2話 秘密の古代魔法
いやまさかちょっと魔力を込めてドアに触れるだけで開くとか誰も思うわけないじゃん!!
もうちょっとすごい詠唱しながら大人数で大掛かりなことをしたらゴゴゴゴゴゴゴォとかいって開くような感じだと思うじゃん!
ギィだって!ギィ!ボロボロの木製のドアみたいな音でちゃったよ。まぁそれはそうと入れたのはいいんだけども......。
小部屋は真ん中に机と一冊の日記、イスにそれらを囲うようにたくさんの本棚と魔導書っぽいものがあり、2階もある。
2階?ここ地下だけど......しかも思ったより広くない?僅かに魔力が空間に漂ってるし、ドアを境に別空間に転移する仕組みになっている?かなり高等な技術......っていうか失われた古代魔法?しかも丁寧に全ての魔導書に保存魔法がかけられている。
とりあえずイスに座ってーー
ゴシャッ
「イスには保存魔法が掛かっていないのね!!」
一呼吸おいて机の上にある一冊の日記を読んでみる。
『この部屋に入ってこの日記を読んでいるということは、私の血を強く継いだものが無事あらわれたという事だな。よし!』
よし!って可愛いなオイ。
『私の名前はドロシー・フォン・リヒテンシュタイン。宮廷魔術師第1席にして先の大戦、レーニック戦争を1人で終結させた大賢者でもある』
自分で大賢者って言っちゃったけど、驚いた。歴史上に名が残ってる稀代の大賢者ドロシーが日記を残してる?しかもレーニック戦争ってうちの王国と他国がレーニック峡谷で起こした戦争だし。1000年ほど前の話だし。何より驚いたのがドロシーのフルネームがドロシー・フォン・リヒテンシュタイン?
これが知れたら国中が驚くだろう。ドロシーの血がリヒテンシュタイン公爵家で連綿と受け継がれていた?
『この部屋に入れた者は私の血を強く注いだも者、すなわち魔力の波長が私に近しい者だ。息子にはあまり私の血が強く現れなかった。これを読んでる者は隔世遺伝によって、私の血が強く出たのであろう。』
なるほど。確かに弟たちと比べても僕は父上に外見上でも魔力の質でも似ていない。今なら分かる。
『先の大戦で活躍した私だったが、なに、活躍しすぎて私の魔法が恐れられるようになってな。国中が強すぎる魔法をなかったことにしようとしたのだ。フフッ』
フフッ、じゃないよ!なんでそこでちょっと照れたの?ねえ?
『そういうわけで、ここに私の魔法の全てを残し私の祖先に継いでもらうことにしたわけだ。なに、私の血を強く継ぐ者だから悪用はしないだろう......。するなよ?』
しないけど......ちょっとこれ手に負えないんだけど無かったことに出来ないの?
まぁ、暗躍するためには力はあったほうがいいし、古代魔法の転移魔法とか使えたら便利すぎるし。
古代魔法か、今の魔法とは隔絶した威力や範囲を誇っていたり、汎用性もある魔法も多いらしいしおらワクワクすっぞ!
柄にも無くテンションが上がったけど、そうなるとよけいに陰で行動する仲間が欲しくなってくる......。これから大変になるぞ。




