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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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すぐバレる嘘

「一体何故公爵家でもあるコールドウェル家が財政破綻しかけているのですか?」

「それはだな、奴隷を不正に買っていた面々が粛清され、その影響かジュレミアの奴が奴隷商売を辞めたからだよ。そして我がコールドウェル家はその余波をもろに食らったわけだ」


そして私の問いにコールドウェル家の恐らく当主である人物は「これで満足かね?」と言った表情をしてくる。


そして私は思う。


ダウトだと。


これでも豪商の娘である。


いや、豪商の娘でなくとも分かってしまうであろう程、顔に表情が出ていた。


そして私はその表情から、単にプライドが高く最近巷で騒がれている不正奴隷売買の一斉摘発を理由にしているだけであろうと見抜く。


それはまるでコールドウェル家の財政難は俺のせいではないと必死に言い訳を並べ立てる子供の様である。


これでは例えどこの世界であろうとも餌にされて終わりであろう。


自分に才能があると勘違いしている無能ほど旨味のある餌はいない。


そしてそれが肥えていれば肥えているほどその肉を漁りにハイエナやハゲタカが囲いに来るものである。


恐らくこの者の様子からして既に周りが敵だらけであると気付き、ようやくコールドウェル家が没落寸前である事に気付いたのであろう。


見方を変えれば周りが、自分は貴様の血肉を漁る為だけにコールドウェル家と関係を持っているという事を隠さなくなったという事であろう。


それは即ちコールドウェル家は本性を隠す必要がない程の状況であるという事である。


そんな状況にも拘らずこの男は未だに自分の無能さに気付かず周りが悪いと言うのだから手に負えない。


考える事をしない者がこれ程滑稽だったとは、学園に入れてくださったお父様とそれに気付かせてくれたフラン様には感謝しかない。


「この期に及んで私ごときに威厳を保ちたいがだけに誰でも分かる嘘を吐く様な貴方がコールドウェル家をワンマン経営し、他人の意見も聞かず他人を見下し、無駄なプライドで無駄な出資などをした結果、コールドウェル家が没落寸前まで陥った、の間違いではなくて?」


そこまで言い終えると部屋に乾いた音が鳴り響き私の左頬がジンジンと痛み出す。


その姿はまるで、自分を鑑みる事をせず暴力で解決しようとするあの時の私そのものである。


もし、生きて帰れる事が出来たのならばフラン様に真っ先に謝ろう。


今まで私はフラン様に合わせる顔が無いと思っていた。


しかし、いざこうして死という物を身近に感じた今ではそれもまた己の弱さの言い訳でありこのまま卒業して行くのだと平和ボケしていた事に気付く。


死んだら謝る事すら出来ないのである。


「平民如きが公爵家であるこのアードルフに楯突くだけでは無く我輩を没落の原因だと申すかっ!人間にすらなれない卑しい存在の平民風情がっ!!平民は黙って俺の肥やしになっていれば良いのだっ!」

「あうっ!?」


そして私は右頬を叩かれる。


全く、こいつのビンタは手に着けられた趣味の悪い様々な宝石の指輪の金具部分が当たり実に不快な痛みである。


しかし、あの日私の胸に刺さったフラン様の言葉の方がもっと痛い。


「父さん、平民は頭が悪いからビンタじゃ生温いんじゃないかな?生きてさえいれば良いのだから爪の一つや二つ、なんなら指の一本でも切断すれば自分の立場を理解出来るんじゃないかな?」

「おお、それもそうだなリカルド。なら早速やってみたまえ」

「ひっ!!」


貴族という生き物の中には私達庶民を人間だと思っていない者がいる事は流石に十五年生きていれば情報として耳に入って来るし理解はしているつもりであった。


しかし平和ボケしていた私は、無意識のうちに同じ形をした同じ人間だからまさか平民を人間だとも思わない人がいるなどと心の奥底では信じていなかのであろう。


だからフラン様にも、コールドウェル家にも強気で行けたのであろう。


私という人間はなんとおめでたい人間なのであろう。


ここ最近私の価値観や常識はぶち壊されてばかりである。


「では、まず右手親指の爪でも剥ごうか」


リカルドは初めから私の爪を剥ぐつもりだったのであろう。


ポケットの中から既に持って来たいた金属製のよく見るペンチを取り出すとカチカチと鳴らし、その音が私の恐怖心をなお一層煽る。


あぁ、もうダメだ。


そう思った時激しい衝撃音と共に部屋の扉がぶっ飛ばされる。


そして、ドアがあった場所には見たこともない衣服に見たこともない細い剣を携え顔は黒い仮面をかぶっている、金髪の見事なドリルを携えた女性がいた。


「諦めなさい。既にこの件は然るべき場所へ通報させて頂いておりますわ」

「えっと………フラン様?」

「いいえ、違いますわ。全くの別人ですわ。きっと長い時間拘束されて疲れてらっしゃるのでしょう」

「いやでも、金髪のドリル──」

「違います。他人の空似ですわ」


いや………幾ら何でもこの声音にこの口調、そしてなんと言っても見事な金髪のドリルの持ち主が別人である訳が無いと思うのだが。


ま、まあ本人が頑なにそう言っているのならば気付かないフリをしてあげるのが大人の対応なのかもしれない。

誤字脱字報告ありがとうございますっ!



そして私のお盆休みが本日終わりを迎えました。

終わりの始まりです……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 悪役令嬢と悪の女幹部の夢の合体技! [気になる点] 顔を隠してドリル隠さず…… 結構、色々頑張って立ち回ってたと思いきやこのザマとは……意外とポンコツ? [一言] 先が楽しみです。
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