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転生悪役令嬢は闇の秘密結社を作る  作者: Crosis


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静かなる決意

わたくしは叩かれた左頬をさすりながら、自分が正義でわたくしが悪だと決め付け睨み付けて来るシャルロッテをゆっくりと目線を合わせ睨み返す。


「わたくしは、あなたみたいに価値観が違うからと暴力を振るったりは決してしないわ。ましてやあなたはいくら豪商の娘と言えど庶民の娘でわたくしは公爵家の娘。その意味をお分かりかしら?」

「価値観の問題ではありませんっ!それにこの学園の学生は貴族も庶民も関係なく皆平等ですっ!それは前にフラン様も自分でおっしゃったでは無いですかっ!?」


本当、この娘はおめでたい頭の持ち主の様だ。


自分の行動が後にどの様な結果が起こるか想像する事すら出来ないみたいである。


「価値観の違いでは無いと言うのならばその根拠をまず提示して下さい。感情論で会話する程わたくしは暇ではございません。それと、虎の威を借る狐も結構。しかし虎がいない所ではその虚勢も無意味だと言う事くらい考える事をしなさい」

「ど、どう言う意味ですかっ!?わたくしは学園のルールに従ったまでですっ!それのどこが間違っていると言うのですかっ!?」


少しは自分で考えろっ!と叫びたくなるのをグッと堪える。


言い争った所でこの様な類はそこに中身は無く疲れるだけだ。


「そうね、例えばですが……わたくしが家に帰ってあなたに叩かれた事を両親に伝えたらどうなるか、少しは考えなさい。はたして、学園の外まで校則が通用するのかしら?」


わたくしがそう言うとシャルロッテの顔が見て分かるほどみるみる青ざめて行く。


冷静さを失い、考える事を辞め感情のまま行動に移した自分の行いの、事の重大さにやっとシャルロッテは理解したみたいである。


その姿を見てわたくしは、反面教師にし自分はシャルロッテの様なミスはしないと強く思う。


それこそ、シャルロッテの場合は最悪実家の家業を潰される程度なのだがわたくしの場合はそのまま死に直結するため尚の事強く。


「理解できたみたいで結構。これから行動に起こす前にその行動の結果を考えてから行動しなさい。それでは、ご機嫌よう。……行きますわよ、アンナ」

「はい、お嬢様」


そしてわたくしは未だに顔が青いままのシャルロッテを置き去りにしてこの場を去っていく。





「だ、大丈夫ですかっ!?お嬢様っ!?」

「ええ、大丈夫ですわ。安心したら足に力が入らなくてなっただけですので。でも、気遣ってくれてありがとう」


林を抜け、そのまま人気の無い場所へ移動した所で安堵感から地面にへたり込んでしまう。


な、なんとかあの場を切り抜ける事が出来た。


あの場にレオとノア様がいる事に気付けた時はどうなるものかと思ったが何事も無くて本当に良かった。


元より友達になるつもりは無かったのだが、もしあの場でシャルロッテとわたくしが友達になったとしたら最悪殺されていたかもしれないと思うと遅れて恐怖心が襲って来る。


しかし、あれで隠れているつもりならばレオもノア様も滑稽もいい所である。


でも、もうあの場所は使えませんわね………。


たったそのぐらいの事で今から落ち込んでいてはこれから大変だと思うものの悲しいものはやはり悲しい。


「大丈夫ですお嬢様。私達が、ブラックローズが付いております。ブラックローズの新規メンバーも順調に育っております。私達ブラックローズがお嬢様を命に代えてもお守り致します」


そんなわたくしを気遣ってかアンナが優しく寄り添い、壊れ物を触るかの様に抱いてくれる。


たったそれだけでわたくしは気持ちを持ち直す事が出来た。


「ありがとうアンナ。凄く嬉しいわ。でも、その気持ちだけ受け取っておくわね。いい事?わたくしよりも自分自身の命を大切にしなさい」

「はい、お嬢様」


そしてわたくしはアンナ目に宿る静かなる決意と強くなる崇拝心に気付く事が出来なかった。





「調子はどうかしら?」

「問題無く進んでおります」

「とても美味しい。これはとんでもない食べ物です」


私がそう聞くとメイとウルがフラン様に教えて頂いた食品の製造が問題無く進んでいる事を教えてくれ、そして試食品を渡してくれる。


「んんーっ!!こ、これは確かに、とんでもない食べ物ですねっ!貴族界がこぞって買いに来ることでしょうっ!!」


頂いてくれた試食品を一口口に入れるだけで口の中に幸せが広がって行く。


この、苦いだけで疲労回復滋養強壮の薬として水に溶かして薬として飲むだけのカカオからチョコレートなる、これ程までに美味しい食べ物が出来上がるなど誰が想像したであろう。


そもそも甘味とは甘ければ甘い程高級とされる為苦味の塊であるカカオに砂糖を入れるなどというその発想、そして完成した時の味を想像出来ていたフランお嬢様の叡智たるや、崇拝せずにはいられない。


これが私達のご主人様であると声高々に宣言しながら街中を練り歩き自慢しまくりたい程である。


そもそも数多いるであろう粛清対象である者の中からまず始めにジュレミアを選んだ理由は奴隷を一気に手に入れる為だけだと思っていたのだが、ジュレミアの隠し資金と人脈から奴隷の確保だけでは無くチョコレートなる食べ物を作り出し販売する事により手の空いた奴隷を腐らす事無く効率良く使うだけでなくブラックローズの運営資金調達の目処を立てるなど誰が想像出来ようか。


ちなみに何故か週二回は完全に休む事とされているのだが、休みの日はお嬢様に貢献出来ないストレスで潰れそうになってしまう。


そんな私がまだメイドであった時はお嬢様の偉大な計画に全く気付く事が出来なかった事を後悔したりしたのだが、それは仕方の無い事だったのだ。


何故ならそれはフランお嬢様だからである。


私如きがフランお嬢様の計画に気付くなど、今ではなんと愚かな考えなのかと恥ずかしくすら思う。

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