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もう、何もやっていかれないような気がした

作者: 雨宮 倫

 もう、何もやっていかれないような気がした。誰かといるときも、一人でいるときも、何をしていても漠然とした罪悪感が襲ってくる。


 様々なものや風景、そのすべてに過去の思い出が降り積もり、少し触れただけでまるでほこりのように私の周囲をふわふわと漂い始める。


 自分でねだり買ってもらったのに、すぐに飽きて放置したおもちゃ。私のためにと作ってくれたのに、ダイエットを理由に食べなかった料理。わざわざ休みを取って連れて行ってくれた公園、心ここにあらずのまま空返事ばかりしていた車の中。全てだ。私の思い出は全て後悔と罪悪感にまみれている。


 しかし、もし時を巻き戻せたとしても、その一つひとつの場面にしっかりと向き合えるとは思えない。失った今だからこそこんなにも後悔しているのだ。もしまた手に入れたら、きっと同じことを繰り返してしまう。だからどうしようもない。



 死のうと思った。



 もう何もやっていかれない。

 何をしても、何を選んでも、後悔と罪悪感は繰り返され積み重なっていく。

 生きていれば仕方のないこと、後悔を学びに変えて次に活かす、そう思うことは到底できない。大切で大好きだった相手に対しての後悔を、別の人に活かす? そんなこと、絶対にしたくない。これまでの思い出を、応えられなかった温かい愛情を、私が生きていくための糧にするなんて、そんなことは許されない。自分で自分に許しを与えることができない。


 だから、死のうと思った。もうこれ以上誰かに悲しい思いや辛い思いをさせないために。これから先に私に与えられるであろう誰かの愛情が、これまでのように受け取られないまま地面に落ちないように。これ以上、後悔と罪悪感を抱えないために。何をしていても寂しくて悲しいこの現実から目を逸らすために。


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