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【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜  作者: やきいもほくほく
3章

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53.絶対に邪魔してやる……!

(コンラッドを狙うですって……?有り得ないわ)

ダリルは置いておいても、コンラッドだけは絶対に守ってみせる。

トリニティは静かに口を開いた。


「うちの可愛いコンラッドは、絶対に渡さないわ」

「はぁ……?」

「逆ハーなんて欲深い事を考えていると、いつか身を滅ぼすわよ?」


トリニティが真顔で言い放つと、先程の態度とは一転してマロリーは鋭くを睨みつける。


「……何で貴女にそんな事言われなきゃいけないの? 意味分かんない」

「こんな事をしていて、貴女は本当に幸せになれるの?」

「何それ……私はもう悪役令嬢じゃないのよ! 幸せになれるに決まってるじゃない」

「どうかしら……」

「『マロリー・ニリーナ』は変わったの! だって全然違うでしょう?」


確かに以前のマロリー・ニリーナとは、まるで別人である。

攻略対象者や令嬢達の前では天使のように振る舞うマロリーの裏側は、なかなかに黒いものを抱えていそうだ。

そして自分の思い通りに物事が進んでいるからか、相当な自信があるのだろう。

しかし、自分本位な考え方は良い未来を招かない。


「そうね、全然違うわ。でもこれだけは言っておくけど、貴女みたいな奴にはコンラッドは渡さない」

「……!」


コンラッドをケールとサイモンのように、マロリーの取り巻き化をする事だけは何があっても防がなければならない。

大丈夫だとは思うが、ケールとサイモンはマロリーに惚れ込んでクラスまで変えるほどだ。

警戒した方がいいだろう。


「何よ! 超ムカつくんですけどッ」


マロリーの独り言が聞こえてきたが、トリニティは鼻息荒く、その場を立ち去った。

(……もう話すことはないわ)

転生者同士だとしてもマロリーと仲良くなれる気がしなかった。悪役令嬢として破滅するのを回避する為に動くのは仕方がないことかもしれない。

結末を知っていれば尚更だ。

けれどマロリーとトリニティのやり方や進む道は大きく違うように思えた。

それにケールとサイモンのマロリーを崇拝するような過剰な行動は気になるところだ。

マロリーと関わった事で、ダリルとコンラッド同様、性格が変わったとしてもおかしくはないが、先程此方を睨みつけた所を見るに、良い方向ではない。

(嫌な予感がする……!)

その嫌な予感は見事的中するとは、この時はまだ思っていなかった。


そして次の日、根も葉もない噂が学園中に広がっていた。


「トリニティ様って、マロリー様を目の敵にしているらしいわよ?」

「マロリー様が仲良くしようってしたのに断ったんですって」

「……え? あの誰にでも優しいマロリー様を!?」


どうやらマロリーの評判は学園に入る前から、とても良いようだ。

一方、トリニティには令嬢の味方もおらず否定する術もない。

(……あの女、許すまじ)

マロリーはトリニティとは違い、令嬢達の味方も十分で、絶対的な味方である騎士が二人もついている。

あの後、涙ながらに教室で待っている取り巻き達に訴えでもしたのだろう。

いとも簡単にトリニティを孤立させた。


けれどトリニティはマロリーと仲良くしなければならないのなら一人でいた方が気楽である。

それにクラスが違うことが功を奏したようだ。

トリニティが通うAクラスの人達は、最初はトリニティを警戒していたが、無害な事を知ると噂と関係なしに普通に接するようになっていった。

何よりデュランの存在も大きいだろう。

彼がトリニティと共に行動している時点で、信頼回復は早かった。

デュランはトリニティの事を問われた際に周囲に聞こえるようにこう言ったのだ。


「どっちが事実か、見ていて分からないのか?」


そのたった一言でデュランは状況を一変させた。

初めはどうなる事かと思っていたが、デュランの協力もありトリニティは案外平穏に過ごしている。

但し、マロリーが圧倒的に有利で、どこに行っても視線が痛い。

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