心の底から
むしろ、平民は侵略してきた相手に憧れさえ抱く場合もある。
某国民が二発の爆弾を落とされて尚、今現在も某大国へ憧れる国民が多数いる様に。
それは戦争に負けた故の現象であるのだが、戦争により新国家が相手国の元作られた場合は、相手国が提示した国(敗戦国)へ強い恨みを持つ場合がある。
それは国を興すに当たり悪である敵国に勝利したと言う嘘を国民へ刷り込む事により民衆を簡単に愛国心を芽生えさせる事が出来るのだが、後に国民に芽生えたその感情、特に仮想敵国への憎悪に振り回されてしまうというデメリットもある。
故にこの場合は封建制よりも専制君主制の方が良いとされ、それが無くとも新国家の場合は急成長を遂げる事が出来る体制でもあるのだが、それはあくまでも君主が優秀まで行かなくとも凡人以上であればという前提条件があり、君主が凡人以下であり絶対的権力という立場に欲望を制御出来ないような者が万が一君主となった場合は一気に貧しい国へと変わる専制君主制故の最大のデメリットもある。
さて、どうしたものかと頭を悩ませているフランなのだが知らぬ内に勝手にエルフの国の君主へと祭り上げられたフランからすれば寝耳に水故にエルフの国がどの様な国であるかなど詳しくわかるはずもなく、高々一週間しか猶予が無い現状ではどの統治方法が最適解であるかなど解るはずもない。
であれば枠に囚われず一番自分が楽を出来るシステムを導入すれば良いだけの事であると、そこまで考えたフランは考える事を辞めた。
◆
「新国家、オウルデストウッド帝国っ!!君主である女帝フラン・ヨハンナ・ドミナリア様よりお言葉を承ったっ!しかと耳に入れよっ!!」
現在、つい最近まではエルフの国王が座っていた玉座に見事な金髪のドリルを携えた女性が座っていた。
その光景を目にして不快感を示す者どころか感じる者さえ居なかった。
式典の前日までは数多の元エルフの国の貴族達が屈辱と怒りで顔を歪ませていたのだが、新国家君主となる女帝の隣に竜の翼を生やした男性と、天使の様な、汚れ一つと無い真っ白い翼を生やした女性が新国家君主へと頭を垂れている光景を目にしては、そんな恐れ多い事を考えれる者など幾ら他種族を見下している傾向にあるエルフと言えども一人もいなかった。
むしろフランの事を最早ただの人間種と思う者もまた、一人も居らず、化物二人を家臣に持つ絶対王者であり、その絶対王者であるフランに対して圧倒的な恐怖と、その恐怖を忘れる為に無意識に皆心の底からフランへと忠誠を誓う。
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