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5話 お互いの本気

今回は長くなりました。

 適当に頷いた後、長と言われるエルフに訓練場まで連れてこられた。エルフは魔法や弓を得意とする種族ゆえに、剣や槍、斧などは置かれていない。



 訓練場の観戦席には騒ぎを聞きつけて、大勢のエルフが来ている。ここに来る途中では様々な目で見られた。驚き、好奇、侮蔑、恐怖......まぁ急に人間が来たら驚くよね。でも観戦席にいるエルフたちは純粋な好奇心の目でこちらを見ているような気がする。



 そして驚いたのが、エルフの里のインフラが王都より整っているという事だ。エルフって森の木の上で生活しているのかと思いきや、魔石を核とした様々な魔導具が里に溢れていた。全くもって人間より豊かで高水準な生活を送っている。もう里じゃなくて街、そりゃ人間を見下すわけね......。



「小僧、準備はいいか?」



 ちびる前に、おしっこ行きたい。って言おうとしたけど、観客席が今か今かと待ち望んでいる雰囲気で言い出せなかった。エルフって意外にも戦闘狂で実力社会らしい。



「いつでもいいですよ」



 ちなみに、この模擬戦は本気を出す。力を隠すのはあくまで王都での活動の時であって、エルフの里じゃない。そもそもエルフ相手に舐めてかかったら、一瞬で勝負がついておしっこがちびる......おしっこがちびる。



「ロレーヌの方も準備はいいかい?」


「はい!」


 ロレーヌが一瞬こちらを睨めつけてくる。チロチロ


 アッ、いや今は模擬戦に集中しよう。今度おしっこだけを転移させる【古・おしっこ転移】魔法を習得しよう。



「うむ、ルールはのぅ。勝敗は相手に参ったと言わせるか、こちらが一方的な勝負であると判断した時じゃ。致命傷を与える攻撃は控えるようにし、もちろん殺しは無しじゃ!」



 一部のエルフがガッカリした表情をしてる。君ら綺麗な顔しながら殺し合いを好むとか、好戦的すぎない!?



「両者構え!」



 ロレーヌと15mほど距離を空けて、それっぽく構える。



「始めじゃ!」


「ファイヤーボール!」ボゥ


「ウッドウォール!」

 


 様子見で放ったファイヤーボール3つが簡単に弾かれた。ツルや根が複雑に絡みあった壁には、普通の魔法ではびくともしない事が分かった。少し火力を上げたいがーー



「ウッドランス!」


「古・転移!」シュン



 何十本もの木の槍が僕の命を断とうと襲ってくる。転移でとっさに回避する。と同時に観戦席がざわめいている......が今は無視だ!



 しかし回避した先にも、ウッドランスが飛んできた。魔法探知能力に優れているのか、転移した先に間髪入れずに魔法が飛んでくる。やはり回避するだけではこちらが後手に回る。



「古・転移」 「古・ダークスフィア!」



 転移で10mほど上空に上がって、ロレーヌを見下ろす位置からボール系の上位互換スフィアの魔法を放つ。スピードがあり、一直線にとぶボール系の魔法と違う。スフィア系の魔法はスピードは遅いが、ある程度操ることもでき、威力が格段に上がる。



「フォレストウォール!」



 相手も上位の魔法で対抗してくる。お互いの魔法が正面衝突し霧散した。転移で着地したので落下ダメージはない。ちなみに彼女はまだ一歩も動いていない......お互いまだまだ手の内を見せ切っていないため、迂闊に動けない。



 しかし思ったよりも転移の魔力消費が多い。今日初めて使ったから、まだまだこの魔法の知らないところも多い。相手の手の内が分かりきっていないが、早めに決着を付けないといけないかもしれない。



 一気に決着を付けようと魔力を解放する。相手もそれに気づいたのかそれに応戦するように魔力を解放する。



「森羅万象!......地上は全て私の庭よ!上空に逃げたところでいつまであなたの魔力が持つかしら?」



 僕と彼女の立っている訓練場全てに木木が生え始めた。全ての木の枝、根、ツルがまるで意志のあるかのようにこちらに襲ってくる。おそらく森羅万象は樹木魔法の中でも最上位の技だろう。幾つもの木を操る操作難易度、消費魔力。共に他の魔法とは桁違いだ。



 それに答えよう。僕が今回覚えられた古代魔法は、ボール系、スフィア系、転移魔法、それに後一つーー



「古・転移!」



 再び上空に上がる。今度は伸びてくる枝から距離を置くため20m程上空に飛ぶ



「古・プロミネンス!」



 ありったけの魔力を込めて、右手に太陽のように桁違いに大きい炎の球体を作る。おそらく、火属性魔法の中でも最上位に位置するであろう古代魔法を放つ。



「グングニルフォレスト!」



 樹木全てが一本の槍の様に収束しながら、プロミネンスと衝突する。そこを中心として大爆発......そして大きな衝撃波が生じた。



「また相殺か......」



 結局相手に一矢報いる事はできなかった。しかも魔力が尽きて転移を使えない。意識も朦朧とする。このまま地面に衝突ーー



 ポフッ



「ハァ......着地まで考えて魔法を使いなさい」


「終了じゃ!」



 どうやらロレーヌが抱きかかえてくれたらしい。魔力を使い切ったせいか、ここで意識を失った。やっぱりエルフはチートだ......。


お読みいただきありがとうございます。

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