告白
皆さんお久しぶりです。 かなり間が空いてしまいましたねスミマセン(__)
諸事情により投稿順番が前後して読みにくいかと思います。本当に申し訳ございません!!!
奏に自分のかかえているものを聞いてもらった後、美奈は夏紀を探しに案内された部屋を後にした。病院内を探していると、中庭で花壇の煉瓦に腰かけてぼうっとしている夏紀を見つけた。
「夏紀。」
美奈が夏紀に声をかけると、夏紀はゆっくりと顔を上げた。
「帰ろっか。」
夏紀は何の反応を示さなかったが、美奈が優しく夏紀の手を取って促すと、夏紀はゆっくりと立ち上がった。そのまま2人は車に乗って家に帰った。
車内での会話は皆無だった。それは家についても同じだった。
家に帰ると、夏紀はのろのろと自分の部屋に向かったきり、そこから出てこなくなってしまった。部屋に鍵をかけてしまって、美奈がいくら扉越しに声をかけても、何も返事を返さない。
扉の前に置いているご飯は毎日食べているようなので、一応生きてはいるよだが、美奈は心配で心配でたまらなかった。
そして美奈はある決心をした。
その日、美奈は夏紀の部屋の前に立った。
「・・・・・・夏紀、聞いてくれる?」
声をかけたが、案の定返事はない。それでも美奈は話続けた。
「今まで黙っていたんだけどね、あなたにはお兄ちゃんがいるの。名前は湊っていうの。私があの子の母親と名乗るのもおこがましいことだけどね。」
美奈は自嘲気味に笑った。相変わらず部屋からは何の反応も感じられない。
「兄ちゃん・・・・湊はね、ちょうど私があなたくらいの時に産んだの。父親は分からない。レイプ魔に襲われてその時に宿ったの。」
部屋の中で布がこすれるごそごそとした音がして、扉の前で止まった。
「何で・・・・・産んだの?」
久々に聞く娘の声だ。普段より弱弱しくはあるものの、元気そうで美奈は少し安心した。
「妊娠したことに気づかなかったの。気づいた時はもう薬での堕胎は出来なかったの。それにね、子供には罪はないでしょ? 親がどんな人間だって。」
「・・・・・何でその人のこと教えてくれなかったの? 捨てたの? 産んだこと後悔したから? 」
その質問に美奈は唇を噛み締めた。そうでなければ、とっさに否定してしまいそうだった。
『 捨てた 』・・・・確かにそうだろう。どんなに否定しても、どんなに耳障りのいい言葉で着飾らせたとしても、私があの子を手放した事実は・・・・・捨てた事実は覆らないのだから。
「・・・・・そうよ、捨てたの。私は我が子を捨てたの。この手で。」
深く息を吐いて美奈は告げた。扉の向こうで息をのむ声が聞こえた。
「私の両親、つまり夏紀のおじいちゃんとおばあちゃんはね、仕事で家を空けることが多かったの。そして私もあなたと同い年でいろいろ時間にも余裕なんてなかった。それにね、産まれたばかりのあの子に何にもしてあげられなかったの。こんな環境で育てるくらいなら施設の方が幸せになれるんじゃないかって思ったの。と言ってもこんなの言い訳でしかないけどね・・・・・。あなたの言う通り、私が自分の子を捨てたという事実はどうやっても覆らないわ。」
「・・・・・」
夏紀は何も言わない。
呆れられてしまっただろうか。それとも、ひどい親だとののしられるかしら。
「お父さんは? お父さんは知ってるの?」
「うん。結婚する前に話したの。全部。」
それからお互い、何も話さなかった。
どれくらい時間がたっただろうか、日が沈んで夜がすぐそこまで迫っていた。
すると、扉の向こうでお腹の虫が鳴る音が聞こえた。それと一緒にゴンッという音とうめく音が聞こえた。
美奈は思わずクスッと笑って、夏紀に一言声をかけて夕飯を作りにキッチンに向かった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
感想・リクエストお待ちしています! 誤字脱字チェックもお願いします。




