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33.愛玩獣人愛好家4

 

 フェレ人はにゃん太に<パンジャ>を駆って魔獣を倒す様子を見たいと言われ、まず真っ先ににい也に相談すべきだと考えた。


「えぇ、父ちゃん、会うとしつこいからなあ」

 にゃん太は乗り気ではなかったが、フェレ人からしてみれば、後から知ったにい也の反応が怖い。

 にゃん太をなだめすかして是と言わせた後、にい也の下へ行けば、当然のようについて来た。


「父ちゃんが心配するような魔獣が出る場所には行かないよ?」

「いいじゃないか。たまには俺と出かけよう」

 猛獣人族よりも猛々しいと言われるにい也が、にゃん太にとろけるような表情と声を向ける。


 にゃん太は大容量かばんを持って来ていた。

「ついでに採取もして来いって言われたんだ」

「たま絵はしっかりしているなあ」

 工房主についでにお使いを頼むたま絵は、にゃん太にとっては気の強い姉であるが、にい也にとっては可愛い娘だ。

 世間の荒波をかいくぐって来たフェレ人は経験則に従って口をつぐんでおいた。


「あ、そうだ、父ちゃん、うちでしょっちゅう買い物をしてくれているんだろう? いろいろ持って来たんだ。フェレ人さんも使うものがあったら貰ってよ」

 言いながら、にゃん太が作ったのだという薬や<吸臭石>、フレーバー木の実などをかばんから取り出す。


 ティーア市でも、いや、ユール国でもトップレベルの錬金術師であると言われている猫の錬金術師謹製の薬や嗜好品、それに発明品まで気軽にくれようとする。遠慮するフェレ人に、にい也がひょいひょいと押し付ける。

「にゃん太の心遣いを無駄にするな」

 そこまでされては、断れない。

「ありがとうございます」


 にい也の方こそ、愛息が作ったものを有り難がって使わずとっておいて、妻に使われて泣くに泣けなかったというエピソードがある。もちろん、それなりに経験を積んだフェレ人は喋るべきではないことをわきまえている。


「弁当もあるから」

「ふたり分なら、俺は適当になにか狩りますよ」

 にい也に話そうと言われて渋ったにゃん太だから、追加の食料が必要だろうと考え、フェレ人はそう言った。

「ううん、姉ちゃんが、きっと父ちゃんもついていくだろうって三人分持たせてくれた」

「さすがはたま絵だなあ」

 すばらしい読みである。だからこそ、にゃん太はいつまで経っても姉に頭が上がらないのだろう。そして、だからこそ、にい也の過保護から逃れ得ているのだろう。姉の分も弟に構うことになっているのかもしれない、などとフェレ人は考えた。


 そんな風にして、街中を散歩するような気軽さで平原を進み、出てくる魔獣を<パンジャ>に乗ったまま倒す。

 にゃん太はしきりにメモを取り、戦闘後に<パンジャ>の具合を確かめたり、フェレ人にあれこれ質問した。

「意思に沿ってスムーズに、即座に対応する? 魔力の流れ具合が引っかかったりすることは? 走行とジャッキの伸び縮みを同時にやってみたらなにか感じることはある?」

 以前、街中で出会ったときに質問されたことに加えて戦闘中に武器を振るう際に違和感を覚えるかなどとも質問され、所感を述べる。


 そんなにゃん太とフェレ人を、にい也が両前足を組みながら興味深そうに眺めている。にゃん太とフェレ人が<パンジャ>を覗き込んであれこれ確認している際、魔獣が飛び出てくれば、あっさりにい也が屠る。

「父ちゃんの武器は鋼の爪かあ」

 にい也の片前足には籠手から鋼の爪が伸びる魔道具が装着されている。銀の軌跡が鋭く弧を描くたび、断末魔が上がる。


「まるで自前の爪のように自然ですよね」

「あの伸び方はすごいな」

「ええ、前足が二倍の長さに伸びたんじゃないかと思います」

 しかも、にい也は空いた方の片前足に剣や短槍、斧を持って戦うこともある。両手剣用の短く軽く調節されたものではない、通常の大きさ、重さの武器だ。それでいて、とんでもなく速く柔軟に動くのだ。


「すごいなあ、父ちゃん」

「そうだろう? にゃん太が素材採取に行く時にはついて行ってやるぞ」

 にゃん太が怖がるどころか驚く間もなく、早急に倒していく父に感心すると、にい也はここぞとばかりに誘う。

「無理だよ。父ちゃんのような凄腕を護衛に雇っていたら、赤字になる」

「護衛料は今日みたいに薬をくれれば良いから」

 にい也としては、お小遣いをあげたいくらいである。


「にい也さん、名指しで来る護衛の類はのきなみ断っているんですよ」

「そうなの?」

「猫族は人族から好まれる獣人ですが、その中でもにい也さんはうつくしい上に強いですからね。噂を聞きつけた人族も獣人族も一度は護衛されてみたいと思うそうですよ」

「へえ、父ちゃん、すごい冒険者だと聞いてはたんだけれど、そんな感じなのかあ」

 にゃん太はフェレ人が話す父のことに感心しきりである。フェレ人がにい也を見れば、まんざらでもなさそうだ。察するに、自分から息子に自慢したりすることはないが、尊敬の念を向けられて嬉しいらしい。そうと分かったフェレ人はこのまま話を続けることにした。


「人気があるから、劇の題材に取り上げられたり、雑誌の冒険小説のモデルになったりしているらしいですよ」

 人気の演目のチケットは中々手に入らないというフェレ人に、にゃん太は目を丸くする。

「え、父ちゃん、そんなにすごいの?」

 まるで、歴史上に名を残す者のようではないか。


「珍しがられているだけだろう。興味があるなら、その劇とやらでも観に行くか?」

「モデルのにい也さん本人が観ているとあったら、ちょっとした騒ぎが起きそうですね」

 にい也自身は特段の感慨もなかった様子で、フェレ人の言葉に「だったら止めておくか」と言った。観劇というものをしたことがなかったにゃん太はひそかにがっかりしたが、そのうちみい子を誘って行ってみるのも良いかもしれないと思いつく。

 デートに誘うということになる。そう考えついて、さらに落ち込みそうになった。みい子からは、告白した返事をもらっていないのだ。


「にゃん太? どうかしたのか?」

「ううん、父ちゃんみたいなモテる獣人には分からない悩みだよ」

 フェレ人から聞くところによると、にい也の人気は獣人族人族の区別なく高い様子だ。それでいて、両親の仲は良い。家族仲も良い方だと思う。好きな獣人がいて、告白してもなかなか答えをもらえないにゃん太とは全く違う。


「なにを言う。にゃん太はにゃん太の魅力であふれているじゃないか」

 にゃん太はため息をついてそれ以上言うのはやめておいた。父は恐ろしいことに、本気でそう思っているのだと知っていた。なにをどう説明しても、このことに関しては噛み合わない。


 フェレ人の方がなにかを察して気を遣って話を逸らし、ややぎこちないながらも<パンジャ>の実用観察を追えたのだった。





 フェレ人と別れた後、にい也がにゃん太を工房まで送って行くという。

 なんとなく、フェレ人はその後ろ姿を見送った。大きく傾いた太陽が街並みをあますところなくオレンジ色に染め上げる。特に、毛の輪郭が一本一本にじむように光っている。


 にゃん太の前足が、横を歩くにい也の片前足を掴んだ。そのころにはずいぶん離れた場所を歩いていたけれど、フェレ人はにい也がきゅっと握り返すのが見えた。


 向こう側から押し包まんとする茜色のせいで、後姿は暗く、より黒々した影が足から伸びている。とても眩しくてフェレ人は目を細めながら、にゃん太とにい也の姿が見えなくなるまで見つめていた。目が離せなかった。


 にゃん太は躊躇ちゅうちょなく、隣を歩くにい也と前足をつなぐ。そうすることができる者だ。当たり前のように愛情表現をできる。にい也の個性的な愛情を、文句を言いつつ、受け入れている。そして、自分なりに行動を示している。自分も父を愛しているのだと。にい也にとってそれがどれだけ嬉しいことだろう。


 唐突に気づいた。

 にい也に憧れていたのは強いだけだからというのではない。力があるのに、家族を大切にしているから、好意を抱いたのだ。


 幼い時分に受けた暴力は圧倒的だった。どれだけ力を付けても、にい也と自分は、あの時の親と自分との差くらいかけはなれている。でも、にい也は家族を傷つけない。精いっぱいで愛そうとする。


 大丈夫だ。自分には羊彦がいる。血がつながっていないのに、なぜ自分の面倒を見ようと思ったのか分からない。そのとき、羊彦とてまだ若かった。分かることは、そのおかげで、今、自分は生きているということだ。


 冒険者は明日をも知れぬ身の上だ。

 自分も、恥ずかしがらずにちゃんと羊彦に示してみようと考えた。





 後日、羊彦が、フェレ人が甘えてくるようになったと嬉しそうににい也に話した。

「大きくなってからは冒険者になるんだって、忙しくしていていっしょにすごすことは減ったんです。ましてや、冒険者になってからは、こちらが心配するほど依頼を受けて」

 嬉しそうだったのが、徐々に涙交じりになってくる。


 羊彦とにい也が向かい合うのはティーア市の片隅にある料理店である。獣人が経営しており、客層はほとんどが獣人だが、この店の料理を好む人族も混じっている。


「そうか。良かったじゃないか」

 にい也は静かに返しながら、羊彦の空になったコップを見て、追加の酒を注文する。


「はい。にい也さんとにゃん太さんのおかげです」

「俺たちの?」

 どういうことだとにい也が片目をすがめる。他の獣人が見れば、尻尾をへたらせることもある。それなりに付き合いが長くなった羊彦はその表情が怒りによるものではないと知っている。あの猫族冒険者のにい也である。こんな風に話し合い食事をする間柄になるとは思いもよらなかった。


「フェレ人が言ったんです。にい也さんとにゃん太さんを見習おうって思ったって」

 にい也とにゃん太の在り様が好ましく映ったのだという


「フェレ人はあれだな。見る目があるな」

 にい也は目標とされることは多々あった。しかし、フェレ人はにい也単体ではなく、にゃん太との関係性を見習うのだと言う。

「そうでしょう? 見どころがあるでしょう?」

 涙ぐんでいた羊彦が自慢げに胸を張る。


 そうして、その後、ふたりはいつもの通り、にゃん太の、あるいはフェレ人の自慢話やどれだけ可愛いかという話にひとしきり花を咲かせるのだった。



 羊彦はにい也がどんな風ににゃん太や他の家族のことを思いやっているか知っていた。たぶん、にい也の家族を除いては、最もよく知っているのではないだろうか。

 だから、羊彦を訪ねてきた者の依頼を断った。


「にゃん太さんを呼んでくる? どうして自分で行かないんですか? 俺は忙しいので、自分で行ってきてください」


 羊彦はその日、通常業務を終わらせ、<パンジャ>のテーブルの作成に取り掛かろうとしていた。最近では、種族の大きさによって縁のカーブを変える取り組みに着手している。その試みは好評で、落ちにくくなった、使用するに怖さが減少したという声が上がっている。


「ホイールを強化すればするほど、多少の段差を乗り越えて行くようになるからな。問題は安全性だ。乗っている者が放り出される危険性は少しでも減らしたい」

 鍛冶屋のうさ吉がそう言っていたことから、羊彦はこれは自分の課題だと取り組んできた。


「縁が上がっているから、そこを掴んで身体を固定しやすいのが素晴らしい」

 羊彦の務める木工工房の親方からも仕事ぶりを認められている。親方も小柄な獣人用の小さなサイズの魔道具を作っていたから、いろいろアドバイスをもらっている。小柄な種族の指や爪は細い。けれど、頑丈で鋭い。だから、木材もある程度の強度を要求された。

 熊五郎に依頼していた軽くて水に強い木材が入荷したことから、早く削ってみたくてうずうずしていた。


「羊彦、こっちの片づけはやっておくから、いいぞ」

 そわそわする羊彦に笑いをかみころしながら同僚の職人が早く行けと言ってくれる。良い職場に恵まれた。荒れていたときには考えもつかなかった。朝起きて、食事を済ませ、職場で働き、さらにはしたい仕事に恵まれる。周囲の理解があり、自分の試みを活かして作り出した物を好まれ、感謝される。


 それもこれも、みんな、フェレ人のお陰だ。幼いフェレ人を食べさせよう、他の家庭と同じように色んなものを与えようとしたからこそ、せっせと働くことができた。そうでなければ、あのころの羊彦はコツコツと仕事をするなど、できようもなかった。


 疲れてうんざりすることもあったけれど、フェレ人の見上げて来るつぶらな瞳を見ていると、なんでもできる気がした。苦労は苦労ではなくなった。せっせと働いた給金で買った柔らかい布団にうずもれるようにしてちょこんと鼻先だけをだして安らかに眠る姿に、穏やかな気持ちになれた。フェレット族は猫族と同じく、狭い場所に入り込むのが好きなのだ。細長い身体を活かして、色んなところに潜り込む。とくに、温かいせいか、毛布の隙間などを好んだ。


 男所帯のせいで気が回らなく、ぼろぼろの毛布をそのまま使っていたら、フェレ人が綻びに爪を引っかけて怪我したことがある。羊彦の方が泣きそうになった。


 フェレ人が病気になった際、薬を飲まないので羊族特有の巻き毛が抜け落ちるほど悩んだ。同じフェレット族の母親からそういうときは好きな食べ物に薬を混ぜるのだと聞いて試したところ、フェレ人がぺろりと食べたので、このときは本当に泣いてしまった。

 そのフェレット族の母親とはその後もなにかと世話になり、今もご近所づきあいをしている。


 フェレ人はいつの間にか大きくなって、あっという間に羊彦の庇護を必要としなくなった。それが寂しかった。でも、今さら、無頼に振る舞うこともない。案外、コツコツと木材を削るのは性に合っている。そんな折、にゃん太と出会い、<パンジャ>の部品を作るという思いもかけない役割を得た。


 すごい発明だ。なにより、にゃん太はフェレ人が身体的相違によって、他の冒険者よりも不利であることを解消しようとして発案したのだという。もちろん、フェレ人だけではなく、小柄な種族の難儀を解消すると言う点もある。

 すごい獣人だ。


 羊彦はフェレ人のためになんでもしてやりたいと思っていたが、根本的な解決を考えることはなかった。しかも、にゃん太はそのすごい発明に羊彦を関わらせてくれたのだ。


 そのにゃん太の父、にい也はこちらも違う方向性のすごい獣人だった。なぜか、そのにい也と意気投合して、この歳で新しい友を得た。フェレ人の可愛さを延々喋り続けても罪悪感を覚えない。なぜなら、にい也はそれ以上ににゃん太を始めとする家族のことを話し続けるからだ。お互い、他では言えないことを口にすることができてすっきりする。

 羊彦にとっては、にい也はすごい猫族冒険者ではなく、互いに家族を大事にする者同士であった。


 そんな羊彦が熊五郎納品の会心の木材を削っていると、呼び出された。しかも、工房の裏口である。羊彦の目の前の男は始終にやにや笑っていた。その笑顔はどこかいびつで、怖ろしさを感じた。


 羊彦は大きく息を吸った。自分も以前は少々荒っぽい連中と付き合っていたではないか。怖気づくな。羊彦は自分を励ましながら毅然と拒否した。

「にゃん太さんを呼んでくる? どうして自分で行かないんですか? 俺は忙しいので、自分で行ってきてください」


 しかし、男は羊彦の内心の怯みを読み取ったかのように言った。

「あんたの弟ってさあ、あれだろう? 冒険者をやっているフェレット族。しかもさあ、親同士が異種族だから兄弟で種族が違うんじゃないんだってな」

 羊彦はひゅっと細く素早く息を呑んだ。同時にすう、と血の気が下がる気がした。


 相手は羊彦のことを念入りに調べている。もちろん、弟であるフェレ人と血がつながらないことは隠していることでもない。しかし、フェレ人を育てたのはもう大分前のことだ。今さら、蒸し返す者もいない。


「兄弟仲が良いそうじゃないか。兄としては心配だよなあ」

 お前に言われなくても、いつだってフェレ人のことを思っている。


「冒険者ってのは、いつなんどき、どうなるか分からないもんなあ」

 不慮の事故が起こるかもしれないぞと言われる。それは半ば予想していた言葉だった。なにを、と問う前に衝撃が走った。

 羊彦は腹を抑えて後退した。その場でしゃがみこみたくなるのをこらえ、視線は男から外さない。目を逸らしたくなるが、相手の動きから目を離すのは危険である。昔取った杵柄というものだ。


「へえ、虫も殺さぬ、ってやつかと思ったら、どうしてどうして、」

 男がぺろりと口をなめる。その舌の動きが、視線のいやらしさが、暴力を忌避しない相手なのだと分かる。魔獣や暴漢のような自分に危害を加える存在でも、ふつうは生き物を殺傷するのに躊躇する。しかし、目の前の男はそうではないと分かる。


 ふたりがいるのは工房の裏口付近だ。大声を出せば誰かが来るような場所で暴挙に出る。一般常識の通用しなことが恐ろしさを増す。誰かに見られても構わないというのか。ということは、背景に誰かいるのか。それも大抵のことをもみ消せるような者が。


 こういうとき、獣人の地位の低さを思い知らされる。理不尽な目に遭っても、多少のことは我慢しなければならない。事を荒立てては、目を付けられる。

 羊彦は奥歯を強く噛んでこらえた。痛めつけられてもうんとは言わなかった。

 第一、にゃん太を誘いだせと言われて、はいそうしますと答えられるはずがない。


「ど、どうして、にゃん太さんを? なんの用事があるんですか?」

 そして、なぜ、自分で行かないのか?


 羊彦の下にやって来たように、自分で行けばいいのにそうしないのはなぜか。このことについてはおおよその想像はつく。にゃん太には強固な守護壁がいくつもあるからだ。その際たるものがにい也だ。場合によっては、錬金術師組合を脅威とみなすこともあろう。その者の立ち位置でなにが最も恐ろしいかは変わる。

 分かるのは、相手はにゃん太のことも羊彦同様調べているということだ。


 そして、羊彦が痛みに耐えているのは、男から情報を引き出すためである。なぜ、にゃん太を。なんの目的で、だれが。


「なあ。あんたはどっちを取るんだ? 弟か? それとも、猫の錬金術師か?」

 ようく考えな、そう言い捨てて、男は去って行った。


 恐らく、また来るだろう。

 羊彦は決断を迫られた。フェレ人の安全か、にゃん太の無事か。


 フェレ人が自分のためににゃん太が犠牲になったと聞けば悲しむだろう。羊彦はフェレ人が冒険者となったとき、腹をくくった。

 それにしても、相手がなにを企んでいるのか分からないのが不気味で仕方がなかった。





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