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【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜  作者: やきいもほくほく
3章

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52.キュルルン

 

「さぁ……何をしてたのかしら」


異世界生活を満喫しながら、断罪ルートを避けようと金持ちの婚約者を漁っていたなんて言ったら、マロリーは「何それ」と。笑うだろうか。


「まさか令嬢の友達も居ないの!? やばくない?」

「チッ……」

「怖ーい」


話をしていくうちに完全に此方を下に見ているのだろう。

思わず無意識に舌打ちしてしまった。

無遠慮なマロリーに段々とイライラしてきた。

無表情美人の設定が恋しくなる。

それに令嬢の友達が居ないのは、全面的にダリルのせいと、その事に気付けなかった自分のせいである。


「ていうか、この乙女ゲームした事ないの?」

「したことはあるけど、ほとんど忘れてしまったの」

「えー……勿体ない」


マロリーは聞いてもいないことをペラペラと話している。

自分の積み上げてきたものに絶対的な自信があるのだろう。

だが、それも勝手にしてくれという感じである。


「このまま逆ハーとか出来ちゃいそうじゃない? 皆、ヒロインの真似したら直ぐに落ちたんだもん! 笑っちゃった。男って結局こんな感じの女の子が好きなのよねぇ」


キュルルンと音が聞こえそうなマロリーの仕草を冷めた目で見ていた。

同性には全く効果はないが、マロリーの言う通り、男はこういう分かりやすい感じの可愛い女の子が好きなのだろう。

けれどこの乙女ゲームの主人公は清楚で純粋そうな女の子である。

どの辺りをヒロインの真似をしたのか、是非とも教えて頂きたい所だ。

むしろ今のマロリーは乙女ゲームのトリニティと、キャラが被っているような気がしていた。

無表情美人系のイメージが強い為か、軽いノリで話す姿は見慣れないので違和感がある。

思わず目を細めてマロリーを見ていた。

(色んな意味で刺激が強い……)


「さっき貴女の側に居たインテリ眼鏡君と無口クール君、どっちが本命なの?」

「インテリ眼鏡と無口クールって、もしかしてケールとサイモンの事!?」


インテリ眼鏡は『ケール』という名前で無口クールは『サイモン』という名前らしい。

名前を知ったところで、マロリーは信じられない言葉を口にする。


「あんなのキープに決まってるじゃない!」


まるで当然と言わんばかに「あんなの」と言ったマロリーの態度に頭を押さえた。

ふと、ケールとサイモンの情報を思い出す。


「マロリーもだけど、確かケールとサイモンって、一番上のクラスだったわよね?」

「そうよ!」

「なら何故……」


以前はマロリーと共にケリーもサイモンもAクラスだった筈だが、言われてみれば同じクラスに居ない。

どうでもいいので今まで気付かなかったが、トリニティとマロリーのクラスが入れ替わり、攻略対象者であるケールとサイモンのクラスは一番下のFクラスに居る。


「私がFクラスになったら、ケールもサイモンも一緒に居たいからって付いてきてくれたの」

「……!」

「ふふっ、私が甘えると何でも言うことを聞いてくれるのよ……羨ましい?」

「いや、全然」

「…………」


此方の冷めた態度にマロリーは不満げに頬を膨らませている。

最近、ダリルやコンラッド、デュランと会話をしていたせいか、随分と話しづらく感じてしまう。

マロリーは転生者であり、自分の立場を利用してケールとサイモンを完全に籠絡している。

それに令嬢の友人も沢山居るようだ。

そんなところもトリニティとは真逆と言えるだろう。


「でもやっぱりこのゲームのメインはダリルでしょう? それに、二年後にはダリルとコンラッドも狙う予定なの」

「…………!」

「ウフフ、楽しみで仕方ないわ! 二人もあっという間に落ちるんじゃないかしら」


サイモンとケールは攻略済みの為、次はダリルとコンラッドも狙っていこうと思っているのだろう。

なんて欲深い選択なのだろうか。


しかし『コンラッド』の名前を聞いた途端、トリニティの闘志に火がついた。


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