バトル
おっさんから切り離された手首は、そのままロボットへと向かい、足首を掴む。
「ナ、ナンダコレッ、キメエッ」
そのまま体を伝ってむき出しの中身に取り付くと、自爆。
轟音と共に、ロボットは粉々に砕けた。
倒れた陣の元にやって来ると、ヒイロはつぶやいた。
「……おっさん、アンタの犠牲は無駄にしねーぜ」
ヒイロは都庁内部へと足を踏み入れた。
エレベーターが展望台のある50階へと到達。
広々としたフロアに歩を進めると、人影。
見てくれはチナツの初恋の相手、ヒロだが、中味は絶賛思春期真っ只中のロボット、パーピー君である。
そのロボット、パーピー君がヒイロの方を振り返った。
「よくここが分かったじゃねーか。 マヌケ」
「父親に向かってそれはねーだろ」
相対したものの、ヒイロには手立てがない。
パーピー君があざ笑うように言った。
「ここまで来たはいいけどよ、万策尽きるか? この前みてーに停止コードはもう意味ねーぜ」
パーピー君を緊急停止させるコード、バルサミコスはすでに解除済み。
すると、ヒイロが言った。
「父親なめんじゃねーよ」
ヒイロは、ポケットからスマホを取り出した。
そして、とあるアプリを起動させ、それをパーピー君に見せる。
パーピー君から笑みが消えた。
「ハッキング、アプリだと……」
「お前にできることは、俺にだってできんだよ」
都庁付近を旋回していた黒い戦闘機とは別の、青い戦闘機が1機、こちらにやって来る。
ヒイロが叫んだ。
「自衛隊から拝借したブルーインパルスだ!」
「たった1機で何ができるってんだ!」
負けじと吠えるパーピー君。
すぐさま、13機が青い1機に狙いを定めた、その時。
青い機体から、黒い点が発射された。
そしてそれは、2人のいる展望台へと接近。
パーピー君がそちらに顔を向けた瞬間、発射されたミサイルが命中。
2人のいるフロアは閃光に包まれ、次の瞬間には火の海と化した。
死んだ、とヒイロは思った。
しかし、まだ意識があることに気が付く。
目を開ける。
「……これは」
何故か、ヒイロの周りだけ、損壊が少ない。
足元には、パーピー君のものと思われる鉄の破片だけが、散らばっていた。




