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親子の絆  作者: リサ
9/21

衝突

 皆様、お久しぶりです! 約3ヵ月ぶりですね。忘れられていないことを願うばかりですwww


 リモートやオンデマンド形式の授業や仕事には慣れました? 私は機械音痴なのも相余ってなかなかなかなか思うようにスムーズにいかない日が多いこのころです(泣) そのせいもあって前回の投稿からこんなにも間が空いてしまい申し訳ありません。_(_^_)_


 全体的にダークな感じの内容ですが、暖かな目で見守ってください!!


 そして感想や評価、リクエストなどなど、どしどし送ってください! 


 あと2週間は連続で投稿できます! それではお楽しみください!!

「このくらい成長してしまえば、薬での堕胎は難しいです。できるとすれば帝王切開がありますが、こちらは体の負担が激しいです。精神的にもかなりの負荷がかかる恐れがあります。最悪の場合、今後一生妊娠が出来なくなる可能性もあります。」



 湊の説明を聞きながら美奈は膝の上の両手を握りしめた。

 説明内容は過去に美奈が受けたものとほとんど同じだった。違うのは、あの時の女医さんが言いよどんだことをはっきりと告げていることぐらいだった。



(わからない・・・・・。私は産むことを決めたけど、夏紀はどうすることが正解なの?)


「ね、ねぇ。」



 沈黙が支配する部屋の中に夏紀の声が異様に響いた。

 部屋中の視線が一気に夏紀に集まった。



「私、産もうかと思う。」


「夏紀・・・・本気?」



 私としては夏紀が産むと決めたのならば、全力でさあポートするつもりだった。我が子と離れ離れになるのは、とても、とても、つらいから・・・・・・・。

 けれど・・・・



「だ、だって、産んだとしても赤ちゃん()()()()()()()があるんでしょ? だったら痛くても我慢して産んでそれ以上関わらなければいいじゃん!」


「な、なんてこと言うの!?」


「そうでしょ! 赤ちゃんの世話は大変だって聞いた。私将来やりたいこといっぱいあるの! 子供産んだだけで時間拘束されるのなんて絶対いや!」


「子供の将来はどうするの?」



 私の声は明らかに怒りでわずかに震えていた。いいや、怒りだけではない。信じられないという思いや、驚き。悲しみや絶望。そう言った感情がまじりあったような、自分でもうまく表現できない感情で埋め尽くされていた。

 今までに、こんな感情を娘(夏紀)に抱いたことはあっただろうか・・・・・。



「そんなの知らない。勝手に生きてくんじゃないの? 私には関係な・・・・・。」



 パシーン。


 部屋に乾いた音が響き渡った。

 ジンジン痛む手で美奈は自分が夏紀を叩いたことに気づいた。


 夏紀は少し赤くなった左頬を抑えて呆然と母親を見た。今自分に何が起きたのか、わからないようだった。

 

 それもそうだろう。夏紀の記憶の中で、母親から手を挙げられたことは今まで1度もなかったのだから・・・・。怒られるときはいつも、視線を合わせ口でのみ怒られた。


 それは美奈も同じだった。そもそも美奈の中には、和也の忘れ形見でもある大切な夏紀に手を上げるという選択肢は今まで存在すらしなかった。

 今までは夏紀がどんなに聞き分けが悪くても、何度も目を合わせて言い聞かせれば、納得してくれた。これからもその方針を変えようとは思っていなかった。



 重い沈黙に耳が痛くなる・・・。


 最初に正気を取り戻したのは夏紀だった。

 目に一杯に涙をためてこちらをにらんだと思うと、次の瞬間部屋から飛び出した。私はその場から動くことが出来ずに、ただ茫然と夏紀が消えた扉を見ていた。早瀬先生がどこか慌てたように電話をかけていたけれど、その会話もどこか遠くの別世界のような感じがした。



「とりあえず夏紀さんが落ち着くまでかけて待ちませんか?」



 電話を終えた早瀬先生が先ほどまで座っていた椅子に優しく促した。私はおとなしく座った。

 椅子に座った途端、体中の力が抜けた。あの僅かな間に今日1日の体力すべてを注ぎ込んだような感覚だった。それと同時に、膨大な無力感が襲い掛かってきて手で顔を覆った。



「過去、何か、辛いことがあったんですね。」



 先に口を開いたのは早瀬先生だった。医者にしてはかなり踏み入ったところを聞くなと思いながらも、なぜかあまり不快には思わなかった。

 それは早瀬先生の相手を落ち着かせるような声音がそうさせるのか、それとも今の私の状況がそこを気にするほど余裕がないのか。はたまた、早瀬先生の名前が昔手放した息子と同じだったからなのかはわからない。わからないけれど、私はその言葉に導かれるようにあの忌まわしい記憶や息子について話した。



 話している間、早瀬先生がとても冷めた感情がすべて抜け落ちたような目で、私と夏紀が飛び出した扉を見ていることを、うつむき顔を覆っている私は気づくことはなかった。


読んでいただき、ありがとうございます!

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