表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜  作者: やきいもほくほく
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/71

61.教室内に冷たい風が吹き荒れる

逆にダリルに鋭く睨まれたマロリーはピクリと肩を揺らす。

助けを求めるような視線が向けられたケールとサイモンがバッと、音が聞こえるほどに首を回してマロリーを視界に入れないようにしている。

関わりたくないという態度がありありと見てとれる。

トリニティ達の学年が上がってから、ひと月後に入学式が行われている。


一ヶ月前は、いつも通りにトリニティに敵意を向けていたのだが、日が経つにつれて顔が青ざめていったケールとサイモン。

一週間ほど前からマロリーの側にいるところも、話をするところも全く見かけなくなってしまった。

今では、あらゆる言い訳を駆使してマロリーから逃げ回っているようだった。

マロリーが令嬢達を連れてAクラスにやってきても、用事があるからと席を立ち、何処かへと消えてしまう。

熱々の恋は、知らない間に冷めてしまったようだ。


盲信的に慕っていたマロリーとクラスが離れた事がきっかけで、ケールとサイモンは一転して常識的な態度に戻っていった。

そしてトリニティに対しては、罪悪感があるのか遠慮気味である。

しかし同じクラスだと自然と関わる機会も多くなる。

用事がある時にしか話しかけることはないが、ケールとサイモンはいつも申し訳無さそうにしている。

デュランのチクリとした嫌味が飛ぶと、更に体を小さくさせるのだ。


そしてダリルが『トリニティ』を溺愛する姿を目の当たりにしたことで、自分達のミスに気付いたのだろう。

姫を守る為に荒ぶっていた騎士たちは、今ではすっかりと大人しいものである。

ダリルはケールとサイモンと言葉を交わすこともなく存在を無視しており、声を掛ける事もない。

一応『側近候補』という名目ではあるが、ケールとサイモンにとっては、良い状況ではないようだ。


首の皮一枚で繋がっており、一歩間違えれば候補から外されるとあって慎重に動かなければならない。

そんな二人を見ているとスカッとする気持ちもありつつ、少し可哀想な気分になる。

まだ悪魔のせいかどうかは分からないが、ずっと苛々させられていたので、暫くは放っておいてもいいだろう。

マロリーはハッとしてからすぐに、柔らかい笑顔を浮かべた。


「はじめまして!私はマロリー・ニリーナです」

「…………」

「あの……っダリル殿下ですよね?」

「…………」

「良かったら、私とお話しませんか? 分からないことがあったら何でも聞いてくださいっ! 私がいますから!」

「…………」

「それから私、お弁当作りすぎちゃって! 少し失敗しちゃって味に自信はないんですけど……!」


何も反応を示さずに冷ややかな視線を送り続けるダリル。

教室内に冷たい風が吹き荒れる。

どうやらマロリーは貴族の令嬢らしからぬ行動をとる事で、そんなギャップから令息達を落としてきたらしい。

確かにヒロインもクッキーを作って渡したりしていた。

それは元平民であるからして、わざわざお抱えのシェフがいるニリーナ家で、マロリーの手作り弁当がダリルとコンラッドにとって需要があるのかは微妙なところである。

そしていつ見ても、マロリーは綺麗でさっぱりした格好の方が似合うような気がするのだが、今日も気合十分にフリフリしている。

(……心が痛いわ)

それでもマロリーの猛攻は続いていた。


「ケールとサイモンにも私のお弁当はとても評判がよかったんですよ! そうよね、二人とも」

「「…………」」


ゴリ押しの手作り弁当。

マロリーの言葉に僅かに首をカクカクと動かすケールとサイモン。

ついには耐えきれなくなったのか、教室を出て行ってしまった。

コンラッドとダリルは厳しい表情を浮かべつつ、何故無視しているのに話しかけてくるのかと、若干困惑しているようにも見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ