表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/288

考えといて下さい

蓋を開けてみれば俺はものの見事にお見合い相手であるフランさんに惚れて、ここ王国まで帰って来ているではないか。


これではミイラ取りがミイラになってしまった様なものである。


「どうにかしてフランさんだけでも王国へ避難させる方法は無いものか……」


その方法は幾らでもある。


しかしどれも最善では無いという部分でここ数日堂々巡りで一向に先に進まず仕事に身が入らない日々が続いていた。


その最大の原因が我が王国は近い内に帝国へ宣戦布告をする為である。


今現在はその下準備をしている段階ではあるものの確実にその日は近づいている事は間違いない。


特に、以前帝国の差し金と見られる者により王国騎士団が殺害された影響で戦争へのカウントダウンが一気に進んでしまった事は間違いだろう。


その為打開策を考える時間もそれを遂行する時間も無いという事も相まって想像以上に焦っている自分がいる。


そもそもこの時期に帝国の公爵令嬢と婚約が決まったなどバレようものならば間違いなく工作員の容疑をかけられ、良くて拷問の後生涯牢屋生活である。


悪い場合は拷問の後に処刑されて終わりである。


「どうしたものか………」

「団長、どうしたんですか?ため息なんて吐いて。帝国から帰って来てから今日こんにちまで心ここにあらずって感じですよ」


思わず先の見えない悩みにため息を吐いてしまったみたいである。


そんな俺を俺の秘書でもあり副団長でもあるヒルデガルド・レストレンジはすこし前屈みになりながら俺の表情を覗き込み垂れた金色の髪をかきあげる。


その時一瞬だけ太陽光を反射する眼鏡の奥には不安そうな表情が見て取れた。


前団長が暗殺されて王国一鉄壁かつ安全であると言う事が覆りかねないこの大事な時に部下を不安にさせるなど、何をやっているんだ俺は。


「大丈夫だ、なんでもない」

「しかし……」


まぁ、大丈夫だと言って納得してくれる程簡単ではないか……。


なんでもないと言った所で余計にヒルデガルドの美しい表情は不安そうになる。


こういう場合はほんの少しだけでも不安を吐露し悩みを聞いて貰うのが手っ取り早い上に相手も納得するであろう。


それに、男性の俺が考えるよりも同じ女性の意見を聞くのも有意義である、と俺は思う。


「そういえばヒルデガルドは美人だよな」

「な、びっ、美人だなんてそんな………」


いきなり美人だと言うのは流石に不躾すぎたのかヒルデガルドは仕切りに髪の毛先を弄り始め、そわそわしだす。


これではただのセクハラだなと、老齢の元騎士団所属兼現在指導役のドルガさんの事を思い出しここで会話を終わってしまえば本当にただのセクハラ親父になりかねないと会話を続ける事にする。


ドルガさんの場合はただ単に新人騎士団と自分との歳が離れてしまっている関係で会話のネタが合わず、コミュニケーションを図るために安易なセクハラ発言に手を出しているだけなのだが、それはそれこれはこれである。


騎士団団長が使って良い手法では無いと反省する。


「そんなヒルデガルドに聞きたい事があるのだが……」

「はいっなんなりとっ!結婚式場の件ですかっ!?結婚式の日取りの件ですかっ!?子供の人数ですかっ!?そうですね、私は結構式を挙げるなら豪華絢爛な教会や大聖堂よりもポールミア聖堂の様な飾り気のない、ですが整然とした所で結婚式を上げたいと思っておりますっ!日取りはやはり──」

「待て待て待て落ち着けっ!結婚式の話ではない」


まるでセクハラ上司の会話を早く終わらせてしまいたいと言わんばかりのヒルデガルドの対応に少し心を痛めつつ結婚式の話ではない宥める。


いやまぁ行く行くはとは思っている為あながち間違いでは無いのだが。


「最近フランさんという気になる女性が出来てな、女性というものはどういった贈り物を贈ったら喜ぶか同じ女性で同じく美人であるヒルデガルドに聞こう──」

「これ、資料ですので今日までには終わらしといて下さい」


俺の言葉は『ドンッ』という音と共に置かれた大量の資料と、明らかに怒っているヒルデガルドにより遮られてしまう。


「はっ!?ちょ、おいっ!いきなりどうしたんだっ!?」

「私、怒っているんですよ?団長」

「き、急に美人などとセクハラじみた発言をした事を言っているのかっ!?」

「いえ、それは非常に嬉しく思います」

「では何故怒っているんだっ!?」

「そうですね………本日私がその書類を取りに来るまでの間私が何故怒っているのか考えといて下さい。そして分かったのならば私の気持ちを弄んだ責任を取って下さいね、団長さん」

「あ、おいっ!!」


そして俺は新たな悩みの種が出来、頭を抱えるのであった。





わたくしは頭を悩ます。


現在は数学の授業中であるのだがわたくしのノートにはそんな授業の内容では無くこれから起こるであろうゲームイベントや帝国と王国の戦争、そしてわたくしのひいてはブラックローズの活動内容、そしてそれを行った際の予測が書き込まれている。


その中でも帝国と王国との戦争に対してわたくしは頭を悩ませている。


ちなみに先日のお見合いであるのだがお断りをするつもりである。


そもそも婚約した所で数年以内に死ぬかもしれないのである。


それを知っていて婚約するのは婚約した相手に失礼というものであろう。


ブックマーク、作品評価、そしてここまで読んで下さった皆様、ありがとうございますっ!



そして誤字報告ありがとうございますっ!!

有り難過ぎて頭が上がりませんっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ