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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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レナの覚悟(2)

私には何が出来るんだろう?

ずっと考えていた。


私の名前はレナ。

普通の家庭に生まれ、普通の両親に育てられた普通の女の子。

英雄の子供でもなければ、鍛治氏の子供でもない。

そんな私は冒険者や騎士団を目指す人が通う学校に通う事になる。

べつに冒険者や騎士になりたいと思って入ったわけではなく、ただ幼馴染の男の子が心配だったから追いかけるように入った。


その男の子の名前はアカサ。

最初に会ったのは4歳の頃。

父の仕事関係で王都に引っ越してきた時、隣に住んでいて挨拶の時にチラッと見た程度で、第一印象は目つきが悪くて少し怖く、近寄りがたかった。


ただ、母親同士が仲良くなってお互いの家でお茶をするなんてことがよくあり、彼と顔を合わす機会も多くなっていった。

初めは怖かったが、遊んでいるうちに彼の優しさや

笑うと鋭い目が垂れて無邪気な顔になる姿に段々と惹かれていった。


そして14歳になる年、そろそろ将来の事を考える始める頃。


『アカサはアークさんみたいに騎士とか冒険者になるの?』


『急になんだ?』


この日、私はアカサの家にお邪魔していた。


『いや、だって私達もそろそろ考えなきゃじゃない?』


この世界では19歳で成人となり、大人と認められて働けるようになる。

王都には様々な学校があるが、16歳になる年までは入る事はできないので、それまでは独学で勉強したり、どこかに弟子入りするなどして技術を身につけたりと、自由に過ごすのが普通だった。

とくに学校に入るのは強制ではなく、そのまま成人になるまで自由に過ごす人もいた。


『そうだな・・・特に何も考えてないけど、騎士とか冒険者にはならないかな。だって遠征とかあって王都から離れなきゃいけないだろ。親父があまり家にいないから俺が母さんの面倒見ないと』


『そうだね・・・』


私達が12歳の頃、アカサのお母さん・・・サクラさんは不治の病にかかり、体には禍々しい紋様が浮かびあがって歩くのも困難になり、1日中ベットの上での生活になった。

それから、私は度々アカサの家にお邪魔して家事などのお手伝いをしている。


『だから、何も決めてないな・・・レナはどうなんだ?』


『私は・・・』


この頃にはすっかりアカサのことが好きになっていて、将来はアカサと結婚・・・とかそんなことばっか考えてて何も決めていなかった。


『・・・わ、私も何も決めてないや』


『何だよそれ、レナから聞いてきたのに』


『う、うるさい!さっさと手を動かす!ご飯作るんでしょ!』


『お、おう』


アカサのことを考えてて何も決めていなかった、などと言えるわけもない私は恥ずかしくなって話題を直ぐに切り上げる。


すると、後ろから


『あら、楽しそうね』


と声が聞こえてきた。

振り返ると、1人の女性が立っている。

長く綺麗な髪をストレートで整えていて、弱々しい体を杖で支えながらこちらを微笑ましそうに見ていた。


『か、母さん!歩いて大丈夫なの?』


アカサは驚き、切りかけの野菜を置いて母の元へ駆け寄る。


『今日は何か調子いいのよ!・・・レナちゃんもいつもありがとね、いろいろ手伝ってくれて』


『全然大丈夫ですよ。私が好きでやってるんですから!』


アカサのお母さん、サクラさんは病にかかっているとは思えないほど元気でとても綺麗な方だった。


『レナちゃんは本当にいい子ね・・・そういえばレナちゃんと話したいことがあったの。後で、いいかしら』


『は、はい』


この時、サクラさんと話した事は今でも鮮明に覚えている。

その後は、サクラさんに見守られながら2人で夜ご飯を作り、3人で一緒に食べた。

すごく幸せで、この時間がずっと続けば良いなと心から思った。

・・・でも、直ぐに幸せな時間は無くなる。


数日後、突如大量の虚獣(きょじゅう)が王都を襲った。

王都を囲っている頑丈な壁には穴が開き、そこから虚獣(きょじゅう)が流れ込んできて、人々の悲鳴が王都に響いた。

そんな中、アカサのお父さん、アークさんがこの危機を救い、人々は彼を英雄と呼び讃えた。

1人を除いて・・・。


私はその時、両親と一緒に買い物をしていて直ぐに騎士団の人に保護されたが、頭の中はアカサとサクラさんの事でいっぱいだった。

私は直ぐに近くにいた騎士団の人にお願いして、ただただ無事を願った。


・・・しかし、その願いは叶わない。


王都にいた虚獣(きょじゅう)が全て倒され、街を歩けるようになって、私はすぐにアカサを探した。

瓦礫などを避けながら、走る足は自然とアカサの家へ向かっていた。

すると、家の前でボロボロなアカサがサクラさんを抱えたまま立っていた。

その姿を見た私は察して、泣きながらアカサにゆっくり近寄ると、小さな声で何かを呟いていた。


『親父は俺達を見捨てた・・・俺が強ければ・・・』


そう呟いていたアカサの目はうつろだった。


翌日、私はアカサが心配で家に行こうとすると、扉を勢いよく開け、走って飛び出すアカサの姿が見えた。

その後、すぐにアークさんが追いかけるように出てきて、辺りを見回し私に気付くとじっと見てくる。


『・・・』


『あ、あの・・・』


アークさんと会った事はあるが数回程度で、その時も顔が怖くてあまり喋ったことはなかった。


『・・・レナ君か?』


『あっ、はい!』


アークさんは私と会うのが久々すぎて、思い出そうと顔をじっと見ていたみたいだった。


『アカサ、見なかったか?』


『あっちの方に走っていきましたけど・・・』


走った方へ指を刺す。


『そうか・・・』


指を刺した方へ顔を向けるが、アカサの姿はもう見えなかった。

そして、再びこちらを見る。


『・・・すまないが、アカサの事頼めるか?今の私じゃ、だめなんだ』


『・・・分かりました。私に任せてください』


私は即決する。

何故なら、そこにはいつも無愛想で怖いアークさんはいなく、ただ自分の子供、アカサを心配する親の顔をしていたから。


『ありがとう・・・それと、私がいない間いろいろ手伝ってくれたんだってね。サクラから聞いたよ。レナ君のおかげでサクラは毎日が楽しそうだった。本当にありがとう』


『・・・ぐすっ・・・私も楽しかったです・・・・・・それじゃ、行ってきます』


『ああ・・・』


微笑みながらそう言ったアークさんは本当にサクラさんの事を愛していたんだなと感じさせる表情をしていた。

そんなアークさんの姿を見ているとサクラさんの事を思い出し涙が溢れる。

私はそれを拭いながら走ってアカサの後を追いかけた。


こういう時、アカサが行く場所に1つだけ心当たりがあった私は一直線にそこへ向かう。

細い裏路地を通り、階段を登ると王都を見渡せる高い所に出る。


『やっぱ、ここにいた』


アカサは立って王都を眺めていた。

ここは、まだ元気だったサクラさんによく連れてきてもらった場所だった。


『・・・何しにきた?』


『用事がなきゃ来ちゃダメなの?』


私もアカサの隣に立ち、少しの間、黙ってボロボロになった王都を眺める。

すると、アカサが口を開く。


『・・・親父に言われてきたんだろ』


『そうだけど・・・頼まれてなくても私はここに来てたと思うよ。サクラさんが教えてくれた場所だもん・・・』


『・・・その母さんを親父は見捨てたんだけどな』


『えっ!?』

 

『あいつは、母さんや俺よりも英雄になる事を優先したんだ・・・!』


アカサの口から出た発言に私は驚き、あっけにとられるが、アカサは気にせず喋り続ける。


『・・・この前、騎士や冒険者にはならないって言ったけど、冒険者になるよ俺』


『な、何で・・・?』


『そもそも俺が虚獣(きょじゅう)を倒せるくらい強かったら母さんを守れた・・・もうこんな思いはしたくないんだ。自分が弱いせいで大切な人が目の前で死ぬなんて・・・』


『アカサ・・・』


その日からアカサは笑わなくなった。


続く











































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