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【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜  作者: やきいもほくほく
2章

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39.デュランside2

(兄としては、止めるべきなのだろうか……)

どうやら理想の男性像に近付くまでは、暫くはトリニティに会うのは避けるらしく、作戦を練っては楽しそうに話していた。

そんな時だった。

不思議なことにデュランも知らない間に、マーベルは周囲の記憶から消えていた。

勿論、ダリルの記憶からもだ。

何かがおかしい。

しかし思い出そうとすると霧に覆われたように記憶が霞むのだ。


その代わりに『リュート』という男がやってきて何事もなかったようにマーベルの位置に収まった。

周囲もそれを当然のように受け入れている。

ダリルは不安や嫉妬の感情がなくなったのか、自信のなさも消極的な態度もなくなり次々に新しいことに挑戦するようになったのだ。

同じようにダリルの母親である王妃も、今までの事が嘘みたいに自然なものへと戻っていく。

あれほどまでに自分を憎み、邪険に扱っていたのに……。

まるで憑き物が落ちたようだと思った。

そしてダリルと同じようにマーベルの記憶はなくなり、有耶無耶になっているようだ。


(マーベルは……いや、まさか)


確認しようにも、もうマーベルの足取りは掴めなかった。

そして、あのダリルをここまで変えた令嬢に興味が湧いた。

王妃教育とは知らずに、城に通っていると聞いた時には思わず吹き出してしまった。

どうやら自分を高めて良い結婚相手を見つけられるように頑張っているトリニティは、令嬢達が泣きながら嫌々やる王妃教育を積極的に楽しみながらやっているらしい。

トリニティの両親もダリルとの結婚に前向きなのだろう。

そんな様子を遠くから見ながら、嬉しいそうにダリルは「トリニティ様を幸せにする為に、僕も頑張らなくちゃ」と、言った。


しかし、このまま会わないでいるのは良くないと思った。

それだけ変わった令嬢ならば間違いなく……。

(このままだと、取り返しがつかなくなる)

そして、トリニティの反発と行き着く先が安易に想像出来た。


一度トリニティと直接話した方がいいと言うとダリルは素直に従った。

それにリュートにも、そう言われていたようだ。

そして誕生日パーティーにトリニティを招待する事になった。

パーティーにやってきた『トリニティ』は確かに可憐な令嬢だった。

ダリルがパートナーを連れて出席するパーティーは初めてだったので、注目が集まっていた。


(ふーん、あれが噂の『トリニティ』か)


暫くトリニティを観察していたが、予想外の行動ばかりとる為、笑いが止まらなかった。

どうやら自分の婚約者候補を必死に探しているようだ。

考えている事が全て顔に出ているかと思えば、突拍子もない事をして予想をひっくり返して見せるのだ。

周囲の令嬢達はダリルの愛情を独り占めしているトリニティに嫉妬の目を向けているのに、何を勘違いしているのかは知らないがフッと笑ったかと思ったら誇らしそうに胸を張っている。


(私が可愛いから仕方ないとか、思ってるんだろうな……)


そして直接話をしてみたくなり、トリニティの前に顔を出すと『初恋の人に似ていて』と頬を赤らめたのだ。

予想外の反応に驚いていた。

トリニティから感じる視線は熱いものではあるが、恋慕の類ではない。

それなのにダリルは敵対心を剥き出しにしている。


腹違いの兄弟だと伝えると、大抵の奴らは気まずい雰囲気を出すか、心配するか、味方だからと擦り寄ってくるはずなのに、トリニティは「なるほど」と納得して、あとはスルーしたのだ。

その後は「友達になって下さい」と、ぶりっ子全開でお願いされた時は笑いを堪えるのに必死だった。

友達になることを承諾すると、トリニティは嬉しそうに顔を綻ばせていた。

確かにダリルがハマる理由がわかるような気がした。

分かりやすいのに、何も分からないのだ。

(……面白い女)

ダリルは此方を警戒して、トリニティを連れて行ってしまった。


誕生日パーティーから数日後。

何か嫌な予感がする……そう思ったら案の定、トリニティが自分の元を訪ねて来たのだ。

やはり予感は的中。

「わたくしの好きな人になって」と言う訳のわからない提案をキッパリと拒否した。

そんな時、ダリルが乱入してきて丸め込まれていくトリニティを見て口を開いた。


「ーーーちょっと待て」


トリニティを助けたのは只の気紛れだった。


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