紛い物の再開
2日続けて投稿出来ました!
怪物を塵にするとここから出る為に歩き出す。
このダンジョンと呼ばれる空間から出る為の出口は決められた場所には無く決められた範囲でランダムに出現する。
半径1キロの中でランダムに出現する出口を探すのは骨が折れる作業だが魔法で空中に浮き高速移動をしながは探せばさほど時間は掛からなかった。
10分ほど探して出口を見つけた。
ゆっくりと出口の前に下降してそれを見る。
「いつまでも慣れないなこれは」
今いる場所は周りが見渡す限りの草原で遠くにちょっとした森が見えるような所がそんな場所に違和感ありまりの木製の扉がポツンと立っていた。
このダンジョンから出るには普通に扉を開けて中に入ればいいだけだ。
扉をくぐるとダンジョンと繋がっている建物の中に転移する。
周りを見て自分以外人が帰って来ていない事を確認をすると今いる建物から出て近くにあるいかにもない見た目の"ギルド"と呼ばれる建物に入っていった。
ここで微炭酸のジュースでも飲んで体を潤そうかと思い腰を掛けようかと空いてる席を探していると顔見知りの女性が話しかけてくる。
「お疲れ様です。随分と長く潜っていたようですが何かいい収穫はありましたか?」
「いつもより多く魔物と会ったんだがどれも運良く弱くて助かった。しかも貴重な収入源の魔石も通常の魔石よりも一回り大きくてウハウハだ」
冷静に自分の思っている事を伝えると感心したような反応が返ってきた。
「へぇ〜凄いですねぇ!普通魔石が大きいモンスターはそれに釣られるように個体の強さも上がるはずなのに……!エクシアさんはやっぱり実力もしっかりしているんですね!」
「やめろ、照れる」
エクシア、俺はあの日を境に自分の名前を捨てこの名を名乗っている。
彼女の200年あまりの記憶も引き継いだ俺は自分が本当に自分なのか分からなくなりエクシアの名前を借りて生きている。最早元の名前など覚えていないし、戻す気など毛頭ない。
しかも記憶の200年と生きてきた180年の記憶で俺の人格は別人といっても差し支えないほどに変わっている。
「換金をしたい」
照れ隠しの意味も込め、魔石などの素材が入った袋を短な言葉と共に差し出した。
流石プロとも言うべきかすぐさま楽しげな雰囲気をしまい真面目な雰囲気を纏い一礼をした後別室に案内され少し待つように言われた。
部屋に既にいた職員に微炭酸のジュースを頼み持って来てもらう。
ジュースを飲みながら暇を潰している中20分ほど経った頃さっき案内してくれた彼女が扉を3回ノックして入って来た。
その両手には1枚あたり100万の価値がある金貨型の貨幣が12枚入っている袋が握られていた。
彼女が席に座りこちらと向かい会うと静かに袋を差し出した。
「こちらが今回の報酬で金貨12枚です。お話にあった通り結構な数の魔石が基準値を超えていた為報酬にその分をプラスしています。何か質問はありますか?」
「堅苦しく無いのか?その話し方」
「まだ営業時間なので…」
少し照れるように言う
「まぁいいか。じゃあいつもの質問でいいか?」
「構いません」
「100年前に突如消えたエルフの王族の一員のヴァレンタイン家は見つかったか?」
「………残念ながら。しかし新しく入った情報があります。エルフの1人がヴァレンタイン家の顔と似通った獣人の女性を5年ほど前にここら辺で見たと証言していました。エルフ族は皆整った顔立ちをしており、似た顔立ちの者が存在する事は他種族ではほぼほぼ有り得ないと言っていたので見かけた時に声を掛ければ何か手掛かりを掴めるかも知れません」
俺は長年進展のなかった話に突如舞い降りた情報に対し自身でも自覚出来るほどに興奮していた。
何せ一方的な自身の初恋の人との約束なのだ。それがやっと果たせるかもという所に来たのならば興奮も当然という物だ。
「見たと人はそのエルフだけですか?」
少し気になったので質問を重ねる
「ん〜エルフではその人だけですけど他種族だと、ドワーフの人が2人、獣人の人が4人人族は1人もいませんでした。全員普通の人より長命な種族なので羨ましいですね!エルフなんて死ぬ間際まで20歳やそこらの姿のままでしょ?!女の夢を全て体現したような理想種族よ!!」
「口、口。乱れまくってますよ?」
「おっとと」
エルフに対する嫉妬なのか憧憬なのかが爆発して彼女の真面目ぶった口調は本来のものになってしむっていた。
少し恥じるように口を手を当て「ぅうぉっほん!」と態とらしいクッションを挟み話を再開した。
⭐︎ ⭐︎
脱線も含めて1時間も話し込んでしまった。
報酬の金貨のうち2枚を懐に持ちあとはギルドに預けてその場を後にした。
家が近くなって来た。
怪物の討伐なんて危険極まりない事を糧として生きてる為か住む場所も自然とそういう者達集まる街になる。
恐らく200年前の日本じゃあり得ないだろうが俺が住む家の周りにはかなり闇が深いスラム街がある。
人の命が安いこの時代だからなのか人身売買なんて街の迷路の中に入れば当たり前だしホームレスもゴロゴロいる。
怪物の討伐に失敗し、負った怪我を治す為に借金生活をした者の成れの果てだろう。
そう色々と考えながら歩いていたせいか突然路地から出てきた存在に気付かずぶつかってしまう。
ぶつかっても自身が尻餅をつかわけでもなく逆にぶつかっても来た存在が尻餅をついた。
その際に着ていた外套のフードが取れその姿が露わになった。
その存在は幾つか目につく点があった。
まず肌だ、小麦色の健康的に焼けた肌が目につく、2つ目は最も印象的なその頭部だった。ドワーフなら髭、エルフなら耳、獣人なら動物の特徴を持つ耳なのだが目の前の存在はまた分かるくらいに獣人だった。
しかもその耳は狼の耳と一目で分かり獣人族の中でも一際好戦的と名高いウェアウルフだと判別出来た。
後は気付いた事と言ったら女である事くらいか。
「全く、大丈夫ですーーーー?!?!」
立ち上がらせる為手を伸ばした。
女が手を取り顔を上げると俺は数年ぶりの驚愕を味わった。
「え、…………エクシア?」
「ん???誰だよアンタ」
180年前に俺が初恋をし、半ば呪い染みた加護を授けてくれたダークエルフのエクシアとほぼ同じ顔があった。
この下にある星⭐️⭐️⭐️からで評価ポイントを送れるようです。
励みになるのでよかったらぜひお願いします!
そしてブクマ!感想!をしてくれると更に続きを書くのを頑張れます!