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滅亡ビル  作者: oga
第二章 新たな計画
22/27

ラボにて

「くっそ、急がねーと……」


 焦る気持ちも抑え、時速60キロ、法定速度目いっぱいまでアクセルをふかす。


(法定速度は守らねーとな)








 ラボへと到着したのは夕方。

路肩に車を停車させ、弾けるように飛び出す。

カードキーをかざしてラボの中に入ると、ヒイロは顔をしかめた。


「うっ…… 何だ、この匂い」


 鉄分のような匂いが立ち込めている。

そして、わずかに腐臭。

ヒイロは、そばにあった傘を手探りでつかみ、明かりのスイッチに指をかけた。

そして、正面を見やる。


「……いない」


 パーピー君が、いない。

部屋の中央にいた、パーピー君の姿が消え失せている。

更に部屋を散策すると、ヒイロは叫んだ。


「う、うわあああああああああああっ」


 チナツがうつ伏せに倒れており、背中には包丁が突き立てられていた。


「チナツっ、うっ、おええっ」


 吐き気を抑え、祈る気持ちでチナツの首筋に指を当てる。


(頼む……)


 微かにだが、脈拍がある。

ヒイロは安堵したが、すぐに携帯から救急車を呼ぶ。

息つく間もなく、ヒイロはパーピー君がどこへ消えたのかを考えた。


(もし、あのコンビニ襲撃事件がパーピー君のメッセージだとしたら……)


 パーピー君は、もう一度、自分と戦うつもりかも知れない。

反抗期という過程を得て、精神的にバランスの取れたロボットを作るのが目的だったが、それがアダになってしまった可能性がある。

くそっ、とヒイロは壁を殴りつけた。


「……チナツが回復し次第、パーピー君を見つけて停止させねーと」


 チナツのメイクでパーピー君の容姿は変わってしまっている。

そのため、チナツからどういう容姿にしたのかを聞かなければならない。

それか、コンビニの監視カメラに姿が映っている可能性もある。

どの道、見つけてしまえばこちらのもの、とヒイロは考えたが、そう思った矢先、自分がミスを犯していることに気が付いた。


「チナツの過去の映像……」


 ヒイロがパソコンのモニターで確認した、チナツの過去の映像。

その中に、停止コード「バルサミコス」を解除するコードが含まれていたことを思い出した。

そのコードは、「霜降り肉」

直接その名称が出ていなかったとしても、脂肪を分解する、というヒントから辿り着いた可能性。


(……それが分かったから、行動に移ったんだ)


 このコードを入力することで、停止コードはリセットされてしまう。


(こっちの切り札が無くなっちまったかもしれねー……)


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