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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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笑顔

─ 何で・・・何で笑ってるんだよ。母さんもシークもレナも、何で最後は満足した顔でいるんだよ・・・何で自分の身体を投げ出してまで俺なんかを守るんだよ・・・全部俺が悪いのに・・・弱い俺が悪いのに・・・!何で・・・何でっ!!


レオの放った大技【十爪牙(じゅうそうが)】が直撃したレナは吹き飛ばされ、ぴくりとも動かない。


「レナァァーー!!」


「レナ先輩!!」


ゴウとサラの叫び声が森に響く。

2人は思うように動かせない手足を必死に動かし、レナの下へ駆け寄ろうとするが、レオはその2人に向けて【爪牙】を放った。


「「っ!!」」


2人は武器すら構えることも避ける事もできず、直撃を覚悟する。

しかし、レオの【爪牙】は2人に当たる直前で何かとぶつかり相殺した。


「大丈夫か、お前達!」


「ドルト先生!」


ゴウとサラは胸を撫でおろすが、直ぐに我に返る。


「俺達よりもレナとアカサをっ!」


「ああ、お前達は後ろに下がっていろ」


ドルト先生は2人を助けると、レオに向けて凄まじいプレッシャーを放つ。


「ガルルゥゥ・・・!」


レオはプレッシャーに気付くと唸り声を出し、近くで動けなくなっていたアカサを無視してドルト先生の方だけに敵意を向けた。

そして、再び前脚首をクイッ、クイッと縦と横に曲げて【十爪牙(じゅうそうが)】を放つ。


ドルト先生は避けようとはしない。

何故なら、避けると後ろにいるゴウとサラに当たってしまうから。


キィーンと音を立てて迫ってくる【十爪牙(じゅうそうが)】に対して、ドルト先生は片手剣の魂創器(ソウル)を振りかざし、強く一歩踏み込み剣を一気に振り下ろす。


「はあっ!」


すると、振り下ろした剣から三日月のような形をした白い斬撃が【十爪牙(じゅうそうが)】目掛けて飛んでいく。

それはレオの放った大技を掻き消し、そのまま巨大な体を真っ二つにした。


「ガゥゥー・・・」


レオは消え、魂石(こんせき)が地面に落ちた。


(な、何だ今の!オーラを斬撃にして飛ばしたのか!?)


ゴウはドルト先生の放った技に驚いていると、虚獣(きょじゅう)が消えたからなのか、自分の身体から痺れがなくなっていることに気づき、ドルト先生とサラと共にレナの下へ駆け寄る。


「ドルト先生、レナは!?」


「・・・大丈夫だ、気絶しているだけみたいだ」


「よかった・・・」


(身体からオーラが全く感じられない。全てのオーラを身体に纏わせて防御に回したのか。素晴らしい判断だ。・・・それに比べて私は教師の身でありながら生徒を危険な目にあわせるような判断を。虚獣(きょじゅう)との戦いは何が起こるかわからないと身をもって知っていたのに・・・!)


ドルト先生は自分の失態に情けない気持ちでいっぱいになる。

サラはレナが生きていた事に安心し、膝をついてその場に座り込んだが、ゴウは険しい顔をしながら茫然と立ち尽くしているアカサの下へ歩きながら近づく。


「アカサ・・・!アカサ!」


「・・・」


下を向き、一言も発さない。


「何で1人で突っ込んだんだ!明らかに虚獣(きょじゅう)の行動はおかしかった!前のお前なら違和感に気づいてたはずだ!何をそんなに焦ってるんだ!」


「・・・やく、早くC級の虚獣(きょじゅう)を倒さないと・・・シークが・・・」


「っ!」


ゴウはシークと言う言葉を聞き、怒りが爆発して思いっきりアカサを殴り飛ばした。


「今、シークは関係ないだろ!!」


ゴウは吹き飛ばしたアカサに近づき、胸ぐらを掴んで無理やり立たせる。


「周りを見ろ!お前を助けたのは誰だ!お前の目の前にいるのは誰だ!」


「・・・」


「くっ!」


何も喋ろうとしないアカサをもう一度殴ろうとゴウは拳を振りかざす。


「ゴウ先輩!喧嘩、だめ!」


サラはそう言って、後ろから抱きつき止める。


「サラ・・・」


「ゴウ、今は喧嘩をしている場合ではない。急いで王都へ戻るぞ」


「・・・」


サラの泣きそうな表情、ドルト先生が抱えているレナの状態を見て落ち着きを取り戻し、振りかざした拳を下ろして掴んでいたアカサの胸ぐらを離した。


「アカサも行くぞ」


「はい・・・」


ゴウは宣言していた通りアカサのことを殴った。

しかし、その拳には目を覚まそうと言う意思はなく、ただただ怒りの感情がこもっていた。


こうしてアカサ達は早々に王都へ帰る事となった。


王都へ着くとドルト先生はレナを抱えて急いでリン先生の下へ走り、3人も後に続いた。


無事治療を終えるとレナは気絶から目覚めて今日、明日は安静にするようにと言われた。

リン先生が言うには体の中にダメージは一切なく、纏っていたオーラが全て受け止めていて、吹っ飛んだ時に頭を打ったことで気絶していたみたいだった。

ドルト先生は明日の特訓は中止と告げるとその場を後にし、アカサ達はまだフラフラのレナを部屋まで送った。


「ごめんね、心配かけちゃって」


レナはベットに座りながら笑顔でそう言った。


─ まただ・・・何で笑ってるんだよ・・・何で俺の事を責めないんだ・・・ゴウみたいに殴ってくれよ・・・。


アカサはレナの笑顔に耐えきれず、口が勝手に開く。


「・・・何で、庇ったんだ?」


「仲間を庇うのは当たり前でしょ」


─ やめろ・・・。


「・・・じゃあ、何で笑ってるんだよ」


「えっ?」


─ これ以上、喋るな・・・。


「何で怒らないんだよ・・・俺のせいで死ぬかもしれなかったんだ!何で、笑ってられるんだよ!」


「アカサ・・・」


─ 違う、こんなことが言いたいわけじゃない。


「シークも最後に笑ってたんだ!満足そうな顔で・・・!俺のせいなのに、俺のせいでシークはっ─!」


「アカサ!!」


ゴウはアカサの胸ぐらを掴み、大きな声をあげる。


「何で全部1人で背負い込むんだ!英雄達ですら捕まえられない奴なんだ!誰もお前のせいなんて思ってない!」


「ぐっ!・・・離せよ!」


アカサは胸ぐらを掴み返し、2人は睨み合う。


「ちょっと、2人とも喧嘩はっ・・・ゴホッゴホッ」


レナは止めようと声を出すが、まだ身体が万全ではなく咳が出る。


「やめてください!!」


そんな中、サラは聞いたことのない大きな声を出し、

小さな体で2人の間に入って引き剥がし、喧嘩を止める。


「喧嘩するなら部屋から出てってください!」


「サラ・・・」


「レナ先輩の邪魔です!今のアカサ先輩とゴウ先輩は嫌いです!」


サラは部屋の外へ出そうと2人の体を押す。

サラの力ではアカサとゴウを動かすのは無理だ。

しかし2人はどんどん扉まで近づいていき、部屋の外へ出される。


背中を押していたサラの小さな手は震えていて、顔は見えなかったが後ろから鼻水を啜る音が聞こえてきた。

2人は頭を冷やす為、押されながら自らの意思で足を動かし部屋を出た。


「・・・」


2人は一瞬睨み合い、険しい顔で各々自分の部屋へ戻っていった。


「ありがとうねサラ」


「レナ先輩・・・また一緒に、仲良くご飯食べたいです・・・」


「大丈夫、直ぐに仲直りするよ」


サラは床に膝をつき、座っているレナの太ももに顔を乗せて、少しの間涙を流した。



アカサは扉を勢いよく閉めて部屋に入ると、拳を握り壁を叩く。


─ 何で俺はあんなこと言ったんだ!あんなこと言うつもりなかったのに・・・!


まだ夕方、太陽は少し出ていて光が部屋の中に差し込む。

それがいつもよりも眩しく感じたアカサはカーテンを閉め、ベットに寝転がり、暗闇の中へ飛び込んで行った。


続く。

































































































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