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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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爆姫

「ひ、卑怯だぞっ!正々堂々と戦えっ!」

「これが卑怯と言うのならば弓などの遠距離攻撃も卑怯という事になりますわよ?そもそも武闘大会実行委員にも許可はあらかじめ取っておりますの」


未知の武器を見て卑怯だという気持ちは分からないでもない。


いわゆる初見殺しをされ訳も分からないまま負けるのは悔しいというのも理解出来る。


しかし、この武闘大会はそういった未知の武器、未知の強者、未知の魔術を披露する、又は観戦して楽しむ場でもある。


「それを、更に敵に武器の事を説明してもらっておいて『卑怯』とはどういう事ですの?悔しい、卑怯だと思う気持ちがあるのならば何故新しい武器や魔術などを考えて来なかったのですか。自分の怠慢を相手のせいにするのはとても恥ずかしい事であると、わたくしは思うのですが」

「ぐぬぅっ」


竜の翼のリーダーはまさかわたくしが正論で反論してくるとは思っておらなかったのか言葉に詰まり悔しげに睨みつけて来る。


頭では理解出来るが感情とプライドがまるで子供のように簡単に負ける事を容認する事ができない、それだけの器しか無かったという事ですわね。


そんな竜の翼のリーダーを見て思わずため息が出てしまう。


そんな時、竜の翼の弓使いが鏃に魔力を込めな始めているのが見えた。


「仕方ありませんわね。手っ取り早く分からせる為に残念ですがそれを利用させて頂きますわ」

「な、何を言って……?」

「リーダーっ!頭を冷やして体制を整えてくださいっ!未知の武器で集中力や判断能力を低下させるこの状況こそが相手の思惑かもしれませんっ!体制を整える時間は私が稼ぎますっ!!」


エルフの男性であろうか?さすが長寿なだけある。


リーダーがこのチームの心臓兼アクセルであるのならばあの男はチームの頭脳兼ブレーキなのであろう。


本当に、実にバランスのとれたチームであるとわたくしは思いながら飛んでくる風魔術を施された無数の矢に向けて腕を伸ばし指を鳴らす。


「は?」

「え?」

「バカなっ!?」


次の瞬間、無数の矢の少し手前で強烈な爆発が起き、その衝撃で全ての矢が落ちる。


その光景を見た竜の翼の面々は本日二度目の未知の攻撃による驚愕の光景に思わず足を止めてしまう。


しかしながらわたくしは二度もそれを許す程優しくは無い。


再び指を鳴らしてリーダー以外のメンバーを爆撃により退場とさせるとリーダーへ話しかける。


「わたくし達はこの銃の宣伝でここに来ておりますの。それは裏を返せば銃を使うという事はわたくし達は本来の戦い方が出来ずハンデにしかなり得ないという事ですわ」

「そんな、バカな……っ!?」

「それでは、サヨナラですわ」


そして最後は銃でリーダーの頭を撃ち抜き退場させる。


『竜の翼のメンバー全員が退場によりっ、この試合は黒い花達の勝利ですっ!!」


いつに間にか静かになっていた会場が審判の声で割れんばかりの歓声に包まれるのと同時に爆姫カミーラが誕生したのであった。





試合が終わり、現在更衣室。


わたくし達は誰が言うでも無くそうするのが当たり前の様にハイタッチをして喜びを姦しくも爆破させる。


なんてったってわたくし達だけでフランお嬢様のお役に立てたのである。


嬉しくない訳がない。


「それにしてもカミーラのオリジナル魔術、爆破魔術は何度見ても凄いわね」

「いえ、凄いのはわたくしではなくてフランお嬢様ですわ。それにそんな事を言ったら貴女達も同じではないですか」


そもそもわたくし自身はそんなに凄い訳ではない。


使える魔術と言えばマッチ程度の火種を出す炎魔術だけであった。


それをあれ程までの攻撃魔術を扱える様になったのも全てフランお嬢様の知識のお陰であると言えよう。


それは酸素だけを通さない結界を展開し圧縮、結界内の酸素濃度を高めてその中でわたくしの炎魔術を展開するというものである。


初めは上手く酸素だけを濾し取る事が出来ず苦労したのだが、ある一定の濃度を超えた時(フランお嬢様曰く結界内の酸素濃度が21パーセントを超えたらしい)わたくしの火種は火柱へと昇華し、更にそこから努力を重ね、遂に爆破までに至ったのである。


そして火柱と爆破、二つの現象が現れる酸素濃度に出来る結界の中に火種を入れた状態で展開出来る魔法術式を作り出しわたくしオリジナルの魔術が完成した。


それはわたくしの力でもなんでもなく才能も何も無いわたくしごときを見捨てる事はせず、わたくしに寄り添い一緒に悩みこの炎魔術を生かせる何かを考えて下さったフランお嬢様のお力なのである。


因みに残りの三名もフランお嬢様と一緒にオリジナル魔術を習得している為わたくしだけが特別という訳では無い。


そして、そんなフランお嬢様故に、わたくしはこの能力をフランお嬢様の為に使うと心に誓ったのである。


恐らくこの会場にはわたくしを売り飛ばした魔術師の名家である元家族も観ているであろう。


今頃わたくしを手放した事を後悔している事であろうその姿を鮮明に想像する事が出来る。


さまーみろっ!ですわっ!!


そしてその事を知っている仲間達が、元家族達へ今のわたくしを見せ付ける機会を下さったのである。


「わたくしは、最高の主人と最高の仲間達に出会えて本当に幸せですわっ!!」


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