病院へ
皆さんお久しぶりです。3週間ぶりですね。
遅くなってしまい申し訳ありません!!!
次の日、私は夏紀を連れて病院に行った。今後のことを話し合うためだ。
夏紀は昨日から様子がおかしかった。ずっと心ここにあらずといった感じだ。おそらく現実を受け入れ切れていないんだと思う。
私もそうだったから・・・・・。なんで気づいてあげられなかったんだろう・・・・。
病院の待合室でどこかぼうっとして隣に座る娘を見ながら小さく息を吐いた。
昨日娘の妊娠を知ってから頭に浮かぶのは、なぜこうしていなかったのか、ああしていればという後悔ばかりだった。
(だめだ・・・・。)
今一番つらいのは夏紀自身なのに。母親である私がこんなではいけない。
美奈は落ち込みそうになる気持ちを無理やり奮い立たせた。
しばらくすると、名前が呼ばれた。私たちが通されたのは、診察室ではなくテーブルが1つとパイプ椅子が数脚ある小さな個室だった。
そこには若い男性が座っていた。若い男性は、私たちを認めると立ち上がって手を差しだした。
「初めまして。私は早瀬 湊 と申します。以前夏紀さんを診察した者です。」
美奈は驚きで固まってしまった。美奈の旧姓は『早瀬』である。つまり、今目の前にいるこの医師は、昔手放した息子と同姓同名なのだ。
「あの・・・・。どうかしましたか。」
「・・・! い、いえ、なんでもありません。今日はよろしくお願いします。」
心配そうな声が聞こえ、美奈は我に返った。気が付けば心配そうな顔をした早瀬先生と夏紀が美奈を見ていた。
(いけない。しっかりしないと。)
美奈は気合を入れなおし、早瀬先生との握手に答えた。
美奈は握手を交わした後、湊に促されて席に着いた。
「まずはこちらを見てください。」
美奈と夏紀が並んで座ると、向かいに座った湊は白い封筒から紙を数枚取り出してテーブルに並べた。
それは、白黒の写真だった。夏紀は何の写真かわからずにきょとんとしていたが、美奈はそれが何の写真であるかすぐに気づいた。何故なら今までに2回、病院診察に行くたびに見せてもらっていたものだったから。
それは、胎児エコー検査で撮影されたものだった。おそらく写っているのは自分孫であり、夏紀の子供だ。
「この写真は夏紀さんの胎児の写真です。」
(やっぱり・・・・・・。)
予想通りそれは夏紀の子供の写真だった。夏紀はいまだ実感できていないのか、きょとんとしていた。
奏は2人のそれぞれの反応を一瞥して説明を続けた。
「このくらい成長してしまえば、薬での堕胎は難しいです。できるとすれば帝王切開がありますが、こちらは体の負担が激しいです。精神的にもかなりの負荷がかかる恐れがあります。最悪の場合、今後一生妊娠が出来なくなる可能性もあります。」