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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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レナの覚悟

─ 光を・・・光を取り戻すんだ。C級の虚獣(きょじゅう)を倒して!


「あっ、──!──サっ!」


アカサは地面を蹴って勢いよく走り出し、呼び止めようとしたゴウの声を置き去りにした。

スピードを緩めることなく近づいていくと、遠くからではあまり分からなかった虚獣(きょじゅう)の全貌が明らかになってくる。


巨大な体、風が吹くたびゆらゆら揺れるたてがみ、地面を踏みしめている太い四本の脚、その先には太く鋭い爪が3本生えていた。


[虚獣(きょじゅう) レオ]


ライオンのような姿をしていて、全長は3〜4メートル。

純粋に力が強く、大きな体のわりに動きも素早い。


(あの姿はレオか、C級の中では比較的、戦いやすい方だ。ただ、怒ると厄介な行動に出る。そこからが本番だな)


遠くから見守るドルト先生。

そんな中、アカサは虚獣(きょじゅう)の目の前まで迫っていた。


─ 初めて見る虚獣(きょじゅう)だけど、この姿は獣型だ。だったら動きはある程度、予測できる。


アカサはそのままのスピードで突っ込んでいく。

攻撃範囲に入ると、レオはその太く鋭い爪で横から裂いてくる。


「ガルァ!」


それを予測していたアカサは避けるようにジャンプをした。


「やっぱり、そう来るよな!」


そのまま落下の力を利用して剣を振り下ろし、鋭い一撃を放つ。

・・・しかし、剣は地面を叩いていた。


─ 流石に大振りすぎたか。でも攻撃時の動きはE級、D級の獣型と同じだ・・・!


獣型の特徴は四足歩行。

基本的に攻撃の方法は前足の爪で裂く、尖った牙で噛み付く、大きな体で体当たり、などがほとんど。

もちろん個々によって力や速さは異なるが、ここ数日である程度、獣型の動きにアカサは慣れていた。


─ 今、避けたよな・・・俺の攻撃に少しでも脅威を感じたってことか?


アカサの攻撃を後ろに跳んで避けたレオは、着地と同時に後ろ脚で地面を蹴り、大きな体で体当たりをしてくる。


「ガルァ!」


「くっ!」


アカサはそれを横に跳んで回避し、一回転して体勢を整える。

すぐにレオの方へ顔を向けると、もう目の前まで迫っていた。


─ っ!はやい!


レオは太く鋭い爪を立てながら飛びかかってくる。


─ 回避は間にあわない!ガードするしかない!


アカサは多少のダメージを受ける覚悟でガードの体勢をとる。

すると、


「おらぁーー!」


走ってきた勢いそのまま、ゴウは体をレオに思いっきりぶつける。

飛びかかっていて空中にいたレオは、2メートル近いゴウの体当たりに耐えきれず地面を擦りながら吹き飛ばされ、土煙が舞う。


「ゴ、ゴウ・・・」


「1人で無茶するなと言っただろ!」


「・・・ああ、ごめん。助かった」


アカサの表情はどこか不満そうだった。


(ぐっ、こいつ!何だその顔は!)


ゴウは怒りを必死におさえる。


「2人とも大丈夫!?」


遅れてレナとサラも来た。

ゴウは2人に少し駆け寄る。


「ああ、俺は問題ないが・・・」


ゴウはチラッと、後ろを見る。

2人が顔を向けると、剣を持ったまま下を向いているアカサの姿があった。


─ くそっ!ゴウが助けてくれなかったら危なかった・・・!このままじゃだめだ!もっと、やらないと!


(アカサ・・・)


その表情は3年前よりも険しくなっていた。

そう感じたレナは、


(シークの代わりに私がアカサを支えなきゃ!その為に学校に入ったんだから!)


と再び気合を入れる。


「アカサ!」


レナが名前を呼びアカサに近づこうとした瞬間、


「ガオオーーー!!」


凄まじい咆哮が4人を襲う。

遠くに居ても服がなびくほどの咆哮だ、近くにいた4人は耐えきれず吹き飛ばされる。


「ぐっ!」


咆哮が終わり、気づいたら近づく前の位置くらいまで戻されていた。


「くそっ、また近づかないと!」


アカサは直ぐに近づこうと走り出す。


「待って、アカサ!」


レナはそれを呼び止めようと大きな声を出すと、アカサは走るのをやめた。

しかし、これはレナの声が届いたからでは無かった。

遠くからでも分かるほど、レオの体に変化があったからだ。

前脚は倍以上に膨れ上がり、爪も太く長くなっていた。

さらに、怒っているのかたてがみが逆立っている。

そして、右の前脚をゆっくり上げ招き猫のようにクイッと軽く脚首を曲げた。

すると、ヒューンッと音を立てながら爪の形をした3つの斬撃がアカサ目掛けて飛んでくる。


「っ!」


「アカサ!」


「ぐっ!おらぁ!」


アカサはそれを剣で何とかガードし、斬撃を止める。


C級が初めの壁と言われてる理由は、このように特殊な行動をしてくるからだった。

火を吐いたり、風を起こしたりしてくる虚獣(きょじゅう)もいる。

その中でも、獣型がよくやってくる行動【爪牙】をレオは使ってきた。

威力もさることながら、とにかくモーションが小さいので連発で斬撃が飛んでくる。


「アカサ大丈夫!?」


3人ともアカサに近寄るが、レオからしたら的が絞られた状態になる。


レオは再び【爪牙】を放つ。


ヒューンッと音が近づいてくるのに4人とも気付き、バラバラに避ける。

後ろにあった木が一瞬で粉々になった。


かたまって動くのは危険と判断したレナは、4方向から攻めようと指示を出した。

サラは左から、ゴウは左正面、レナは右正面、アカサは右から攻めていく。


レオは動じることなくクイッ、と前脚を曲げ4方向に【爪牙】を飛ばす。

4人は避けながら、徐々にレオとの距離を縮める。

それに伴って避けるのも難しくなっていくが、レオも段々と4方向へ飛ばすのが間に合わなくなっていく。


残り100mくらいまで近づき、咆哮が来たらまた飛ばされないように警戒もする。

するとレオは、サラ、ゴウ、レナの3方向だけに【爪牙】を飛ばしてきた。


─ 俺の方に飛ばしてこない!?この距離なら一気に詰められる!


アカサは地面を蹴って勢いよく近づく。


(アカサには飛ばしてない!?諦めた・・・?いや、だとしても何でアカサ?)


【爪牙】を回避しながらレオの行動に違和感を感じるレナ。

しかし、アカサは構わず突っ込んでいく。


─ いける!このまま懐に入れば斬れる!


「っ!?止まってアカサ!!」


レナは先程よりも大きな声で必死に止めようとするが、もう遅い。

レオは4本の太い脚で地面を踏みしめ、口を大きく開けて咆哮を上げようとする。

サラとゴウは吹き飛ばされないように武器を地面に力強く刺し耐えようと構えるが、レナはアカサを止めようと虚獣(きょじゅう)に近づこうとしていた。

そして次の瞬間、再び凄まじい咆哮が4人を襲う。


「グルルァァーー!!」


その咆哮は4人を吹き飛ばす事は無かった。

しかし、荒々しく身体の中まで響くそんな咆哮だった。


「な、なにこれ・・・?体が痺れてる・・・」


咆哮を受けた4人の体の周りには、ビリビリと電気が走っていた。


(何だこの咆哮は!?まずい、助けないと!しかし遠すぎる、間に合うか!?)


ドルト先生も見たことのない咆哮だった。


【爪牙】を避けた3人は距離があった為、少し体が痺れている程度だったが、近距離まで迫っていたアカサは指先すら動かせずに無防備な状態で固まっていた。


「ぐっ!くそっ、体が・・・」


─ こいつ、誘いやがった!俺のことを!


レオはアカサの初撃をかわした時、斬撃に焦りがあるのを感じていた。

アカサが4人の中で1番強いのは気配で何となく分かっていたが、他の3人が冷静なのも分かっていた。

だから、罠にはめるなら焦っていて、仲間の声が聞こえていないアカサにすると決めていた。


(やっぱり罠だったんだ!あの状態じゃオーラもコントロールできない。私が助けないと!)


今のアカサが体に纏っているオーラじゃ最悪死ぬかもしれない。

そう思ったレナは必死に体を動かして近づきながら、オーラをありったけ体に纏わす。


レオは動けなくなったアカサの方へ体を向け、ゆっくり前脚を上げて【爪牙】の構えをする。


─ くっ!・・・レナ!?何でこっちに・・・もしかして俺を助けようと!


アカサはこっちに走ってくるレナに気付き、止めようと声を出そうとするがうまく口が動かない。


─ くそっ、やめろ!来るな!


声は聞こえない・・・ただ子供の頃から一緒にいるからなのか、レナにはアカサの思っていることが伝わる。


(やだ!絶対に助ける!正直怖いし逃げたいけど、アカサを失う方が怖い。アカサが強くなろうとしてるなら私はそれを全力で支える!それが私の覚悟だから!!)


レオの前脚は更に太く膨れ上がり、クイッ、クイッと縦と横に脚首を曲げた。


十爪牙(じゅうそうが)


縦と横の3つの爪が合わさり十の形をしながら、キィーンと音を立てながらアカサヘ飛んでいく。

アカサは飛んでくる【十爪牙】には目もくれず、目の前まで来ていたレナの方を見ていた。


─ やめろ!レナ!!


必死にもがくが体は動かない。

そのままレナは止まることなく、アカサの体に自分の体を思いっきりぶつけ、吹き飛ばす。


─レナ!!・・・っ!


吹き飛ばされたアカサの瞳には、満足したような表情で笑顔を浮かべるレナの顔がうつる。


そしてその直後、【十爪牙】はレナの体に直撃した。


続く












































































































































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