6話 明かされる事実
金髪のショートカットが似合う人って良いですよね。
「起きましたか?」
目が覚めると、ロレーヌがニコリとしながらこちらの顔を覗き込んできた。なんだか頭の感触が気持ちいいし仄かにいい匂いもする......。膝枕されてるっぽいね。このまま堪能しておこう。彼女の雰囲気も模擬戦前より柔らかくなっている。
「どうやら魔力を消費しきって、気を失っていた様じゃの」
使い慣れない古代魔法を連発しすぎて、自分の魔力量の管理ができなかった。そもそも古代魔法は高い威力を代償に消費魔力が多いのか?これからも研究が必要だ......。幸い夜中なら誰にも気づかれずに地下の小部屋に侵入できるしね。
「小僧......お主の魔法は、古代魔法ではないか?それも1000年ほど前にドロシーが使っていた魔法と酷似しておるのじゃ。魔力の質も彼女と酷似しておるしのぅ」
今更だが、長の名前はジスレリアさんと言うらしい。周りのエルフたちが恭しそうに彼女に話しかけていたのでおそらくジスレリアさんがエルフの里で一番偉いのであろう。
それにしてもいきなり核心をついた質問をしてきたな。下手に嘘をついても、バレるだろう。ジスレリアさんはドロシーについても何か知ってそうだから正直に話すか......。大変遺憾ながら堪能させて頂いていた膝枕から起き上がる。
「実はーー」
公爵家の地下室であったことを全てジスレリアさんとドロシーに話した。2人は最後まで真剣に聞いてくれていたが、途中で何度も驚いた顔をしていた。しかし模擬戦での魔法を目の当たりにしていたので納得してくれた。
「いやはや、あのドロシーの血を強く継いだものが現れるとは驚きじゃ。しかも家の地下に彼奴の魔法の全てを残しているとはな......」
「私も驚きました。長のかつてのご友人であるドロシーさんに子孫がいたなんて。私、人間の......それもまだ子供でこれほど強い方は初めて見ました!どれも素晴らしい魔法でした。それに転移魔法を試していたとはつゆ知らず、水浴びを覗かれたと勘違いしていました......ごめんなさい」
ジスレリアさんに、覗きをされたと一方的に決め付けるのは早いと叱られたらしい。ロレーヌさんが顔を赤くしながら謝ってきた......。可愛い。だからロレーヌさんの僕に対する態度が軟化したのね。しかしエルフが人間を見下しているというのは本当なのか?
「僕の方こそ初めての転移魔法とはいえ、覗きまがいのことをしたり勝手にエルフの里に入ってご迷惑をお掛けしました。申し遅れましたが僕の名前は、リヒト・フォン・リヒテンシュタインと申します。」
「そのことについてはドロシーの顔に免じて許すのじゃが、彼奴のフルネーム初めて知ったのじゃ。ロレーヌも言った通りドロシーとは友人だったのでな。彼奴も最初は転移魔法でこのエルフの里に来て、周りを驚かせたものじゃ。それに精霊たちにも好かれておったがエルフ族でも珍しいことじゃ。」
1000年前のドロシーと友人なんて一体ジスレリアさんはいくつなのだろう。確かに周りのエルフと比べて見た目は年老いているけど、動きもキレも絶対現役レベルだよ......。流石は魔法に長けたエルフ族の中でもトップに立つだけはある。今の僕では敵わないな。
それに比べてロレーヌはエルフの中ではまだ若そうだ。金髪碧眼ショートカットでスラッとしているが、胸など出るところはしっかり出ている。これで模擬戦中はしっかり動けているのが驚きだ。しかしあの強さだと同世代のエルフたちの中でも上位だろう。
そんなことを考えていると......。
「小僧、ロレーヌの事が気になるのか?」
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