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【電子書籍配信中】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜  作者: やきいもほくほく
2章

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27.本能がそう訴えかける

理由を聞いて納得していると何故か二人が黙ってしまう。

首を傾げているとデュランは真剣に此方に向かって問いかける。


「それだけか?」


その言葉を聞いて逆にデュランに問いかけたくなった。

「他に何かあるのか?」と。

何が正解かも分からずに困惑していた。


「ははっ……!おもしれぇ」

「何か、失礼がありましたでしょうか?」

「いや、なんでもない」


堪えるように笑みを見せるデュランを見て思っていた。

(笑顔が尊すぎる……!)

このパーティーが終われば、この先デュランと会う事は無くなってしまう。

けれど、それでは勿体ない気がしてならない。

(こんな所で初恋の推しキャラと会えたの神のお告げに違いない……!)

自分が良い思いをする為のチャンスは絶対に逃したくはない。

この世界に来てから以前の世界での我慢と不満を解消するかのように自分の欲を吐き出していた。

眼福であるデュランを逃してはならないと、本能がそう訴えかけている。


(フフッ……ついにこの技を使う時が来たようね!)

ついにケリー直伝の、あの技を使う時が来たようだ。

ケリーデータによれば、この方法でトリニティの願いが通る確率は九十九パーセントだ。

(……これからの時のために、アール君で練習させてもらいましょう!)

手を口元へ……若干内股気味で首の角度は斜め四十五度。

上擦った声で恥ずかしそうに上目遣いをする。


「あの……デュラン殿下」

「なんだ?」


デュランと目があった瞬間、狙いを定めて口を開いた。


「わたくしとぉ、お友達になってくださいませんかぁ……?」

「……」

「……」


流れる沈黙……目を丸くして此方を見ているエルナンデス兄弟。

思っていた反応とは少し違ったが、トリニティのあまりの可愛さに意識を持っていかれてしまったのかもしれない。

デュランとダリルは此方を見たまま凍りついたようにピクリとも動かない。

(ふっ……どうやら威力が強すぎたようね! ケリーに相談しなくちゃ)


「ぶはっ……! くくっ」

「!?」


吹き出したデュランは涙を滲ませながら笑い出した。

何がおかしいのかが分からずに、爆笑しているデュランを不思議に思っていた。


「ぶっ、はは……! いいぜ? 友人になろう」

「本当ですか!?」


やり方はどうであれ、結果的には願いは叶ったのだった。

こうして無事に推しである『アール君』をゲットした。

喜ぶ自分とは違い、ダリルは不機嫌そうに顔を歪めた後に後ろから肩を抱かれて吃驚していた。


「兄上、もういいですか? 行きましょう、トリニティ様」

「…………ははっ」

「へっ!?」


先程までは紳士的だったのに、珍しく強引なダリルに腕を引かれて歩き出す。

デュランは楽しそうにひらひらと手を振りながらも肩を震わせて笑っている。


建物の影に入ったダリルはぴたりと足を止めた後に急に振り向くと、とてつもなく恐ろしい表情をしているのだ。

その顔を見てギョッとする。

(さっきまで機嫌よかったのに、笑いながら怒ってる!?)

何も知らない振りをして問いかける。


「あ、あの……ダリル殿下、どうかされましたか?」

「トリニティ様は……兄上のようなタイプが好きなのですか?」

「え……?」

「僕の記憶によると、トリニティ様のタイプは身長が高くてイケメンで包容力があって、家族を大切にして、思いやりがあって、いつも明るくて笑顔が爽やかで、スポーツ万能で、頭が良くて、お金持ちで、海のように広い心で優しく見守ってくれる一途で男らしい素敵な男性ではないのですか?」


顔合わせの際、ダリルを退ける為に提示した破茶滅茶な男性のタイプを一語一句、間違えずに言いきったダリルに、ポカンと口を開く。

仄暗い瞳で此方を見つめるダリルの姿を見ながらハッとしてから意識を取り戻す。

(どうする!? どうすれば……っ)

いつも助けてくれるケリーは今ここには居ない。

どうにかしなければと大きく息を吸って吐き出した。

ここで選択肢を間違ってはならない。


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