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秘密結社の設立





新しくわたくしの奴隷となったメイドの名前はアンナ・ブランストーンという名前の女性であった。


我がドミナリア家に仕えて早三年も経つという彼女の名前どころかその顔も記憶に無かったわたくしが、いかに今までイカレた思考の持ち主であったかが窺え我が事ながら反吐が出る。


アンナは腰まで伸ばした赤毛の髪を束ねて頭の後ろで纏めており、顔には眼鏡をかけ身体も出るとこは出て引っ込むところはひっ込んでいて尚且つ顔は整っているという、前世の感覚からすれば出来るクール系美人社長秘書と言った雰囲気を醸し出している女性である。


そして、そんなアンナも含めてわたくしの仲間は三人に増えた。


しかし、余りにも少なすぎるとわたくしは思う。


勿論死亡フラグは回避するように日々行動致しますがそれは所謂待ちの対応であるとわたくしは昨日のイレギュラーなイベント回収展開を経験して強く感じたのである。


そこでわたくしは思ったのです。


何故死亡イベントが発生するまで待たなくてはいけないのか、と。


そもそも死亡フラグの根本からぶち壊してはいけないなどというルールなど無い。


そこまで考えれば後はやる事は決まった。


そもそもわたくしはこのクソッタレな運命とやらにかなり腹が立っているのであるのだからぶち壊してやらないなどと言う選択肢がそもそも無いし、クソッタレな神とやらがいるとするならば大人しく従うつもりもない。


だからこそ仲間が余りにも少なすぎるのである。


「と、いう訳ですので一気に仲間を増やしたいと思いますの」

「「左様で御座いますか」」


その考えを聞きウルとメイが双子の様に息のあった返事をする。


アンナはこのドミナリア家に仕えているメイドとは思えない程の美しい微笑みをその表情に宿しながらわたくしの空になったカップに紅茶を注いでくれる。


「と、言う訳でわたくし達秘密結社ブラック・ローズ最初の仕事は奴隷を増やす事。しかし一回一回購入していては遅すぎますし家族にバレるリスクも高くなりますわ」


わたくしの話を各々真剣に聞いているウルとメイ、そしてアンナがわたくしの「秘密結社」の件で一瞬、ともすれば見逃してしまいそうな程刹那の瞬間「何言ってんだ?このご主人様は?」というような表情をした事をわたくしは見逃さなかった。


べ、別に良いではないですかっ!カッコいいですわよねっ!?秘密結社っ!!前世の男性だった感性もカッコいいと言っているのです。


それは即ちわたくしの魂がそう言っているのです!


「秘密結社……」

「ブラック・ローズ……」

「「カッコいいですっ!お嬢様っ!!」


そうでしょうそうでしょうっ!秘密結社はカッコいいのですわっ!

ウルとメイは分かってらっしゃいますわっ!!


そんな感じで三人でキャイキャイと姦しくも盛り上がっていた所、アンナがスッと手を挙げてきた。


「どうしたのアンナ?」


そう問いかけるとアンナは顔を赤らめ、モジモジと少し恥ずかしがりながらも口を開く。


「私如きがお嬢様の考えたブラック・ローズという名前に口出しするのもおこがましいのですが、私……ブラック・ローズよりもフラン・ボワーズの方が──」

「すぐバレるから却下で」


そしてこの日、秘密結社ブラック・ローズが誕生したのであった。






「「フラン様、おはようございますっ」」

「ミシェル様、リリアナ様、おはようございますわ」

「それで、えっと……そちらの方は?」


昨日死亡フラグがあって運命に殺されかけたと言っても朝はやってくるし学校は休みにはならない。


早朝軽く秘密結社ブラック・ローズのこれからについて話し合った後わたくしはこうしていつもの様に学園へ登校していた。


「今日からわたくしの側仕えとして交代制で一人学園に連れて行く事にしたのですわ」

「フランお嬢様の側仕えの一人、アンナです。ミシェル様、リリアナ様、これからよろしくお願い致します」


そう説明するとアンナがすっと前に出てきてミシェルとリリアナに挨拶をする。


その仕草一つとっても素晴らしく、これ程のメイドをたった一度のミスで処分しようとした家族をわたくしは心の中で再度見下す。


そもそも何故アンナ達を学園にも仕えさせるのかと言うと、色々と理由はあるのだがやはり一番の理由は『学園に通っている貴族達の顔と名前を覚えさせる』という事が大きい。


秘密結社ブラック・ローズをこれから活動させて行くとして対象貴族の顔と名前が分からないと言うのは致命的であろう。


その為これから貴族同士のお茶会やパーティーなどにも連れて行く予定ではあるのだが、大所帯になると不自然であるし家族に勘付かれる可能性も出てくる為、基本的に連れて行く側仕えは一人という事ですんなりと意見が一致したのであるが、本日誰が行くのかで一悶着あったのは意外であった。


最終的にアンナ、メイ、ウルの順番で側仕えとしてわたくしに付き添う事になったのだがまさかアンナがあこまで本気になるとは思いもしなかった。


そして、家に残したウルとメイであるがわたくしがいない時間を有効活用する為に日本語と簡単な英語、ローマ字にアラビア数字、更に数学と理科を勉強させるつもりである。


まず日本語などは暗号としてこれから使って行く為。


数学は怪しいお金の流れなどをこれから計算しなければならなくなってくると思われる為。

理科は自然の理を理解して魔術の技術、威力、知識の向上の為。


数学に関しては数学と言うよりどちらかと言えば算数に近く、理科に関しても魔術の属性が自然界でどの様に発生するかのみである。現段階では言語に重きをおくつもりであるが、人によって得意不得意がある為後々個々に合わせて行くつもりである。


ちなみに簡単な英語というのだが決してわたくしが簡単な文法や単語しか分からないからと言う事ではないと始めに言っておこう。


そもそも前世では英語など出来なくても日本で生きていれば困りませんし、最悪ジェスチャーでどうにかなる、などという理由で英語を覚えていない訳では無いのです。ええ。決して。


あ、挨拶程度なら余裕でできますし?………ほら。

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