四話 「秘密」
はいはい!
作者の5月の紫陽花です!
前回のお気に入りは乗るんです2号のくだりです!
今回もお楽しみください!
クソっ、失敗した。迂闊に近ずくべきじゃなかった。
おかげで、私はこんな目に…
「じゃーペっぺっぺっぺー!」
とシャーペンの見た目をした異星人が話しかけてくる。
事前に耳に付けておいた小型自動翻訳デバイスが、その声を拾い翻訳する。
『あのぉ…僕、小学生が好きなんです。』
「…………」
『あなたは、小学生ですか?』
ここで高校生と正直に言えば何されるか分からない。
ここは嘘をつくべきだろう。
「小学生6年生よ」
『だと思った!身長は少し大きいけど、胸が大きくないからそうだと思ってたよ!』
「ちげぇよ!ばぁぁぁああああか!私は高校生1年生だ!誰が胸がないだこの野郎ゥゥゥゥウ!」
私は、怒りに身を任せ鷲掴みしていた手に噛み付く
『イタッ!』
その瞬間、きつく締めていた手の拘束が緩む。
その隙をねらい、何とか手から抜け出し小学生に手を出させないように、小学生と異星人の間に立つ。
『ぺちゃんこ高校生の癖に生意気だな!もう許さないぞ!』
そういうと異星人の体がみるみる太くなっていく。
シャーペンのようだった体は、鍛え上げられた筋肉のようになり、明らかに先程よりも強くなっていることを物語っていた。
「まずいわね………君たちは、教室の後ろの扉から急いで逃げて!」
と小学生たちに声をかけると一目散に皆逃げていった。
『ああぁ!僕の獲物が逃げた!』
ロリコン星人が、気を取られているうちに私は後ろへ周り頭であろうところに《Eロッド》で殴り掛かる。
『ガキンッ!』
まるで鋼鉄のように硬かった。
こんなに硬いのであれば、エンチャントで強化してもこいつを倒すことはできないだろう。
『くらえっ!』
とロリコン星人の大振りの攻撃が飛んでくる。
想像以上の速さの攻撃だ。私は反応することが出来ずに壁に打ち付けられた。
「ううっ!」
まずい、体が動かない。
体から、暖かい液体が出ていく。
その液体が、私の血であるということはすぐにわかった。
『やった!命中!待っててね子供たち!今から迎えに行くよー♡』
まずい……誰か……だれか……たすけて……
『ぐぱぁぁあっ!』
突然ロリコン星人が、奇妙な声を上げながら横に吹き飛ぶ。
私はとてもびっくりした。
ロリコン星人に攻撃をしたものが予想外の物だったからだ。
ロリコン星人を吹き飛ばした物の正体は……
宙に浮いた消化器だった。
そして、教室の入口にはダサいヘルメットを被ったポンコツ大河がいた。
だが、ヘルメットの様子がおかしい。正面に付いた十字のマークと横にある《SSS》のところが光っているのだ。
そのとてつもなくダサいが、どこかかっこいい彼に私は見とれてしまった。
そのまま、消化器はの周りを素早く舞うように移動し、ロリコン星人の気を引いている。
「大丈夫か!?後藤!」
そう言ってポンコツが、私のところに駆け寄ってくる。
「血だらけじゃないか!待ってて、今救急車呼んで運んでもらうから!」
そう言ってる大河の後ろに、大きな拳を振りかぶったロリコン星人が現れる。
「ポンコツ…うし…ろ…」
『殺してやるぜぇ!シャーペッ!』
「邪魔だ!細身ガリガリ野郎!」
ポンコツが振り返りながら、手を横に払う。
すると、先程の消化器が恐ろしい速さでロリコン星人に激突する。
『ぐぺぇぅっ!』
ロリコン星人は、再び大きく横に吹き飛んだ。
どうやらポンコツがあの消火器を操っているらしい。
『ぐぺっ……(ガクッ)』
ロリコン星人は、消化器での攻撃を受け気絶してしまった。
「後藤!大丈夫か!?おい!黎菜!」
やばい。思った以上に私は血を流しているらしい。
意識が朦朧としてきた。
「おい!ぺたんこ!まな板!」
「誰がまな板だ!この野郎ゥゥゥゥウ!」
「よし、意識はあるな少し待ってろよ」
ポンコツはそういうと、医療パックを取り出した。
「ポンコツ……お前……そんなの持ってたっけ……」
「こいつが持ってた」
とポンコツが指した場所には、薄い青色のボールのようなロボットが浮いていた。
ロボットの体に大きな文字で《TAKOYAKI》と書かれている。
「タコヤキ、医療を持ってもう少し上の方に浮いてくれ」
とポンコツが言うと、そのタコヤキというロボットは大人しく少し上に浮いた。
その後は、ポンコツは私の傷の応急処置をし始めた。
『後藤〜生きてるカ〜?』
私の大好きな成瀬先輩の声がする、周りを見てもどこにもいない。
『ここだよ後藤!』
とタコヤキが私の目の前に降りてくる。
タコヤキの液晶画面には今にも泣きそうな成瀬先輩が映っていた。
「迷惑かけてすみません……」
『生きててくれて何よりだヨ……グズ……』
泣きそうな顔も可愛い……と思っていると救急車のサイレンが聞こえてくる。
どうやら成瀬先輩が、呼んでくれたらしい。
「ん。」
ポンコツが私に背を向ける。
「何してるの?ポンコツ。」
「んなっ!?歩けるわよっ!」
と私は立とうとするが、やはり足元がおぼつかない。
「ハイハイわかったから、さっさと背中に乗れよ」
私は、仕方なくポンコツの背中に乗ることにした。
「うぉっ……おもい………」
「し、失礼ね!ポンコツ、ポンコツ、ポンコツ!」
とポンコツの頭を叩きまくった。
ポンコツの背中は、暖かくて大きくてかっこよかった。
心臓が、破裂しそうなくらい鼓動を打っている。
どうしよう、ドキドキが止まらない。
ポンコツの背中の上で、顔を真っ赤していたのは私だけの秘密だ。
〜ゼロナナ部室〜
「すごい武器をまた作り出したな。成瀬は。今回はどんな代物なんだ?」
「おう、田中カ!気になるカ?」
「そりゃぁね」
「聞いて驚ケ!今回、タイガー用に作った武器はナ!
遠隔意思操作可能ユニット用ヘッドギア 通称《SSS》と遠隔意思操作可能ユニットダ!」
「そりゃまた長い名前だな。どんな能力があるんだ?」
すると成瀬は自慢げな顔でこう言った。
「遠隔意思操作ユニット、つまりまぁシールと思ってくレ。そのシールを付けたものを、考えるだけで動かせるってもんダ。」
「思い通り動かせるってまるで、超能力だな。」
「だナ、まぁそれを可能にしてるのは不思議パワーのSクリスタルのおかげってことダ。」
「なぁ、成瀬。通称《SSS》ってなんの略なんだ?」
「すごくすごい装置ダ」
「……………ダサいな」
「田中の癖にうるさいナ」
成瀬は少しムスッとした表情になった。
「なぁ、成瀬。もっと教えてくれよ。」
「おウ!いいゾ!」
そういうと成瀬は、すごい早口で《SSS》の説明をし始めた。
ムスッとした表情は、既にどこかに行っていた。
成瀬の目は、キラキラしていた。
俺は、成瀬が好きだ。
だけど、なんにも優れたことの無い普通の自分では釣り合わないだろう。
俺は、この想いをいままでどおり胸にしまい込んだ。
どうでした?
どいつもこいつも恋しやがって!
それに比べて俺は………
次回!17日15時に投稿するよ!
お楽しみに!