第一話「ゲロと女とポンコツ」
作者の5月の紫陽花です。
さぁさぁ、始まりますよ!第1話!
初めて、生み出す作品なので、少し不安ですが、楽しんで読んでもらえると幸いです!
あ!汚い表現(主にゲロ)がありますのでご注意ください!
「オォロロロロロロロロロ!」
俺は、ゲロを吐いていた。
それも、新たな生活の始まりよりにって入学式の場でだ。俺が吐いている原因は、少し前に遡る。
春それは出会いの季節。
桜は咲き、鳥は歌う。
新しい制服に腕を通して、新しく始まる生活に胸を高鳴らせる季節。
俺、星塚大河もその1人だ。
新品の制服を身につけ、お気に入りの腕時計を左手に、透明な水色の石が付いたお守りのブレスレットを右手につけて
「いってきまーす!」
と俺以外誰も住んでいない家に、元気に声をかけ学校への道を辿る。
まだ、新品だからか新しい制服は首の襟が固く喉周りが少し苦しかった。
だが、新しい高校生活に胸を膨らませる俺は、その苦しささえ新鮮で何故か心地よかった。
決してドMでは無い!多分…。
ボロボロのコンビニの前を通り、角を曲がると歩道のど真ん中にうずくまっている人がいた。
声をかけるか躊躇ったが、とても苦しそうにしていたので声をかけずにはいられなかった。
「大丈夫ですか?」
と声をかけると
「とりむやうとほんぶぼ?むやつ!」
と日本語には聞こえない音の羅列が帰ってきた。
その理由は、そのうずくまっている人の顔?を見ればすぐにわかった。
顔全体が薄い緑色で、ゴキブリのような触覚が生えているのである。
目や口らしきものはあるが、鼻がない。
某戦闘漫画のピッコ〇さんのようだった。
「あ、異星人の方なんですね。少し待っててください。」
と俺は、この異星人の言葉を理解するために、学校から配布されたバックから同じく学校から配布されたペンライトのような細長いデバイスを取りだした。
デバイスの電源を入れ、淡く青色に光ることを確認した俺は、異星人に
「もう一度お願いします」
とお願いした。
すると、ピッコ〇さんのような異星人も理解したのか
「とりむやうとほんぶぼ?むやつ!」
と先程と同じく言葉を発した。
するとデバイスが、淡く青色に光り『翻訳完了』と言うと先程の異星人の言葉を翻訳してくれた。
『すまない、炭酸飲料を飲ませてくれないか?あれがないと生きていけないんだ。持っていたぶん全て飲みきってしまってな…』
翻訳結果を聞いた俺は、理解した。
この地球には、色んな異星人がいる。
きっと、この異星人は人間が酸素がないと生きていけないように、炭酸飲料がないと生きていけないのだろう。
「待っててください!急いで、持ってきます!」
と声をかけ、すぐそばにあるコンビニに駆け込んだ。
強炭酸飲料を一つ素早く買って、ピッコ〇さんの元に戻る。
「買ってきました!どうすればいいですか?」
と声をかけると、口?と思われる所を少し開けた。
きっとここに注げということなのだろう。
強炭酸飲料の蓋を開け、口?の部分に注ぐ。
するとみるみる顔の色が緑から、虹色に変わっていった。
「おぉ…綺麗だな…」
と俺は変わりゆく顔色に見とれていると、右頬に鋭い衝撃が走り同時に景色が歪んだ。
そして、背中にも大きな衝撃がくる。
反射神経はいいほうだったので、何とか受身をとったがそれでも痛いものは痛い。
何が起きたのか理解するべく、顔を上げると白い物干し竿のようなものを持った黒髪ボブカットの女子高生が、自分がいた場所に立っていた。
自分は、蹴り飛ばされ壁にぶつかったことを理解した。蹴り飛ばしたのは、この女子高生だろう。
だって靴に俺の血がついてるもん!
制服がうちの高校と制服と似ているが、色が違う。
制服は薄い茶色のような色なのだが、この女子高生の来ている制服は真っ黒で、肩に07と数字が入っているからである。
「てめぇ!この女ァ!なんてことしやがる!」
と怒りの言葉を飛ばすと、凛とした綺麗な声で
「はぁ?助けて貰っといて、何よその言い草。ポンコツね、あんた」
と返ってきた。
「はぁ!?蹴り飛ばしといて、何が助け…」
と言おうとしたとき、自分のいた場所の道路の舗装がドロドロに溶けていたことに気づいた。
あの場にいたら、自分もドロドロになっていたのだろう。
どうやら本当に助けてもらったようだ。
「ようやくわかった?ポンコツ。分かったら、ここからすぐに離れなさいポンコツ」
とやけにポンコツを強調しながら言ってくる。
ほんとイラつくなこの女。
「うんぢぃぃぃいおおおおろろろろろろろろろろろ」
と聞き間違いと疑いたくなるような、咆哮が耳に刺さる。
その音の方を見ると、咆哮の主はなんとピッコ〇さんである。
「え、あ、なんで?どうしてピッコ〇さん…」
という声虚しく、ピッコ〇さんは再び咆哮する。
今度は、ゲロ付き。
辺りにピッコ〇さんのゲロがばらまかれる。
俺は、そのゲロが危険な感じがして避けた。女もゲロまみれになるのが嫌なのか華麗に避けている。
『ジュワァァァァ…』とゲロが付いた、歩道やガードレールは溶けていた。
どうやら避けて正解だったようだ。
どうやら、俺を溶かそうとしたのはピッコ〇さんだったようだ。
「やっぱり、ゴーナリアン星人ね…けどなんで、こんなにゲロをぶちまけているのかしら…もしかして…」
ブツブツと独り言を言ったあと、女は急に俺を睨み
「ポンコツ、あんたこの異星人に何が飲ませた?」
と言ってくる。
「あ、あぁ。苦しそうにしててな、翻訳デバイスで訳したら、炭酸飲料がないと死んでしまうからくれないかって言われて炭酸飲料を飲ませた」
「強炭酸?弱炭酸?」
「強炭酸」
「ほんっと最悪ね!このポンコツ!」
人の親切心をポンコツとはなんだこの女、後でドロップキックしてやる。
「この人は、ゴーナリアン星人よ。ポンコツの言った通り炭酸飲料がないと生きていけない。けどね、弱炭酸飲料じゃないとダメなのよ。強炭酸飲料だと、刺激が強すぎて泥酔状態になって、ゲロをばらまくのよ。それも、なんでも溶かすゲロをね。」
なんじゃそりゃぁぁぁぁ!
じゃあ、こうなってるのは俺のせい…ってこと!?
「すみませんすみませんすみません」
「謝るのは後にして!あんた、乗り物酔いとかに強い方?」
「まぁ、強いっちゃ強いけど…」
「なら大丈夫ね!ポンコツ!あんた名前は!?」
「星塚大河だけど」
「わかったわポンコツ!」
絶対分かってないだろ、どっちがポンコツだよ。
女は、持っている白い物干し竿を地面に突き立て
「エンチャント!酔いによる吐き気を星塚大河に!」
とまるで、魔女の呪文のようなことを言うと俺の体とピッコ〇さんの体が淡く光った。
光が収まると、ピッコ〇さんは、元の緑色に戻っていく。
どうやら、酔いが収まったらしい。なんでだ?
落ち着いたピッコ〇さんと、女が何か話している。
女はピッコ〇さんにペットボトルを手渡していた。
中身は恐らく弱炭酸性の飲み物だろう。
ピッコ〇さんは何度も頭を下げたあと、俺を睨み急ぐようにその場を後にした。
「ポンコツ、ここでされるの嫌だから15分後に設定しといたから。あと、このままだと遅刻するわよポンコツ」
と言うと、女も走ってどこかに行った。
ここでされるって俺が何を何するっちゅうねんと考えながら、腕時計を見ると入学式まで後に5分の時間を指していた。
「やばい遅刻すんじゃん!急がないと、けどなんであの女入学式の時間知ってるんだ…?」
そんな独り言を言いつつ学校に急いだ。
「な、何とか…間に合った…」
入学式の会場である体育館に沢山並べられたイスのうち自分の名前が紙に書かれたイスにに座る。
自分の椅子の下にだけ何故か紙袋が置いてあった中身は空だ。
「なんだこれ?」
と、空っぽの紙袋を見ていると隣のイスに1人の女が座ってきた。
「こんにちは!」と話しかけてきた。
ハキハキとしていて、軽快な女性だ。
「初めまして」
と俺もにこやかに挨拶を返す。
「なんで空っぽのの紙袋なんか持ってるの?」
「なんかイスの下に初めから置いてあって…」
「ふーん、誰かの忘れ物なのかもしれないね!君、名前は?」
「星塚大河。君は?」
「私は、古賀千春!隣の椅子だからきっと同じくクラスだね!これからよろしく!」
とにこやかに握手をもとめてくる。
俺は女性の手を握ることに少し照れながらも、握手を交わした。
良い友人になれそうだ。千春さんと、談笑していると程なくして、入学式が始まった。
入学式式は、淡々と進んで行く。
そしてどの学校でも同じであろう長いハゲている校長先生の話が始まった。
「皆さん初めまして、校長のハゲ・タロウです。」
ふざけてんのかこの校長は…
「皆さんは、5年前の大事件を覚えているでしょうか。地球に異星人が、訪れるきっかけになった事件です。5年前突如として、日本の福岡県の遥か上空で他の場所と地球を繋ぐゲート『パンドラ』が現れました。
『パンドラ』が現れるのと同時に、ゲートから数多の異星人が、地球へ襲来し1万人の方が犠牲となりました。」
そう、空に突如現れたゲートから宇宙人が来て大騒ぎとなったのだ。
今朝、会ったピッコ〇さんもゲートを通り地球に来た異星人だ。
「5度に渡る、異星人と地球人との衝突の後に多惑星和平調停を結んだことで戦いは終わりました。そして、この星は『多惑星人居住星第2惑星地球』となりました。今となっては、急に異星人を見て驚くような人はいないでしょう。
地球は、もう一度平和を取り戻しましたがいい異星人がいれば、悪い異星人もいます。新入生の皆さんは、そういった悪い異星人からこの星を守る知識を蓄え、地球を守る最前線に立つような人間に成長して欲しいです。
皆さんの活躍期待してます。これで私の話をおわりm…」
といい感じに校長先生が、いい感じに終わろうとした時
『ピロロロロロ』
と誰かの携帯の着信音が聞こえた。
「失礼。私です。少し待ってくださいね。」
と言うと電話に出て、ヒソヒソと話し始めた。
入学式中に電話に出るのだから、余程重要な話なのだろう。
「え?ミキちゃん?どうしたの?うん、うん。ちょっとぉ♡そういうのはお店でね?大好きだよ♡チュッ…」
という校長の声が、スピーカーで拡大され体育館に響き渡る。
「失礼、妻から連絡が来ました。これで私の話を終わります。」
と言うと、周りから自然と数多の拍手が鳴り響いた。
おい!絶対嘘だろ!お店でね?とか言ってたろ!絶対キャバ嬢とかだろ!てかなんで、お前らは拍手してんだよ!という心の叫びを無視するように
『続きまして、首席入学生徒からの言葉』
というアナウンスが流れる。
すると1人の生徒が壇上に上がった。
「ん?あいつ…もしかして…」
その生徒は、黒い制服にボブカットの女子生徒だった。見覚えしかない。
そう、壇上に上がった生徒は今朝俺を蹴飛ばしたあの女だったのだ。
俺は、まだヒリヒリする蹴られた頬を擦りながら勢いよく立ち上がった。
「おい!女ァ!今朝はよくも俺を蹴り飛ばしてくれたなぁ!」
と声を荒らげながら、ボブ女に近づく。するボブ女は
「15分よ」
と言いそれと同時に、俺の視界がぐにゃりと歪む。すごく気持ちが悪い。吐きそうだ。
そう考えたのと同時に、胃の中にあったものが上に上がってきて
「オロロロロロロロロ!」
俺は皆の前で、入学式初日に吐いた。
「オロロロロロロォ…」
吐きながら、自分のいたイスの方を見ると
「ひっ…バケモノッ…こっち見ないでっ…」
と千春さんは、汚物を見るような目で見ていた。
「ォロロロロロロォン…」
と吐きながら俺は涙を流した。
さよなら青春…さよなら高校生活…と考えていると程なくして俺の視界は真っ黒になった…
どうも作者の5月の紫陽花です!
第1話どうでしたでしょうか!
次回の投稿は12月14日の17時の予定です!
お楽しみに!