むむむむむむ
※11月より他作品との差別化を視野に入れ、作品タイトルを「転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る(悪の組織とは言っていない)」へと変更させて頂きますので何卒宜しくお願い致します。
しかし、このグループ分けにシャルロッテが物申すかと思っていたのだがアッサリと引いてしまうあたり何か企んでいそうであると思う事は仕方の無い事であろう。
わたくしとは別の馬車へミシェル様とリリアナ様とで一緒に乗り込むその時、集中しなければ聴き取れない程の声で「将を射んとする者は先ずはその馬を射よ、ですっ」と聞こえて来た気がするのだがきっと気のせいであろう。
気のせいであれ。
「おい、何を一人で考え込んでいるんだよ?」
そんな事を考えていると徐にレオがわたくしに話しかけてくる。
話し方こそぶっきら棒なのだが、頬が少し朱に染まっている辺りやはりまだ異性と話をするには少し恥ずかしく思ってしまう、そんな初心なお年頃なのですわねと微笑ましくも懐かしく思ってしまう。
それと同時に前世の嫌な記憶も思い出す為複雑ではあるのだが。
「別にわたくしが何を思って、そして何を考えていようとわたくしの勝手ではなくて?」
「ま、まあそれはそうなんだがよ、折角一緒の馬車に乗ったんだ。何か会話なりなんなりしようではないか。ほら、あれだ。前回の遠足の時馬車でやったトランプ?とやらのババ抜きなんかはどうだ?今帝都でも流行って来ているみたいで俺も買ってみたんだよ」
わたくしがつれない態度で素っ気なく返すもレオはまるで意に介さずと言った風で、むしろカンペを暗記して来たかのような口調でわたくしとの会話のキャッチボールなどまるで無視して一気に喋り出す。
しかし、レオの事である。
他人に、この場合は女性であるわたくしにトランプを用意しろと命令する場面であると思っていたのだが、まさかレオ本人が用意してくるとは良い意味で予想外である。
わたくしのお灸が効いている成果と言っても過言ではないのだが、そこはやはりレオの頑張りのなせるものでありここまで来るのに精神面で相当苦労した事が想像出来る。
こういう、過去をちゃんと受け入れ反省し変わっていこうとする姿にはわたくしも見習わなけれいけませんわね。
(くっ、フランと何を話せば良いか分からず初っ端からトランプというカードを使ってしまったっ!もう後は何を喋って良いのかわからねぇじゃねぇかよっ!)
それは彼の本心を知らなければの話であり、知らぬが仏であろう───しかしそれはフランが、レオはこと死亡フラグ執行者ではないと気付くチャンスを逃したとも言える為これもまたある意味で知らぬが仏であった。
(くっ、レオの奴抜け駆けしやがってっ!!俺が買ってきたトランプが無駄になってしまったではないかっ!)
(しかしだ。やはりノア様もトランプを持って来てた様だな。これはある意味で早々にトランプを出して正解だったぜ)
そして馬車の中はフランの与り知らぬ所で男同士の戦いの火蓋が切られていた。
「はぁ、分かりましたわ。わたくしもそこまで言われて尚頑なに断ってしまう程子供でもありませんわ。では前回と同様にババ抜きを致しましょうか」
しかし、目的地までの道中が暇である事も事実である。
いっそのこと眠ってしまえば楽なのであるが、遠足帰りならばいざ知らず出発したばかりで寝るというのは、たとえ寝る演技だとしても少し厳しいというものであろう。
という事でレオのトランプの案に素直に乗ってあげるのだが、わたくしはしたり顔で「しかし」と続ける。
「ただババ抜きをするというのも味気が無いというもの。ここは青春の一ページを刻む為にも負けた人が好きな人の名前を一文字ずつ言っていくというものはどうでしょう?」
「はぁっ!ふ、ふふふふふふざけんじゃねぇぞっ!!」
あらあらレオともあろう者が好きな人を暴露しなければならないという状況を想像して慌てふためいておりますわ。
レオの意中の異性はシャルロッテであるとわたくしが知っているにも関わらずに、まるでピエロですわねっ!!オーホッホッホ。
「よかろうフラン、俺はその罰ゲーム………乗ったぞ」
「おいノアっ「良いから耳を貸せ、レオ」」
そしてわたくしの案にノア様が物凄い決意を宿した瞳でわたくしを見つめながら、わたくしが提示した罰ゲームの案に賛成する。
そしてレオは、そのノア様をまるで信じれない者を見るかの様な表情で見た後ノア様を止めようとし、瞬間ノア様がレオの言葉を遮ると、何やらごにょごにょと何か良い案でも考え付いたのかレオに耳打ちし出すではないか。
「成る程、確かにそうだなノア。お前のその話に俺はこの時ばかりは乗ってやるぜ」
(成る程なぁ、フランの好きな人が誰か知るまたと無いチャンスだからここは二人で協力するべき、ねぇ。確かにこれはノア様の言い分にも一理ある。それに……)
(この場合は二人対一人になる為我々の方が遥かに有利である事にやっと気付けたか、レオよ)
そして男性達の───いや、男達ととある奴隷による負けられない戦いの火蓋が切られるのであった。
◆
「むむむむむむむっ」
おかしい。何故わたくしが何の抵抗も出来ずに負けようとしているのか。
例え只のババ抜きとはいえこの叡智溢れるわたくしが負けるなど何かしらの天変地異の前触れとしか思えない。
十分程寝落ちしてました。
あ、危なかったですw^^




