メイド服と……
(博士が言ってた武力行使って、こういうことかよ)
ヒイロが黒光りする銃を手に持つと、チナツが後ろから覗き込んだ。
「M4っすか。 民間の軍隊が使ってる銃っすね」
「えっ、お前、銃とか詳しいの?」
「ヤンキーしてた頃、校舎をフィールドにして良く戦ってたんで。 使ってたのは電動ガンっすけど、M4はメジャーな銃なんで知ってるっす」
(……セイ〇ー服と機関銃かよ)
そんなことを思いつつも、それならばと銃をチナツに渡す。
「使い方、知ってんだろ?」
「実銃は初めてっすけど、要領は同じだと思います」
ケースに入っていたマガジンを手に取り、銃にセットする。
銃の本体の横に付いているセーフティを外すと、後はトリガーを引けば弾が出る、とチナツは言った。
「でも、入り口はロックオンされてると思うんで、別の出口から出ないとやられますね」
チナツが言うには、自分たちがこの部屋にいることはロボットにバレている。
入ってきた扉から出た瞬間、蜂の巣になるとのことだ。
「じゃあ、どーする?」
「上を取るっす。 サバイバルゲームでも、上を取れば絶対優位っす」
チナツは、天井の点検口を指差した。
机と倚子を重ねて段差を作り、点検口の中に入る。
天裏は配線やらが走っていて、廊下の方にも繋がっている。
スマホを取り出してライトを照らすと、その灯りを頼りにほふく前進で進んでいく。
後ろに続くヒイロに、小声でチナツが言った。
「床、抜かないように」
「分かってるよ!」
しばらく進むと、チナツが止まった。
「……」
(ロボットの関節を動かす音だ……)
ここで天裏にいることを悟られれば、ひとたまりもない。
チナツは、慎重な動作ですぐそばの点検口に手を伸ばした。
片手で銃を構える。
そして、爪を外すと、下のロボット目がけ、フルオートで銃を乱射した。