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親子の絆  作者: リサ
13/21

早瀬 湊1

奏→湊に書き直しました。



 湊は仕事終わりにとある居酒屋でグラスを傾けていた。周りは仕事帰りの会社員などで少しうるさいくらいに賑わっていた。






「お~い! 飲んでっか! ったく、相変わらず辛気臭い顔してんな。ちょっとは俺に愛想よくしてもいいんじゃないか? お・医・者・さ・ま。」






 男が1人、奏の首に腕をかけてきた。






「うるさい。くっつくな。飲みずらい。離れろ。」




「ひっでーな。俺とお前の中だろ?」






 湊は明らかに不機嫌だった。男はそれに気にすることもなく、飄々ひょうひょうとしている。


 この隣の騒々しい男、飯塚 匠いいづか たくみは同じ児童院の腐れ縁だ。物心ついた時から一緒にいる。騒々しいが、まぁ、悪いやつではない。ちなみに弁護士だ。認めたくはないが腕はいい。






「にしても珍しいな。いつもは俺がいくら誘っても仕事がある日とその前はぜってぇ来ねぇのに。なんかあったのか?」






 さすが、相変わらず鋭い。


 そう。普段の俺はどんなに誘われても仕事があった日は絶対にのらない。仕事前の日もだ。


 医者という職業は失敗を許されない。常に気をはっている必要がある。だから仕事終わりは家でのんびり過ごしたいのだ。こいつ匠みたいに仕事終わりに騒いで次の日朝から仕事に行くほどタフでもない。


 というか、だれが仕事で疲れているというのに、こんな騒がしいやつと飲むか!!!


 それでもいつもしつこいぐらいに誘っては来るが・・・・・。




 俺が今日柄にもなくこいつの誘いにのったのは、ただ家に帰って1人になりたくなかったからだ。1人になった途端、この何とも言えない歯痒いような胸をかきむしりたくなるような感情が、ドロドロと底無しから漏れ出てきそうだった。


 だからいつものように、飽きもせず誘ってきたこいつの誘いにのった。


 それもこれもおそらくあの親子母子のせいだろう。








♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦






 俺は、俺たちは親の顔を知らない。物心ついた時から一緒にいた。


 俺たちのいた家児童院は龍水院というかっこいい名前があった。そこには、10人くらいの兄弟姉妹たちと4人の母さん、母さんたちが院長と呼ぶ父さんがいた。


 上に兄さんとか姉さんがまだいるけど、19歳になったら家院を出て1人暮らしをしなきゃいけない。時々兄弟姉妹が増えたりする。それが普通だと思っていた。これが一般的な家族の形だと思っていた。


 けど、違った・・・・・。






 それを知ったのは、小学校に通い出してそう時間はかからなかった。


 学校でごく普通に家族の話題になった時だ。子供というのは残酷で、おかしいと思ったことは容赦なく指摘してくる。






「みなとくんたちのいえおかあさん4人もいるの? へんなの!」


「おれしってる! そういうの『うわき』っていうんだぜ!」


「じゃぁかなでくんたちはおとうさんとおかあさんが『うわき』して生まれたんだ!」

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