クロビトのシークは暗闇の中に消えていった。
強くなろうと行動した結果が自分の覚悟を否定していた。
それに気付き、アカサは絶望する。
前ならば、シークがそんなアカサを照らしてくれていただろう。
他の光を隠すほどの大きな光で・・・。
続く。




