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滅亡ビル  作者: oga
第二章 新たな計画
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戦い

「チナツ、ちょっと待ってろ」

 

 このラボには、応急処置をする道具類がない。

傷口からは腐臭が漂っていた為、消毒をする必要がある。

そう思い立って外に出ると、異変に気付いた。


「……なんだ、こいつら」


 首をもたげて、上から糸で吊るされているかのような、そんな人間がこちらに迫ってくる。

まるで、ゾンビ映画に出て来るゾンビ、そんな風体だ。


「今度はなんだっつんだよ!」


 ゾンビたちは、口々に何かをつぶやいている。


「からあげくん……」


「蒙古タンメン……」


 それらは、コンビニに売っている商品であり、ヒイロは理解した。

恐らく、コンビニをライフラインに生活していた人間が、コンビニ爆破によってそれらを奪われ、ゾンビ化してしまったのだ。


「自炊しろっての!」


 しかし、その数はハンパ無く多く、とても相手どれる数ではない。

ヒイロは一旦ラボに引き返し、ぐったりしたチナツを抱えて、車に乗り込んだ。


「こんな調子じゃ、いつ救急車が来れるか分からねー」


 ヒイロの思惑通り、スマホのトップにはゾンビが街で暴れているニュースが速報で流れている。

けが人が出れば、そちらに人手を取られてしまうだろう。

ヒイロは、キーを回してエンジンをふかし、都心から離れた病院へと向かった。








 

 チナツを病院へと送り、今度は家へと向かい、家族を車に乗せる。


「ねえ、どうなってるの!?」


「一旦、こっから離れるんだ」


 ヒイロは長野にある避暑地に別荘も持っていた。

こんな感じのヒイロだが、会社に勤めていた頃は年収1000万を超え、かなりの高給取りであった。

高速に乗り入れ、およそ3時間で別荘へと到着すると、アンジーにしばらくここにいるよう説明する。


「ヒイロ、あなたはどうするの?」


「……俺は、東京に戻る。 俺が出てかねーと、多分、被害がどんどん拡大する」


 息子のトオルが駆け寄る。


「これ、持ってって!」


 トオルが手にしていたのは、ベルト。

今はまっている、イロレンジャーの変身ベルトだった。


「パパは、イロレンジャーだったんだ! 悪いやつ、やっつけてきて!」


 子供は時に、大人より敏感に物事を感じとる。

ニュースで世の中が大変になっていることを知り、ヒイロのこれから戦いに行く覚悟を感じ取ったのである。


「……ありがとな、トオル」


 ヒイロは、車に乗り込んだ。









 車内で、ヒイロの気分はなぜか高揚していた。

不謹慎だが、ヒイロはこんな風に思っていた

自分は、こういうことが起こるのを待っていたのかもしれない、と。

家族との時間は増えたが、そんな生活は物足りないと心の奥底では感じていた。

絵に描いたような家族との日々は自分の幸せではないのだ。


(ラボに戻って、あいつらを倒す方法を考えねーとな)



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