わたくしを中心としたハーレム
「はいっ!フラン様っ!」
そしてシャルロッテさんは元気よく返事をしてわたくしに抱きついてくると本館の中へと引っ張って行く。
あぁ、死亡フラグ製造会社であるシャルロッテさんと言えどもこうも好意を寄せられてしまっては憎めと言う方が無理ですわっ!
これもシャルロッテさんの作戦だとするにならばとんだ策士であると、そして大女優であるといえよう。
しかしこの無邪気な笑顔が攻略対象に向けられるのだとすればこんなにも可愛いのだ。
もしこの笑顔が向けられたのならば攻略キャラクター達は一発で恋に落ちて両想いとなり、わたくしを断罪するフラグを立てる製造会社を設立及び実行に移るであろう。
特に今現在はノア様および代々宰相となり皇帝の右腕として君臨する家系のこれまた長男であるアルビン・ダウニー・リアムに恐怖でしかないのであるが、今はその笑顔をわたくしが独り占めしているのである。
むしろシャルロッテさんをレズの世界へと誘って籠絡すれば死亡フラグ製造元は絶賛休業となるのではないのか?この考えはわたくし、やはり天才なのでは?
などと思うものの実行には移さないし、その勇気も度胸も無い。
当然である。
自分自身は今現在こそ両方行けるのだが前世に同性である男性を恋愛対象に見られたかと言うとまず見られなかったであろうと断言できる。
その感性を覚えている為わたくしは今現在性別上同性であるシャルロッテを籠絡出来ればいいなぁーと邪な想いを抱く事はするものの実行する勇気は持てないのである。
それに、やはり万が一想いを遂げるのならば異性が良いとも思っている。
そこはわたくしも一人間であり一女性である為子供を産み、育てるという人並みの幸せと言うものを夢見るものである。
なんなら白い一軒家に大型犬も追加しても良い。
夫は……子供の事を考えればいた方が良いのだろうけれども前世が前世だった為いまいちパートナーも合わせて幸せを築いて行くと言うイメージを思い浮かべる事が出来ないのは致し方ない事であろうと、その件についてはわたくしは諦めている。
むしろ、どうせ浮気して終わりであろう、男尊女卑な態度を取られてわたくしがそれを良しとせず終わりであろう、自分の趣味にお金も時間も費やしてわたくしや子供を蔑ろにされそれをわたくしが良しとせず終わりであろう、などなど、別れるまでの仮定は湯水の如く溢れてくるのだから不思議である。
異世界に来てまで引きずっているのだから浮気は心の殺人とはよく言ったものである。
もちろん引きずっているのは浮気だけではないのだけれども、一番キツかったものは何かと聞かれれば迷う事なく浮気であると断言出来るのだから相当である。
「どうしました?フラン様」
あぁ、でもこの要所要所でわたくしのハートを射抜こうとしてくる上目使いっ!
もうこれわたくしの事がライクでは無くラブの方で好きなのでは無いかと思ってしまいそうになりますわっ!!
「っ、なんでもございませんわ。シャルロッテ様」
「あのあのっ、私もフラン様とシャルロッテ様の輪に入れて下さいましっ!!」
「私もその輪に入りたいですっ!!」
「ミシェル様とリリアナ様でしたら喜んでこの輪の中に入ってきて頂いて結構ですわっ」
そしてわたくしとシャルロッテさんで二人の世界を作っているとその中へ入りたいとミシェル様とリリアナ様がキャイキャイと早くも姦しさを感じさせながら言ってくるのでそれを了承する。
むしろ逆に断る理由など無い。
なんならこのまま四人でお風呂へ入っても良いくらいである。
ち、因みにこのテンションと今のノリをお風呂の時間まで維持して全員で入る様に誘導しているなどとは、思っておりませんし思う予定もございませんので悪しからず。
これからの事は、予定は未定であるとだけ宣言しておきますわ。
「お、俺もその輪に───」
「お断り致しますわ、レオ様」
そんな時、まるでそうするのが当たり前であるかのようにレオがわたくし達の輪に入ろうとしてきた為それを即座にブロックする。
せっかくできたこのわたくしを中心としたハーレムを崩してなるものですか。
「なら俺───」
「ノア様だから良いというものでもございませんのでお断り致しますわ」
ですので例え第二王子であろうともこればかりは譲れないし譲るつもりもございませんわ。
◆
無駄に堅苦しい話とこれからの活動内容の説明というオリエンテーションを睡魔と戦いながら乗り越えた後、夕食を食べ終えたわたくし達は夜の星々を見に小高い丘へと登り皆一様に夜空瞬く星々を見上げ、そして講師のその星々の位置や名前、星座、そしてそれらのうんちくを右耳から左耳へと聞き流しながら本日のイベントは恙無く終わり今現在わたくし達はコテージへと戻って来ていた。
途中余りにもノア様とレオが話しかけて来て集中できなかった為「お黙りなさい。こうも横でうるさくされますとこの星々を集中して見れないではございませんか」と軽く叱るなどの事があったがそれくらいである。




