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16.美少年って最高に目の保養よね


「ケリーの勘もありますが、その方が上手くいくと思うんです!」

「上手くって、どういう事……?」

「もし、もしもですよ? お嬢様が新しく屋敷に来るコンラッド様を無視したり蔑ろにしたとしましょう。そして万が一、トリニティ様に今後、何かあったとします」

「何かって……なに?」

「それはですね……! 将来お嬢様がお金持ちの方に嫁いだとして、ずっとその幸せが続くと思いきや、突然壊れてしまう事だってあり得ますよね?」

「えぇ……まぁ、そうね」

「そしたらトリニティ様は、もしかして離縁するかもしれません」

「離縁ですって!?」

「そしたら次の御相手が見つかるまで、侯爵家を継いだコンラッド様……将来のフローレス侯爵様に助けて貰えないかもしれないんですよッ!?」

「はっ……!」

「ケリーは思うのです! お嬢様の将来の事を考えて、絶対に仲良くしておくべきですッ」

「…………さすがだわ、ケリー」

「えへへ、お嬢様にまた褒められちゃいました」

「貴女が居てくれて本当に良かったわ! また困った時はわたくしを助けて頂戴……! ケリーの力が必要なの」

「分かりました……!」


ここでケリーに新しい感情が芽生える。

こんなに自分を頼りにしてくれるトリニティをもっともっと幸せにしてあげたい。

やはりトリニティの側には自分が必要だ。

そしてトリニティの近くに居て自分が導いていこうと……。

トリニティはこの時点で最短ルートどころか、全く別の道に歩み出した事にまだ気付いていなかったのだった。



「こ、こんにちは……! コンラッド、です」

「トリニティ・フローレスです。よろしくね、コンラッド」


トリニティは、なるべく怖がられないようにと笑顔でコンラッドと握手する。

コンラッドの髪は薄桃色ではなく濃い桃色の髪にグレーの瞳である。

攻略対象者の為、覚悟はしていたが大変可愛らしい。


(はぁあぁ、美少年って最高に目の保養よね……空気が美味しいわ)


コンラッドは大きな目を開いて、伺うように此方を見ている。

パッチリお目々の小動物顔で恥ずかしそうにモジモジしているのが、また最高のスパイスとなっていてとても愛らしい。

可愛さでいうと、ダリルの比ではない。

あまりのコンラッドの可愛さにデレデレしないように、必死に顔の表情筋を引き締めていた。

ピクリ、ピクリと定期的に動く顔の筋肉を押さえるように手を口元に持っていき首を背けた。

(やばい……ニヤけるのが止まらない)


「トリニティちゃん……!」

「……トリニティなりに、コンラッドと仲良くしようとしているんだ。なんていじらしいんだ!」


どうやら両親はトリニティが新しい弟を受け入れようと頑張っていると思っているようだ。

ケリーも「頑張ってください! お嬢様~」と小さく応援する声が聞こえて来る。

それを否定するように静かに首を横に振った。


(違う、違うのよ……! 今すぐコンラッドを揉みくちゃにして撫で撫でしてあげたいッ)


外見は子供であるが、心の中が成熟しているせいか完全に親目線である。

母性本能をくすぐる兎のようにふわふわした髪に小さな唇はトリニティと共通して圧倒的な可愛さを持っている。

それにゲームの中でも可愛い系担当なコンラッドは年上の女性を虜にしていた。

そして、ついに耐えきれなくなり口元を押さえてその場から立ち去った。


「……ご、ごめんなさい! ちょっとお花を摘みに……すぐ戻りますわ」

「……トリニティ!?」

「お嬢様!」


後ろからマークとケリーの声が聞こえたが、そのまま走り抜けた。

(コンラッドが可愛すぎて、自分を抑えられないッ!!)


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