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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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宣戦布告

ディアロ理事長はまず、残った1年生2名、2年生6名、3年生4名を1グループ4人の3グループに分けた。

後1年で卒業をする3年生はそのまま4人で組み、他は1年生1人の2年生3人でまとめた。

アカサは、レナ、ゴウ、サラと同じグループになった。

グループ分けが終わると先生達は少し席を外す。


「結局いつものメンバーだな」


「何言ってんのよ、嬉しいくせに」


アカサは呆れた声でそう言うが、少し口角が上がっていた。

幼馴染のレナは、それを見逃さない。


「それに今日からはサラも一緒よ。デレデレしすぎて虚獣(きょじゅう)にやられないようにね」


「大丈夫だ、戦闘中はそんな余裕ねぇよ。これからよろしくなサラ」


「あ、足を引っ張らないように頑張ります・・・!」


サラは緊張しているのか、服の裾を小さな手で握りながらもじもじしている。


「も〜、かわいいな〜サラは〜。そんなに緊張しなくても大丈夫だぞ〜」


早速デレデレなアカサは子供をあやすかのようにサラを抱き上げる。


「はい、デレた!シークもしてたけど、歳の近い女性をいきなり抱っこするなんて普通に最低よ」


「はっ!お、俺・・・最低、チガウ」  


アカサはゆっくり抱き上げていたサラを下ろす。


─ た、確かに見た目は子供っぽいが歳は1つしか変わらない。もし、俺がレナをいきなり抱っこしたら・・・ま、間違いなく殴られる!謝らなければ!


「サ、サラごめんな。いきなり抱っこして」


「だ、大丈夫です・・・ただ、いきなりは辞めてほしいです・・・」


「本当にいいの?嫌じゃ無い?」


レナは最後に確認する。

しつこいように見えるが、これは同じ女性だからこそ心配しているのだろう。


「むしろ嬉しいです・・・子供の頃、父に抱っこされることが無かったので、年上の人に抱っこされると安心します・・・」


笑顔でそう言ったサラだったが、少し寂しそうな表情をしていた。


「それじゃ、さっそく・・・それ!」


それに気づいたレナは腋の下からゆっくり持ち上げた。

さらにゴウは高身長を生かし肩車をする。

続けてアカサも抱っこしようとするが、中々ゴウの肩から降りようとせず嫉妬する。

そんな嬉しそうなサラを見ながらアカサ達は和気藹々で先生達が来るのを待っていると、1人の生徒が声をかけて来た。


「君がアカサ君?楽しそうにしてるとこ悪いね」


シークのように髪が長く綺麗な顔立ちの男性で、その瞳は全てが見透かされているかのような、とても澄んだ目をしていた。


「そうですけど、えっと・・・」


「僕はラインハイト!よろしくね!」


!!


4人は分かりやすく驚く。

それもその筈だった。

この学校に通っていてその名を知らない人はいないほど有名な人だったからだ。


─ この人がラインハイト・・・学校に在籍しながらも、すでに騎士団の遠征に参加していているって言う。ほとんど学校にいないから見た事なかったけど・・・まるで英雄みたいな雰囲気だ・・・。


ニコニコしているラインハイトに、この間会った英雄達のような強者の雰囲気を感じたアカサは少し気圧される。


「ふむ、ふむ・・・素晴らしい素質を持ってるね。恐いくらいに・・・シーク君と引き分けたのは本当みたいだね!」


「シークを知ってるんですか!?」


「まぁ、1年前少し見たくらいだけどね。その時から彼は強く素晴らしい器を持っていた。だから、今後どうなっていくのか期待してたんだけど・・・本当に今回のことは悲しいよ」


─ そっか、シークは死んでる事になってるんだよな・・・。


「でも、そんなシーク君と模擬戦をして引き分けた人がいるって聞いたんだ。君だよ、アカサ君」


「まぁ、その前に何回も負けてるんですけどね」


「そう、そこだよアカサ君!ドルト先生に聞いたんだが、君は何回もシーク君に負けてる。それも大差で!」


─ その通りなんだが、人からそんなにはっきり言われるとムカつくな。しかも声でか。デリカシーゼロかこの人・・・でもなんか、似てるなシークに・・・。


「でも、君はたった1年でその差を埋めた。凄まじい成長速度だ!」


「あ、ありがとうございます」


─ 成長速度か・・・シークも言ってたけど、自分じゃ分からないな。


「だから、1度会ってみたかったんだ。これからはシーク君の分も頑張ろう!それじゃあ!」


「あっ、はい!」


出してきた手をアカサが握ると、小走りで他の3年生が集まっている所に戻っていった。

話が終わったのを確認し、レナ達はアカサに声を掛ける。


「なんか、色々凄い人だったね」


「ああ、そうだな」


─ 自分の言いたいことを言い、言い終わったら直ぐに去る。嵐のような人だったな。


「・・・少し、シーク先輩に似てた」


「おお、サラもそう思ったか」


まだ肩に乗っていたサラはボソッとそう言い、それに同意をするゴウ。

ラインハイトに少しだけシークの影を見た4人は、懐かしい感情になると共に、生きてると知っているからか、もう1度会いたくなってセンチメンタルになる。


それから少し経ち、先生達が戻って来た。

話し合いの結果、1グループに1人の先生が就く事になったらしい。

3年生のグループにはディアロ理事長が、アカサ達のグループにはドルト先生が、もう1つのグループにはカルド先生という人が就いた。

ディアロ理事長は早速3年生達を連れてどこかへ行ってしまう。

ドルト先生とカルド先生は再び集まって何かを話している。

先生の話が終わるのを待っていると、もう1グループのリーダーらしき人がアカサに声を掛けてくる。


「おい、悪人ヅラ」


「・・・誰が悪人ヅラだって。俺は目つきが鋭いだけで、悪くは・・・」


声のした方へ振り向くと、そこにはおでこを出しツンツンと髪を立て、アカサと同じくらい目つきが悪い男性が立っていた。

アカサは思わず黙って見てしまう。


「何だよ」


「おいおい、見ろよレナ!俺よりも悪人ヅラの奴、初めて見たよ!ほらレナ、ピース!」


アカサは興奮しながら肩を組む。


(何か、シークが居なくなってバカになってないかしら。まぁ、でも子供の頃はこんな感じだったっけ・・・)


前までは隣にシークがいてツッコミに回っていたが、いなくなってから子供の頃のようにはしゃぐアカサを見て、嬉しいような、恥ずかしいような複雑な心情になるレナ。


「離せ!何、肩組んでんだ、舐めてんのか!」


「舐めてなんかねぇよ。むしろ嬉しいんだ、俺と同じ境遇の奴がいて・・・辛かったよな」


(何だコイツゥ!顔見ただけで、勝手に同情しやがってぇー!)


アカサは勝手に同情し、肩をポンっと叩き頷く。

先程、ラインハイトに『デリカシーゼロかこの人』と思ったアカサだったが、数分後、自分にブーメランが刺さるとは思ってなかっただろう。


「俺は、お前に決闘を申し込みに来たんだよ!」


男はアカサに指を刺し、宣戦布告をする。


「何でお前と戦わなきゃならないんだよ。今は3年後に向けて協力するべきなんじゃないのか」


アカサはそれっぽいことを言って断ろうとすると、ドルト先生が間に入ってくる。


「いや、お前達には実際に戦ってもらうぞ」


「えっ!?」


「ただ、今すぐにではなく1年後だ」


ドルト先生とカルド先生が、さっき話し合って決めたみたいだ。

これからの1年間は虚獣(きょじゅう)と戦って経験値を積み、1年後にどれくらい成長したか見る為に4体4で戦うみたいだ。


「本当は今すぐ戦いたいが先生がそう決めたんならしょうがねぇ・・・今よりさらに強くなって、1年後ボコボコにするから覚悟しとけよ!」


「・・・分かったよ」


再び男は宣戦布告をするが、2人の間には凄い温度差があった。

何故なら、先程『舐めてないよ』と口に出したアカサだったが、自分でも気が付かない心の奥底では男を舐めていた。

そんな2人のやり取りを見ていたドルト先生とカルド先生。


「おいドルト、お前んとこの悪人ヅラ大丈夫か『同学年の奴は相手にならない』そんな顔してるぞ」


「・・・ああ、まずいな。シークと模擬戦で引き分けたのが悪い方に転んでる」


アカサは入学してからずっとシークだけに勝つ為、努力して来た。何故なら同学年で1番強いから。

そんなシークと引き分けたんだ、確かに彼がいない今はアカサが2年生で1番強いと言えるかもしれない。

ただ、今ここに残ってる生徒はそれなりに自分の力に自信があって覚悟を持ってる者だ。

このままアカサが同学年の生徒を少しでも下に見て過ごして行くなら、1年後、地面に倒れているのはアカサの方かもしれない。


「まぁ、俺としちゃあその方が嬉しいんだけどな。俺の育てた生徒がお前の育てた生徒を倒す。冒険者時代の模擬戦では負け越してるから、ここでは勝たせてもらうとするか」


「生徒はお前の道具じゃないぞ」


「わっはっはっはっ!分かってるって、お前は本当に昔から真面目だ。ただ、そう考えた方が燃えるからな!・・・それじゃあ俺たちも始めるか!おーい、お前たち行くぞ!」


カルド先生はドルト先生の背中を強めにバシバシ叩き、生徒達を呼ぶ。


「・・・先生に呼ばれたから行くか」


「待てよ、名前ぐらい教えろや」


「俺はナイト・・・アカサ、お前を倒してシークの夢だった英雄には俺がなる。お前に英雄の器はない・・・覚悟しておけ」


ナイト、そう名乗った男はシークの名前を口に出して英雄になると宣言した。

アカサは何も言わず、ただナイトが去って行く背中を見ていた。


続く






































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