ロボット三原則
「もし、四角社長が交渉に応じなければ、武力行使に出るつもりでした。 しかし……」
交渉する前に、社長は煌びやかなガラスの照明に押しつぶされた。
胡椒水博士が続ける。
「ローストビーフを食べながら、私は思いました。 もし、今回の事件を起こしたのがパーピーくんだとしたら……」
「……っざけんな、パーピーくんにはロボットの三原則が適用されてんだろ」
ヒイロの言ったロボットの三原則とは、1.人間への安全性、2.命令への服従、3.自己防衛(1,2に違反しない限り、自分を守る)、というものである。
1にあるように、人間に危害を加える類いの行動は禁止されている。
しかし、ペッパー君の例もあり、原則は絶対ではない。
退屈そうに話を聞いていたチナツが言葉を挟んだ。
「人間だって、法律があっても犯罪を犯すヤツがいるのと同じカンジっすか?」
「……」
(パーピーくんが犯人だとして、目的は何なんだ?)
ヒイロが頭を悩ませていると、胡椒水博士が口を開いた。
「とにかく、ここにいても始まりません。 下のフロアに移動しましょう」
「……だな」
この件に関しては、警察が何とかしてくれるだろう。
パーピーくんが絡んでいれば、開発者であるヒイロの事情聴取は免れない。
それでも、これ以上面倒に巻き込まれたくなかったヒイロは、さっさとこのホテルから離れるべく、裏口のエレベーターへと乗り込んだ。
「……あれ?」
チナツが1階行きのボタンを連打しながら呟いた。
「ボタン、きかねっす」
ボタンのランプが消えている。
点いているのは、34.33.32の3フロアのみ。
ヒイロが叫ぶ。
「どーゆーことだよ!」
博士がチナツに確認する。
「下まで行くのに乗り継ぎが必要なのですか?」
「いや…… そんなハズないっす」
「……ならば、ひとつ下に行きましょう」
34階のボタンを押すと、カゴが移動する。
チン、と音がして、扉が開いた。
裏口から出て、客用エレベーターを使うべく廊下に出た、その時だった。
数メーター先にいた白いマネキンのようなロボットが、銃を構えてこちらを向いた。
ノリで出してみた