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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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レナの覚悟(3)

それからアカサは学校に入るまでの間、剣を振ったり腹筋や腕立てをして筋肉をつけたり、走って体力をつけたりと基礎トレーニングを始めた。

時には、虚獣(きょじゅう)に挑もうと王都を出ようとして門番に止められたりもしていた。

それは強くなろうとしている人の姿にも見えたが、私からは自分の身体を痛めつけ罰しているようにも見えた。


今のまま冒険者になったら、いつか簡単に命を落としてしまう。

そう感じた私は、アカサが心配でほっとけない気持ちになり学校に入ることを決めた。


約1年が経ち、15歳になる年。


あれから、私もアカサと一緒に基礎トレーニングを始めた。

私の父が冒険者ギルドで働いてたこともあり、たまにだけどギルドの裏手にある広い模擬戦スペースでアカサと軽い模擬戦なども行った。


そんなある日、トレーニングを終えアカサと一緒に帰っていた時、英雄になってから久しく姿を見なかったアークさんが扉を開け家から出てくる姿が見えた。


こちらに気付き顔を向けるが、一言も発さず直ぐに去っていった。

そこには久しぶりに会った親子の姿は全くなかった。

アカサは表情を一切変えず家の中に入っていったが、私は少しだけその場から動けなかった。


1年前、アカサを心配していた優しい目が嘘だったみたいに、こちらを一瞬だけ見たアークさんの目はとても冷たく怖かったから。


そして1年が経ち、16歳になる年。


私はアカサと一緒に冒険者や騎士団を目指す人が通う学校に入る。

そこで、アカサはシークと出会って変わった。

シークは私達の光だった。

いつも笑顔で元気をくれる。

そんなシークと出会ってから、アカサは子供の頃みたいに笑うようになったり、強くなろうとしている姿は前とは全く違く、とても楽しそうだった。

さらにゴウ、1年後にはサラと出会い、どんどん前のアカサに戻っていった。

このまま私達は学校を卒業して冒険者になるんだろう、そう思っていた。

あの日が訪れるまでは・・・


私達は初めての実戦の為、ウツロの森へ向かった。

初めての虚獣(きょじゅう)との戦い、私は緊張しながら不安の気持ちで挑んだ。

私は苦戦をしながらも、3体の虚獣(きょじゅう)を何とか倒し、3つの魂石(こんせき)を持って森の入口に戻った。

すでに何人か馬車の中で待機をしていて、その中にゴウの姿はあったけどシークとアカサの姿はなかった。

私はゴウと2人の帰りを待つ。

そんな中、ドルト先生が険しい表情で森の方をじっと見つめていた。

どうしたんだろう?、と思っていると、ドルト先生は私達に動かないよう指示をして険しい顔で急ぐように森の中へ走っていった。


そして数分後、静寂だった森から激しい戦闘音が聞こえてくる。

私はドルト先生が何かと戦っているんだと直感した。

その戦闘音は待機していた私達を不安にさせる。

私は何度も心の中で『止まれ!』『止まれ!』と願った。


数分後、願いが叶ったのか、戦闘音は止まり再び森は静寂に包まれる。

その直後、アカサのお父さんアークさんが王都方面から凄い勢いでこちらに近づいてくるのが見えた。

アークさんは不安だった私達を励ましてくれていたリン先生を抱え、すぐさま森の中に入って行った。


しばらくして雨が降る中、アークさんがまたしても凄い勢いで王都へ走って行った数十分後、ドルト先生が血だらけで動かなくなったシークを抱えて帰ってきた。


膝から崩れ落ちそうになった。

涙が溢れそうになった。


でも、そんな私の視界に泥まみれのアカサの姿が映る。

その瞬間、何でこの学校に入ったかを再度、思い出す。

私は崩れ落ちそうな膝を必死に耐え、溢れ出しそうな涙をぐっと堪えアカサのもとへ駆け寄った。


涙は出ていたのかもしれない、でもそれは雨のせいと誤魔化そう。

もしかしたら、この雨はシークが私のために降らした雨だったのかもしれない・・・。


その後、王都へ戻りシークを埋葬し手を合わせた。

そこでハク様からシークが書いた手紙を1枚貰った。


アカサを子供の頃のように明るくしてくれたシークには感謝の気持ちでいっぱいだったけど、少しだけ悔しい気持ちもあった。


私ではアカサを笑顔に出来なかったから・・


それもあって私は時々、何でこの学校に入ったんだろう、と悩む時があったけど、なるべくみんなには気づかれないように笑顔でいた。

でも、シークには気付かれていたらしい。

私は手紙の内容を聞いてシークの笑顔が頭に浮かび、堪えていた涙が一気に溢れ出た。


次の日、シークのお墓が荒らさる事件が起きる。

私はドルト先生に言われてアカサを起こし、お墓に向かった。

そこで、ドルト先生はアカサを連れて城へ向かい、私達は寮に戻ってアカサの帰りを待った。


昼食を食べた私達はアカサの部屋に集まって待った。

そして昼過ぎ、アカサが帰ってくる。

私達は立ち上がって直ぐに駆け寄り、アカサからシークの過去やクロビトになって生きていることを聞いた。

ゴウやサラは少し悲しそうな表情をしていたけど、私は少し嬉しかった。

橋の上でシークと何を話したか分からないけど、アカサの表情がどこかスッキリしていたから。


ひと段落ついて、またいつもの日常が始まるんだと思った次の日、また事件は起きた。

皇帝が成約を破棄し、クロビトと争う事になるかもしれないと。

私達はディアロ理事長から覚悟を問われた。


私は部屋に戻り、ベットの上に座り考え込む。


クロビトと戦う・・・それはつまり人間を殺すと言う事。

もちろんそんな覚悟できるわけがなかった。

でも、アカサは絶対に学校に残ると分かっていた私は体が熱くなるほど悩んだ。


私は火照った体を冷まそうとベランダに出る。

風が吹くと、ピンク色の花びらが頭の上に乗っかった。

それは王都では滅多に見ない、桜の花びら。

何処からか風に乗ってやってきた。


それを見た私は、サクラさんと話したことを頭に浮かばす。



♢♢♢



『レナちゃんはアカサの事が好きなのかしら?』


『っ!な、何ですか急に!?』


話したい事があると言われ、サクラさんの部屋に入り椅子に座ると、突然そんなことを聞かれた。


『ふふっ、ごめんね。ほら、あの子そう言う話全然しないから気になっちゃって』


サクラさんは明るくお茶目なところがあり、時々からかってきたりする。


『それで、どうなのかしら?』


『まだ、聞くんですか?』


『お願いレナちゃん・・・大事なことなの』


微笑みながらそう言ったサクラさんの目はとても真剣だった。

出会った頃から、どこか気品があり安心感のあるサクラさんの前では何故か素直になってしまう。


『す、好き、です・・・』


『・・・良かった。レナちゃんになら安心して任せられるわ』


サクラさんは私の手をぎゅっと握り、見つめる。


『今後は私の代わりにアカサを支えてくれるかしら』


『えっ?』


『あの子はとても真っ直ぐで良い子だけど、たまに無茶をしてまで突き進む時があるの。レナちゃんにはその時にあの子を支えて欲しいの・・・』


たぶんサクラさんは自分がもう永くないことをわかっていたんだと思う。


『サクラさん・・・分かりました。私がアカサを支えます・・・!』


涙声でそう言った私をサクラさんは優しく包み込むように抱いてくれた。



♢♢♢



そうだ、私はサクラさんにお願いされた。

アカサが突き進むなら、私はそれを支える。

シークがいない今、私がアカサの光になるんだ!


私はそう覚悟して、学校に残ることを決めた。


それから、ラインハイト先輩やシークの名前を出し英雄になるとアカサに言ったナイト君と出会い、特訓が始まった。


最初は順調だった。

4人で連携しつつ、E級、D級の虚獣(きょじゅう)を倒していった。

でも、ある日を堺にアカサの様子がおかしくなり、雲行きが怪しくなっていった。


C級の虚獣(きょじゅう)に歯が立たず、何も出来ないまま王都に帰ってきた日、C級の虚獣(きょじゅう)を倒したらしいナイト君達のグループと出会う。


その次の日からアカサの様子がおかしくなった。

私達の声が届いていないのか1人で虚獣(きょじゅう)に突っ込んで倒しだした。


その瞬間、私は3年前が頭に浮かんだ。

自分の身体を痛めつけながら、無茶をして強くなろうとしていたアカサを。


そして、私達はレオと戦う事になる。



♢♢♢



シークがいなくなって改めて思い知った。

私じゃ、アカサの光にはなれない事に。

それでも・・・どんなに私の光が小さくても少しだけなら暗闇を照らす事はできる。

周りを照らす事はできないかもしれないけど、足元くらいは照らせるはず!


私は身体を必死に動かし、アカサに体当たりをして無理やり退かす。


サクラさん、シーク、ごめんね・・・私の力じゃこれが精一杯みたい。

・・・私、ちゃんと笑えてるかな・・・シークみたいに・・・。


続く




















































































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