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初陣

「フランお嬢様、シャルロッテ様が誘拐されました」

「…………やはりですか」


シャルロッテの後を付ける様に指示を出していたメイのその報告に私は長いため息と共に、手にしているブラックローズの各種書類を片付けゆっくりと立ち上がる。


今回やっと真っ当なイベントが起こったと言えよう。

今までの各種イベントがイレギュラー過ぎた為本来なら嬉しく無いイベントにも関わらずほんの少しだけ嬉しく思う。


今回のイベントはわたくしフラン・ヨハンナ・ドミナリアの幼馴染でもあるリカルド・コールドウェルのイベントでありレオ・クロスフィードのイベントでもあるシャルロッテ誘拐イベントとみて間違い無いであろう。


やはりと言うか何と言うかこのイベントだけは神のクソ野郎ですらイベントの時期をずらす事は出来なかったみたいである。


「アンナ、ブラックローズのメンバーで戦闘に使える者達も連れて来なさい。それと、これからシャルロッテの救出に向かうのですがそれと同時に秘密結社ブラックローズの初陣であるとも思いなさい」

「かしこまりましたっ!フランお嬢様っ!!」


その瞬間、メイ、ウル、アンナが微かに震えた様に見えたのだがきっときのせいであろう。


そう言うとわたくしは漆黒の鞘に収まった日本刀擬きを手にし、部屋に隠していた戦闘用の軍服擬きに着替える。


これら全てはわたくし自ら集めた魔獣の希少部位で作られた最早国宝級とも呼べる装備品である。


因みに擬きと付いているのはわたくしが正しい知識を持っていない為これを日本刀と呼んで良いのか、軍服と呼んで良いのか確証を持てない為である。


そして最後に黒いフェイス型の仮面を装着する。


因みにブラックローズの新人達にはこの姿で相手をするつもりである。


そしてわたくしは準備を整えてブラックローズの面々と合流しに向かう。


本日リカルド・コールドウェルとレオ・クロスフィードのフラグを我がブラックローズがぶち壊してみせましょう。


敵は、本能寺にありっ!





ブラックローズの面々に伝えた命令は──

一つ、無闇に人を殺さない事。

一つ、ただし自分の命が危ないと判断した場合は直ちに戦線離脱する事。

一つ、作戦よりも自分の命優先。

一つ、重要参考人である三名は見つけ次第拘束する事。

一つ、証拠は残さない。秘密結社ブラックローズ本部に帰るまでが作戦である。

──主に上記の五つである。


そしてわたくし達の目の前にはコールドウェル家の屋敷、その大きな門の前に来ていた。

因みに門兵は軽く眠らしている。


「それでは作戦開始ですわ。良いです事?重要参考人は先程教えた場所に居るとは思いますが必ず居るとは限りません。その都度その都度臨機応変に、作戦よりも自分の命を優先に、ですわよ?良いですわね」

「「はいっ、ローズ様っ!!」」


これはもう口酸っぱいくらい同じ事を告げている。


はっきり言って口にしないと心配で押し潰れてしまいそうだからである。


最悪わたくしが死ぬのは構わない。いや、構わなくは無いのですけれども構わない。


ですがこの作戦は結局のところわたくしが生き残るためだけの作戦である。


その、わたくしの為だけの、わたくしが死にたく無いが為の作戦で全く関係無い者が死んでしまうのだけは決して許されない事である。


だからこそ口酸っぱく感じる程に作戦よりも自分の命を優先させるしその都度その都度口にしないと不安になるというものであろう。


ちなみに新人奴隷達にはわたくしの正体を明かしていない代わりにローズと名乗っている。


「それでは行きますわよっ、貴女達っ!!」


その夜、一人の女性の掛け声と共に黒い薔薇達が夜空に消えて行ったのであった。




誘拐された先で薄暗い部屋に連れて行かれ、椅子に縛られ座らされてから小一時間が経った。


現在この部屋には私以外に髭を蓄え高級そうな衣服を着飾り、これまた高級そうなワインをグラスで嗜んでいる男性一人と、その男性の護衛であろう者が二人だけである。


「私を誘拐して何が目的なのですか?」


以前の私であると冷静になれず叫んでいたかもしれない。


しかし物事には根本があると理解している私は相手を刺激しない様に聞いてみる。


はっきりって誘導の仕方など知識が無く分からない為一か八か単刀直入である。


「目的、そんなの決まっておろう。金だよ金。貴様が我が息子の通う学園に入学した事を知った時は神が私に与えてくれたプレゼントでありコールドウェル家を立て直せという御告げだと思ったし、事実そうであろう。こうしてお前をいとも簡単に連れ去る事が出来たという事こそが何よりもその証拠であろう」


自身をコールドウェル家だと言う男性は私が何も言わなくてもベラベラベラベラと喋ってくれた。


自分の計画がここまで上手く行っているのかそれはもう実に楽しそうに。


これがもし賊の部類であるならばまずどんな小さな情報ですら口にしなかったであろう。


ましてや自分の家名などもっての外である。


その為私は──実はこの男はバカなんじゃないのか──という仮定のもと更に情報を引き出す為に話しかける。

そば使えを側仕えに修正致しました。

誤字報告してくれた方ありがとうございますっ!(^ω^)

また見逃してる箇所など見つけましたら、ご報告頂けると大変助かります(^ω^)

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。最近読み始めた! 続きも楽しく読ませて頂きます!!
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