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順調に育って行く

それほどまでに私達の御主人様は偉大なのだ。


残念なのは元メイド仲間達から未だに可哀想な目線を向けられる事である。


むしろフランお嬢様の奴隷にさせて頂いた今の方が断然幸せであると言えよう。


メイド時代は常に息苦しく、ミス一つすら許されない環境によりストレスも半端なかった。


いっそのことドミナリア家のメイド全員をフランお嬢様の奴隷にしてあげれる事が出来ればなんて幸せな事のだろうかと思う。


「アンナ様、昨日の行った各種テストの答案用紙です」

「いつもご苦労様、ルル。奴隷達の状況はどうかしら?」


そんな事を思っていた時、ルルが昨日行った各種テストの答案用紙を持ってきてくれる。


ちなみにルルはジュレミアにより捨てられた奴隷で、一番最初に助けた奴隷である。


そして次にアリシア、ベラ、カミーラと助け出し今ではブラックローズに欠かせない奴隷となるまで育ってくれている。


勿論、全員フランお嬢様に一生の忠誠を誓っているのだがそれをフランお嬢様に伝えると「一番は自分にしなさい。次に家族、わたくしはその次ぐらいでいいわ」などとおっしゃるので今では皆心の中で忠誠を誓っている。


そしてこの七名で夜な夜な集まり今日のお嬢様会を開くのだがその内容は主に本日の側仕え当番による報告が中心である。


あぁ、強く揺るぎない信念と研ぎ澄まされた叡智をお持ちなのだが実は意外と傷付きやすいフランお嬢様にもう私達はメロメロでございますっ!


そして傷付きやすいフランお嬢様だからこそ私達が全力でお守りするのだ。


ちなみにその他の奴隷達は万が一の事を考えてブラックローズのトップがフランお嬢様である事を教えていない。


奴隷契約魔術式があればそれを解呪する術式もある為である。


それはとても可哀想な事なのだが人数が増えるという事はそういう事なのであろう。


しかし、その奴隷達もお嬢様の信頼を勝ち得る事が出来た者に対しては話は別である為将来的にはフランお嬢様との面通しが可能となるであろう。


その為後輩奴隷達には頑張って貰いたい限りである。


そんな事を思いながら最早帝国近衛魔術師部隊すら圧倒する程の戦力に育った、後にブラックローズ幹部七人衆の一人、赤髪の炎姫と呼ばれる様になるアンナは最早生きがいであり人生と言っても過言では無いフランお嬢様の為に今日も働く。


もしフランがブラックローズの戦力に気付けていたのなら、どっかの国と戦争でも起こすのかと不安になり奴隷の育成内容を練り直したのであろうが幸か不幸か未だその事に気付けていない為順調に奴隷達は育っていくのであった。




私はあの日からいつドミナリア家から何かされるのではないか?実家に圧力をかけられるのではないか、又は連れ去られて拷問にかけられるのではないかと怯えながら暮らしていた。


しかしあれから約半月経っても何も起こらない事に疑問に思ってしまう。


そしてあの日より行動に移す前に一度立ち止まり考える様にしているのだが、同時に疑問に思った事も疑問のままで終わらす事はせず納得するまで考えるように習慣付けていた。


そして私は一つの事に気付いた。


それは物事には全てなんらかの根本があり、起こるべくして起きるという事である。


その事から自分なりに考えた結果フラン様はあの日の事を家族に伝えていないからドミナリア家は未だに動かない。


では何故フラン様は家族に言わなかったのか。


そこまで考えた所で私はハッとする。


あの日のフラン様は私に嫌われる事を覚悟で何も考えようとせず感情のまま行動すればどうなるか教えてくれたのではないか?


もしも叩いた相手がフラン様でなければそれこそ本当にあの日以降想像した最悪の結果になったかもしれないのだ。


その為にキツイ言葉であえて言ったのでは無いか?


そう思ってからというもの私の目線は気付けばフラン様を追っていた。


そして私は分かった事がある。


フラン様の側仕えである三名の奴隷は明らかにフラン様の事が好きであると言う事である。


三名の奴隷達がフラン様を見つめるその表情を見ればそんな事など簡単に分かる事であるにも関わらず私はあの日奴隷ってだけで不幸であると決め付け怒り、フラン様を叩いたのである。


あの時フラン様がおっしゃった言葉一つ一つが私の胸に突き刺さって今もまだヅキヅキと痛む。


今すぐにでも謝りたいと思うものの今更どの面下げて謝りに行けば良いのか。


「どうしたんだ?シャルロッテ。誰かに何か嫌な事をされたのか?教えくれたら俺が注意してやろう」


フラン様に謝りたいと思うも自分にはその資格が無い為どうすれば良いのか悩んでるいるとレオ様が心配して声をかけてくる。


心配してくれるのは有り難いのだが、レオ様を見るとあの日自分の価値観を押し付ける私を見ている様な気になって気分が悪くなると同時にフラン様はこんな私を見捨てず手を差し伸べてくれたのだと、また一つ自分の中のフラン様の評価が上がって行く。


「レオ様には関係ない事ですので放っておいて下さい」

「今こうしてシャルロッテが苦しんでいるんだっ!関係無いと放っておく事など出来るわけが無いだろっ!シャルロッテを必ず救ってやるっ!俺を信じろっ!」


ああもうっ、もうっ!、もうっ!!


「レオ様なんか大っ嫌いもう私に構わないで下さいっ!」



そして下校時間。


レオ様と一緒じゃない時を狙っていたのであろう。


私は何者かによって誘拐された。

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