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バカはしんでも治らない(編集中)  作者: すし河原たまご
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人は変わる

シークを見送った後、2人は王都へ戻り女王リア・ランスに報告をするため、話し合いが行われた部屋へ戻る。

そこにはまだ他の英雄、ドルト先生もいた。


「戻ったみたいね・・・早速だけど、何があったか教えてくれるかしら」


ハクは女王リアにこう報告をした。


暴れてたクロビトはシークではなかった。

そして、黒の大陸に逃げられたと。


「わしとした事がまんまと逃げられてしまった。すまない、リア様」


「・・・まぁ、そう言う時もあります。しょうがないですね」


嘘の報告をすると、ひと足先に部屋を出て行った。


─ ハク様本当に嘘の報告しちゃったよ。大丈夫かな、これでバレたら俺まで怒られるとかないよな・・・。


ドキドキしていると、


「はぁー、本当にハクは嘘が下手ですね。あんな満足そうな顔をしてたら誰だって気付きますよ」


─ バレてる!


「まぁ、彼奴(あやつ)なりに子供を庇ったんだろうな。1人も死者が出なかったとはいえ、クロビトがシロビトを攻撃したなんて大問題だからのう」


そう、シークが攻撃をした騎士達は全員生きていた。

暴走してた時は子供のように魂創器(ソウル)を振り回してるだけだったからなのか、1回吹き飛ばされても、また近づかなければ襲われることはなかった。

ただ、最初にシークに声をかけた騎士だけはギリギリだった。


「そうですね。今回はハクの顔を立ててあげましょう」


─ 女王に嘘の報告をしても許される・・・今まで白の大陸を何回も救ってきたハク様だから許される事なんだろうな。


アカサはハクという英雄の凄さを近くで実感した。


「リア様、私もそろそろ王都の警備へ戻らせてもらいます」


重そうな鎧をガシャンと音を立て席から立つ。


「はい、お疲れ様でしたアーク」


「失礼します」


部屋から出ていくアークを見送るアカサは、帰りにハクから言われたことを思い出していた。



♢♢♢



『・・・寂しいもんじゃのう。子供と離れ離れになるっていうのは。この年になって初めて、親の気持ちがわかったわい』


寂しそうに黒の大陸のある方へ顔を向ける。


─ 親の気持ち・・・俺には一生わかる気がしない。

特に親父の気持ちなんて・・・。


『・・・ちゃんと面と向かって話し合えば、分かる事だってあると思うぞ』


『えっ』


下を向いているアカサに気付き、話しかけてきた。


『アークは不器用すぎる。きっと自分からは本音を話さんじゃろう。それに、子供から話しかけられたら嬉しいもんじゃぞ、親っていうもんは・・・それに最近のあいつはどこか様子がおかしいからのう』



♢♢♢



─ 最後に親父と話したのは3年前、母さんが亡くなった直後だった気がする。確かにその時は、俺が一方的に声を荒げ、言いたいことを言ってすぐにその場を離れた。1回も親父の話なんて聞かなかった・・・それにハク様が言ってた『様子がおかしい』ってのも気になる・・・。



「・・・カサ、アカサ」


「えっ、あ、はい」


「私達もそろそろ、学校に戻るぞ」


部屋にある時刻を表す針を見ると、昼の12時を過ぎていた。

朝早くに城へ来たが、色々ありこんな時間になっていた。


「それでは、私達もこれで失礼します」


「失礼します・・・あっ!」


アカサは挨拶を済ませて部屋を出ようとしたが、女王リアに確認したいことを思い出し、視線を向ける。


「どうしましたか?」


「あ、あの、シークが生きてるって誰にも言わない方が良いんですよね・・・?」


「そうですね・・・死んだはずのシロビトがクロビトになって生き返ったなんて信じる人がいるかは分かりませんが、変な混乱が生まれないようにあまり他言してほしくはありません。ただでさえ、クロビトが白の大陸に勝手に入りシロビトを殺したと言うことが広まりつつあり、まだ王都内だけではありますが混乱しているので・・・」


「・・・あ、あの、せめてレナ達・・・シークが死んで凄く悲しんでた3人がいるんです。そいつらだけには生きてる事言っちゃダメですか?」


アカサも分かっていた。

シークが死んだことを凄く悲しんでるのはレナ、ゴウ、サラだけではなく、シークと絡んだことのある他の生徒達も同じだと。

しかし、シークが生きていると知っているのは自分だけ、アカサは今後もこの3人とは他の生徒よりも顔を合わせる機会はきっと多いだろう。

その時、自分だけがシークが生きてる事を知っているのが嫌だった。

3人の悲しい顔を見たくない・・・そう思った。

これは贔屓だ。

わがままだ。

自分が辛い気持ちになりたくないという。


「お願いします!」


アカサは頭を下げてお願いする。

数秒の沈黙の後、リアは口を開く。


「・・・良いでしょう」


「・・・!本当ですか!?」


「はい。急に呼び出してしまったお詫びもあります。ただし、その3人以外にはもちろん言ってはダメですし、言った3人にも決して口外しないと口うるさく言っといてください。特別ですよ!」


リアはニコッと笑い、願いを聞いてくれた。

アカサは再度挨拶を済ませ、満足そうにドルト先生と共に部屋を出た。


「全く、リア様にお願いをするとは・・・」


「はははっ・・・」


呆れた声でそう言ったドルト先生に、アカサは空笑いする。

城を出る為、廊下を歩いていると正面から知っている顔がアカサの方へ歩いてくる。


「あれ、レイさん」


「・・・アカサさん、こんなとこで何を?」


「えっと・・・」


彼はレイ。

英雄になる前から側近としてアカサの父親アークを支えて来た人物。

いつも無表情で何を考えてるのか分からない不思議な人。


「なるほど、今日の呼び出しはそう言うことでしたか」


─ そういえばレイさんって、いつも親父と一緒に行動してるよな。ちょっと相談してみようかな・・・


「レイさん、今って時間ありますか」


アカサはドルト先生と別れ、静かに話せる場所はないかと尋ねると、レイは城の裏庭まで案内してくれた。

色んな種類の花壇が並んでおり、花のいい香りがアカサの鼻を通る。


「お久しぶりですね。話すのは3年ぶりくらいでしょうか?」


「そう、だね。親父と喧嘩してからだから・・・」


アカサは少し気まずそうに言う。


「そういえば、まだちゃんとお礼言ってなかったよね。3年前、虚獣(きょじゅう)から助けてくれた事」


3年前、王都を突如虚獣(きょじゅう)が襲ったあの日、アカサは病で動けなかった母親を背負い逃げていた。

その時、虚獣(きょじゅう)に襲われていたのを助けてくれたのがレイだった。


「改めて、あの時は助かったよ。ありがとう、レイさん」


「いえ、当然の事をしたまでです。むしろ、謝りたいくらいです。あの時、私がもっと早く来てれば・・・」


「辞めてよ、レイさん。レイさんのせいなんかじゃ絶対ないから・・・」


─ そう、レイさんのせいなんかじゃ絶対にない。


「あれはっ──」


パンッ!


裏庭に手を叩いた音が響く。


「暗い話は辞めましょう。せっかく、久しぶりに会ったのですから」


「・・・そうだね」


無表情でそう言ったレイに、アカサの表情が少し緩む。


「それで、話というのは?」


「えっと、親父のことなんだけど・・・」


そう話を切り出すと無表情だったレイは微かに目が開く。


「珍しいですね。アカサさんがアーク様の事をお聞きになるなんて・・・驚きました」


「えっ!?今、驚いてたの?本当にレイさんは表情変わんないね」


─ 久しぶりに喋ったけど、3年前から変わってないな。


先程から、いい意味で変わっていないレイに安心感を覚えるアカサ。


「それで親父なんだけど、俺が会ってなかった間に何か変わった事とかあった?」


「そうですね・・・そんなに変わってはいませんが、強いて言うなら前よりも口数が減り、ボッーとすることが多くなったような気がします。そのせいか、新しく入ってくる騎士達は恐がってますね」


─ 確かに話し合いの場でも必要のない会話には混ざって来なかったな。元々無愛想ではあるけど、あの顔でさらに口数が減ったら初見の人は恐いだろうな。それに、ぼーっとすることが多くなった・・・何か悩み事でもあるのか?


「これくらいですかね、変わった事といえば。何か参考になりましたか?」


「ああ、ありがとうレイさん。話聞いてくれて」


「いえ、アーク様とアカサさんがまた昔みたいに笑ってくれるなら、私はなんでもしますよ」


「レイさん・・・」


─ 前は母さんを中心にどこにでもある普通の家族のように楽しく過ごしてた気がする。無愛想な親父も母さんの前では笑ってたっけ。でも、そんな母さんを親父は・・・っだめだ!ちゃんと面と向かって話すって決めただろ!親父も何か理由があったのかもしれない。ハク様も不器用って言ってた。俺から話しかけないと。


「アカサさん・・・?」


「あ、ああ、ごめん何か色々考えちゃった。それにしても本当にレイさんは親父の事、尊敬してるよね」


「当たり前です。命の恩人ですから」


アークがまだ騎士団で副団長をしていた頃、虚獣(きょじゅう)討伐のため遠征に行った際の道中、虚獣に襲われていたレイを助けたのが2人の出会いだった。

それからレイは努力し騎士団に入り、アークの側近にまで上り詰めた。


「アーク様は無愛想で見た目は恐いですが、本当は優しいんです」


─ 昔から、レイさんは親父の事を話す時だけは子供のような優しい笑顔を見せるな・・・。


「久しぶりにレイさんが笑ったのを見たよ」


「・・・笑ってないです」


一瞬で元の無表情な顔に戻る。


「ははっ、いつか誤魔化しきれないほど笑うレイさんも見てみたいな」


「・・・もし、見れるとしたら世界が滅ぶ時です」


「いや、怖いわ!・・・レイさんでもそんな冗談言うんだ」


「友達に教えてもらいました」


3年ぶり位に話したレイは冗談を覚えていた。

昔では考えられない事でアカサは少し驚く。


─3年会わないと人は良くも悪くも変わる・・・俺は学校に入ってこの1年間、良い方へ変わったと思う。親父も良い方へ変わってて欲しい・・・それを確かめるには面と向かって話すしかないな。


続く























































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